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2025年 3月

教育振興基本計画29

2025/03/07

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の方向性)

○児童生徒に対する生徒指導は、学習指導と並んで、共生社会実現に向けた資質・能力の育成に重要な意義を有するものである。児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され、その過程を学校や教職員が支えていくという発達支持的生徒指導を重視していくことが求められる。また、児童生徒が将来において社会的な自己実現ができるような資質・能力・態度を形成するように働きかけるための教育相談も、生徒指導と一体化させ、全教職員が一致して取組を進めることが求められる。

○コロナ禍によりその機会が減少した様々な体験活動(自然体験活動、社会体験活動、文化芸術活動等)は、自己肯定感や協調性、主観的幸福感など、ウェルビーイングの向上に資するものであって、体験を通して他者と協働することにより共生社会の実現にもつながる意義を有するものであり、その機会の充実を図っていくことが求められる。また、児童生徒等の心身の健やかな育成に向けた学校保健、食育、スポーツ活動、豊かな感性を育む読書活動の推進も重要である。

○あわせて、個人と社会のウェルビーイングの実現の観点からは、保護者や地域住民等が学校運営に当事者として参画するコミュニティ・スクールや、地域住民等の参画により地域と学校が連携・協働する地域学校協働活動を一体的に推進するとともに、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チームの活動を推進していくことが効果的である。高等教育段階では地域連携プラットフォームなどの枠組みを活用することにより、大学と地域との協働を進めていくことが求められる。学び手、学校、保護者・地域住民等が「三方よし」となり、それぞれのウェルビーイングが高まるよう三者が一体となって取組を推進することが求められる。

 

教育振興基本計画28

2025/03/06

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の方向性)

○「令和の日本型学校教育」答申で提言された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」は、多様な子供の状況に応じた学びを進めるとともに、多様な他者と学び合う機会を確保するものであり、共生社会の実現に向けて必要不可欠な教育政策の方向性である。また、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムを推進していくことも重要である。高等教育においては、グランドデザイン答申をはじめとする累次の答申・審議まとめ等において、多様な価値観を持つ多様な人材が集まるキャンパスにおいて、一人一人の学生の学修意欲を喚起し、学修者本位の教育を提供していく方向性が示されている。こうした目指すべき教育の方向性を共生社会の実現という観点から改めて捉え直し、教育に携わる者が共有した上で、日常の教育の営みの中に取り込んでいかなければならない。

○その際、第3期計画期間中に飛躍的に整備されたICT環境を効果的に活用していく必要がある。GIGAスクール構想による1人1台端末や高速通信ネットワーク環境の整備などにより、距離や場所、時間の制約が取り払われ、様々な国や地域との交流が容易になるとともに、へき地における教育環境の充実や、登校できない子供の学びや交流の機会の充実が可能となっている。また、デジタルの特性を生かした障害のある子供や外国人児童生徒等のアクセシビリティの向上も期待される。ICTを活用した新たな取組の実践を通じて、一人一人の状況やニーズに応じたより良い教育環境を目指していく必要がある。

 

教育振興基本計画27

2025/03/05

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の考え方)

○これまで学校では「みんなで同じことを、同じように」することを過度に要求され、「同調圧力」を感じる子供が増えてきたことが指摘されている。異なる立場や考え、価値観を持った人々同士が、お互いの組織や集団の境界を越えて混ざり合い、学び合うことは、「同調圧力」への偏りから脱却する上で重要であり、学校のみならず社会全体で重視していくべき方向性である。また、そのことを可能にするための土壌として、「風通しの良い」組織・集団であることが大切である。そのためには、子供のみならず大人も含めて、多様性を受け入れる寛容で成熟した存在となることが必要である。加えて、これまでの同一年齢で同一内容を学習することを前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、日本型学校教育の優れた蓄積も生かして、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実していくことも重要である。

○こうしたことを通じて、一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重する共生社会を実現していくことが求められる。また、組織や集団における多様性の尊重は、イノベーション創出にもつながる重要な考え方である。

 

 

Paper People Standing in a Circle and One Red Paper Man Inside

教育振興基本計画26

2025/03/04

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の考え方)

○また、一人一人のニーズに合わせた教育資源の配分を行うという「公平、公正」の考え方も重要となる。「多様性」、「包摂性」に「公平、公正」を加え頭文字を取ったDE&I(Diversity,Equity and Inclusion)の考え方も重視されてきている。

○加えて、離島、中山間地域等の地理的条件にかかわらず、全国どこでも子供たちが充実した教育を受けられるようにすることが重要である。

○こうした方向性は初等中等教育以降の教育段階においても重要であり、例えば大学や専門学校等の高等教育機関における障害のある学生・生徒の学習機会の提供や学校を卒業した障害のある人々への生涯学習機会の提供も充実していく必要がある。

○一人一人が多様な他者を理解・尊重し、包摂的な社会を築いていくためには、例えば障害の有無にかかわらず共に学ぶ「交流及び共同学習」や、国内外において外国人児童生徒学生等と交流する留学・異文化交流・国際理解教育、地域で子供が交流・協働する体験活動やキャリア教育・職業教育など、自らとは異なる立場や地域にいる人々と接する機会や異なる環境に身を置く機会を持つことが重要である。

 

教育振興基本計画25

2025/03/03

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

②誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進

(共生社会の実現に向けた教育の考え方)

○一人一人の多様なウェルビーイングの実現のためには、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す学びを、学校をはじめとする教育機関の日常の教育活動に取り入れていく必要がある。

○近年、いじめの重大事態の発生件数や児童生徒の自殺者数は増加傾向であり、憂慮すべき状況である。また、不登校児童生徒数が増加しており、個々の状況に応じた適切な支援が求められている。児童虐待、ヤングケアラー、貧困など、子供の抱える困難は多様化・複雑化している。また、肥満・痩身、アレルギー疾患、メンタルヘルスの問題など、子供の心身の健康には多様な課題が生じている。さらに、特別支援教育を受ける障害のある子供は近年増加傾向にあり、医療的ケア児や病気療養中の子供に対する支援も重要である。性的マイノリティに係る児童生徒等へのきめ細かな対応も必要である。特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の必要性も高まっている。地域社会の国際化が進む中、我が国で学ぶ外国人の子供や海外で学ぶ日本人の子供の学びも保障されるとともに、多文化共生の考え方も取り入れていく必要がある。

○誰一人取り残されず、相互に多様性を認め、高め合い、他者のウェルビーイングを思いやることができる教育環境を個々の状況に合わせて整備することで、つらい様子の子供が笑顔になり、その結果として自分の目標を持って学習等に取り組むことができる場面を一つでも多く作り出すことが求められる。

○その際、支援を必要とする子供やマイノリティの子供の他の子供との差異を「弱み」として捉え、そこに着目して支えるという視点だけではなく、そうした子供たちが持っている「長所・強み」に着目し、可能性を引き出して発揮させていく視点(エンパワメント)を取り入れることも大切である。このことにより、マイノリティの子供の尊厳を守るとともに、周りの子供や大人が多様性を尊重することを学び、誰もが違いを乗り越え共に生きる共生社会の実現に向けたマジョリティの変容にもつなげていくことが重要である。

 

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