幼児教育の質の向上8 2026/02/03 1.幼児教育の内容・方法の改善・充実 ○ 幼児期は、人格形成の基礎が培われる重要な時期であり、この時期に、好奇心や探究心、豊かな感性など生涯にわたる学びの基礎を育むことは重要である。このため、幼児教育施設における教育は、幼児の自発的な活動としての「遊び」を発達の基礎を培う重要な学習であるとして、「環境を通して行う教育」を基本としている。 ○ 幼稚園教育要領では、「教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。」と定めており、教科書のような主たる教材を用いず、教師は、幼児一人一人の発達を見通し、幼児が必要な体験ができるように環境を構成し、さらには、幼児の活動の展開に伴って環境を再構成していく必要があり、幼児教育には特有の難しさが存在する。また、近年では障害のある幼児や外国人幼児等といった特別な配慮を必要とする幼児への対応など、幼児教育現場の課題は多様化・複雑化している状況にある。 ○ こうしたことを踏まえた幼児教育の内容・方法については、新幼稚園教育要領等が平成30 年4月から実施されており、その内容を教職員一人一人が理解し、現場での実践に反映させることが重要である。
幼児教育の質の向上7 2026/02/02 Ⅱ.幼児教育の質の向上のための具体的方策 ○ 幼児教育は、幼稚園、保育所、認定こども園といった幼児教育施設だけでなく、家庭、地域等の幼児が関わる遊びや生活のあらゆる場面において行われるものであり、それら全てを通じて、子供の健やかな育ちを目指し、その最善の利益を考慮した質の高い環境が提供されるべきものである。 ○ このため、国及び地方公共団体はもとより、幼児教育に関わる全ての者が相互に協力しながら、それぞれの役割を果たし、質の高い幼児教育が提供され、全ての子供が健やかに成長できる良好な環境が整えられていることを目指す必要がある。 ○ 今回、幼児教育の質の向上の実現に向けて、総合的に施策を展開する観点から、以下の六つの柱建てに沿って、具体的方策を提言する。 1.幼児教育の内容・方法の改善・充実 2.幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上 3.幼児教育の質の評価の促進 4.家庭・地域における幼児教育の支援 5.幼児教育を推進するための体制の構築 6.新型コロナウイルス感染症拡大の状況における幼稚園等の具体的な取組
幼児教育の質の向上6 2026/01/30 4.新型コロナウイルス感染症拡大の状況における幼稚園等の取組 ○ 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、幼稚園等においては、自宅で過ごすことが多くなる幼児及びその保護者との連携を密にし、幼児の健康状態の把握や心のケア等家庭における幼児の心身の健全な発達に向けた必要な支援を行うことが求められる。 ○ このため、幼稚園等が家庭及び地域における教育の支援等をはじめ幼児教育の充実に積極的に取り組むことができるよう、後述するように、園務改善のためのICT化の支援や施設の衛生環境の改善とともに、行政においても関係機関相互の連携を強化するための体制の整備等が求められる。
幼児教育の質の向上5 2026/01/29 3.幼児教育の実践の質向上 ○ 幼児教育の質の向上を目的とした近年の制度改正については、幼児教育施設における教育等の内容の基準である幼稚園教育要領(平成29 年文部科学省告示第62 号)、保育所保育指針(平成29 年厚生労働省告示第117号)、幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成29 年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)(以下「幼稚園教育要領等」という。)が平成29 年3月に告示され、子供に育みたい資質・能力等を共通化して明確にするなど、その内容について一層の整合性が図られたところであり、平成30 年度から新幼稚園教育要領等に基づいた現場での実践が始まっている。 ○ また、教師の資質向上については、平成28 年11 月に教育公務員特例法(昭和24 年法律第1号)及び教育職員免許法(昭和24 年法律第147 号)等の一部改正が行われ、幼稚園及び幼保連携型認定こども園を含む教師としての資質向上に関する指標が全国的に整備されるとともに、大学の教職課程の科目区分が大くくり化されるなど、新たな体制の構築が図られた。 ○ 一方で、急速な少子化の進行、家庭及び地域を取り巻く状況の変化等が複合的に絡み合い、幼児の生活体験が不足しているといった課題も見られる。各幼児教育施設においては、集団活動を通して、家庭や地域では体験し難い、社会・文化・自然等に触れる中で、幼児期に育みたい資質・能力を育成する適切な環境下での幼児教育の実践が求められている。 ○ こうした国の制度や施策、幼児教育施設を取り巻く現状を踏まえ、個々の教職員が、子供との直接の関わり合いをはじめ、幼児教育関係団体等とも連携・協力しながら幼児教育の実践の質向上に一層取り組んでいくことが重要である。
幼児教育の質の向上4 2026/01/28 2.幼児教育を巡る近年の政策の動向 ○ こうした幼児教育への重要性の認識の高まりから、近年、幼児教育・保育の無償化をはじめ幼児教育を巡る国の政策は大きな動きを見せている。平成27 年4月より、子ども・子育て支援新制度(以下「新制度」という。)がスタートした。新制度においては、幼稚園、保育所、認定こども園等のそれぞれの創意工夫を生かした良質かつ適切な教育・保育の提供体制を整備することとされ、実施主体である市町村は、域内の教育・保育について、一体的にその量の拡充・質の向上を図ることが求められている。国においては、引き続き、各年度の予算編成過程において、質の向上のための0.3 兆円超の財源確保をはじめとした、量の拡充・質の向上を図るための安定的な財源の確保に努めることが求められているところである。 ○ また、令和元年10 月1日から、急速な少子化の進行、家庭・地域を取り巻く環境の変化に鑑み、子ども・子育て支援を充実させる観点から、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化する、幼児教育・保育の無償化が実施されている。新制度により幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実を図ってきている中、幼児教育・保育の無償化は、子育て世代の経済的負担を軽減し、少子化対策にも貢献する意義を有するとともに、幼児教育を受ける機会を実質的に保障する意義を有していると言える。 ○ 幼児教育の重要性については、これまでも様々な場面で指摘がなされてきたところであるが、幼児教育分野に対する公的投資がこれほど大きくなった時代はなく、同時にそれに見合うだけの質の高い教育が提供できているのか、幼児教育の質の向上を求める声が強くなっていると言える。 ○ 平成31 年4月には、中央教育審議会は文部科学大臣から「新しい時代の初等中等教育の在り方について」の諮問を受け、同諮問の中では、「幼児教育の無償化を踏まえた幼児教育の質の向上」が審議事項の一つとして位置付けられている。