教育振興基本計画 4 2025/01/29 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (2)第3期計画期間中の成果と課題 ○第3期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)においては、第2期計画の理念を引き継ぎつつ、2030年以降の社会の変化を見据えた教育政策の在り方を示すとともに「教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化する」ことを基本的な方針として掲げ、「教育立国」の実現に向けて取組を進めた。 ○こうした取組の成果として、まず初等中等教育段階においては、PISA等の国際調査において、高い学力水準を維持しているほか、GIGAスクール構想により1人1台端末と高速通信ネットワーク等のICT環境の整備が飛躍的に進展した。また、小学校における35人学級の計画的整備や高学年教科担任制の推進等の教職員定数の改善と支援スタッフの充実が図られた。また、インクルーシブ教育システムを推進するため、通級による指導に係る教員定数の基礎定数化、教職課程における特別支援教育に関する科目の必修化、外部人材への財政支援の拡充等を実施した。 ○高等教育段階においては、グランドデザイン答申を踏まえ、大学の認証評価のための法改正、全学的な教学マネジメントや質保証システムの確立、高等教育機関の連携・統合のための体制整備、大学設置基準の改正等、学修者本位の教育への転換に向けた取組を推進した。 ○さらには幼稚園等から大学等までの学校段階を通じた教育費負担の軽減として、幼児教育・保育の無償化、高等学校等就学支援金の充実、高等教育修学支援新制度の導入が行われた。これにより、経済的に困難な世帯の子供の大学進学率が向上するとともに、経済的な理由による大学等中退者・高校中退者の減少がもたらされた。また、質の高い教育研究環境の整備を推進するとともに、安全・安心の確保に向けて施設の長寿命化や耐震化などが一定程度進展した。 ○一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、留学をはじめとするグローバルな人的交流が激減したほか、様々な体験活動の停滞をもたらした。また、学校が児童生徒等の子供たちの居場所・セーフティネットとして身体的・精神的な健康を支えるという、学校の福祉的役割を再認識する契機ともなった。
教育振興基本計画3 2025/01/28 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (2)第3期計画期間中の成果と課題 ○教育基本法の改正後、国は同法に基づく教育振興基本計画をこれまで第1期、第2期、第3期と策定し、教育の目的や理念を具体化する施策を総合的、体系的に位置付けて取組を進めてきた。 ○第1期教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)においては、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿を示して計画を推進し、その検証結果も踏まえて、第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)においては「自立」「協働」「創造」を基軸とした生涯学習社会の構築に向けて教育政策を推進した。
教育振興基本計画2 2025/01/27 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (1)教育の普遍的な使命 ○明治5年に我が国最初の全国規模の近代教育法令である「学制」が公布されてから令和4年で150年を迎えた。この間、各般の教育改革を経て、我が国の教育は国際的に高い水準を達成するに至り、社会の発展に大きく寄与してきた。 ○近時の新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵略は、平穏な日常が脅かされ、基本的な価値が揺らぐという事態をもたらし、平成18年に改正された教育基本法の前文にある「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献する」ことの重要性や教育の目標にある生命を尊重することの大切さを再確認する契機となった。 ○同法第1条においては、教育の目的として「人格の完成」「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」が規定されるとともに、第2条においては教育の目標として、①幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと、②個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと、③正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと、④生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと、⑤伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと、が規定されている。第4条においては、すべての国民がその能力に応じてひとしく教育を受ける機会を与えられる「教育の機会均等」が規定されている。 ○これら教育基本法の理念・目的・目標・機会均等の実現を目指すことは、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代においても変わることのない、立ち返るべき教育の「不易」である。教育振興基本計画は、「不易」を普遍的な使命としつつ、社会や時代の「流行」の中で、我が国の教育という大きな船の羅針盤となるものと言えよう。「流行」を取り入れてこそ「不易」としての普遍的使命が果たされるものであり、不易流行の元にある教育の本質的価値を実現するために、羅針盤の指し示す進むべき方向に向けて必要な教育政策を着実に実行していかなければならない。
教育振興基本計画1 2025/01/24 新たなシリーズを発信します。教育振興基本計画です。時代にあった教育の方向を示しています。保護者におかれましても堅苦しい文章ですが、子どもの教育について考えていきましょう。 教育振興基本計画 令和5 年 6 月 16 日 閣議決定 はじめに ○我が国最初の全国規模の近代教育法令である「学制」が公布されてから令和4年で150年を迎えた。 ○我が国の教育制度は、この間、幾多の改革を経て現在の制度を形成してきた。今般の新たな教育振興基本計画の策定は、教育の発展に尽力してきた先人の努力に思いを致すとともに、未来に向けて教育の在り方を構想するにふさわしい節目の時期に行われるものと言えよう。本計画の策定に当たっては、教育基本法を普遍的な使命としつつ、新たな時代の要請を取り入れていく「不易流行」の考え方を基調とした。 ○第3期教育振興基本計画期間中には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と国際情勢の不安定化という予測困難な時代の象徴ともいうべき事態が生じ、我が国の教育の課題が浮き彫りになるとともに、学びの変容がもたらされた。少子化・人口減少、グローバル化の進展、地球規模課題、格差の固定化と再生産など、様々な社会課題が存在する中、Society5.0を見据え、これからの社会を展望する上で、教育の果たす役割はますます重要となっている。 ○本計画の策定に当たっては、こうした社会全体の潮流を念頭に置いた上で教育政策の在り方について検討を行うとともに、初等中等教育から高等教育、生涯学習・社会教育の連続性を重視し、共通課題を横断的に捉える視点を取り入れた。 ○本計画は、コンセプトとして「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げ、5つの基本的方針と16の教育政策の目標、基本施策及び指標を示している。政府としては、本計画に基づき、各省庁が連携して、今後の教育政策を着実に推進する。また、各地方公共団体においても、本計画の方針や施策を実効性のあるものとするために、政府の基本計画を参酌しつつ、その地域の実情に応じた適切な対応がなされるよう期待したい。 ○我が国の将来を展望したとき、教育こそが社会をけん引する駆動力の中核を担う営みであり、一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展に向けて極めて重要な役割を有している。教育振興基本計画は、将来の予測が困難な時代において教育政策の進むべき方向性を示す「羅針盤」となるべき総合計画であり、本計画に基づいて我が国の教育政策が展開されるよう教育関係各位による取組の推進を期待する。
幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 77 2025/01/23 さらに、幼児教育施設は幼稚園、保育所、認定こども園に分かれ、私立が多数を占めているが、全ての子供に質の高い教育を確保する観点からは、設置者や施設類型を問わず、どの施設においても小学校との連携・協働を進める必要がある。 全ての幼児教育施設及び小学校において架け橋期の教育の充実に向けて連携・協働を進めていくことを強く期待する。また、教育を所管する文部科学省においては、こども家庭庁をはじめとする関係省庁と連携を図りながら、各地方自治体の教育委員会や首長部局、幼児教育施設及び小学校関係者に対して、架け橋期の重要性や幼保小連携の意義などについて指導助言等を行い、幼保小の連携・協働を促進することを求めたい。 現場の今を知る方からすれば、連携が取れていないが、学校側からするとすべてを受け入れているといったことなのでしょう。しかしこれまでの対応では対応できないことも明らかなことでありますから、公私立の垣根を超えた連携・協働のほか手立てはないように感じています。国が期待することに互いの現場が応えて実践していくことで子ども達の将来につながると感じました。 77回シリーズでお届けしました。ありがとうございました。