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2024年 7月

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン10

2024/07/31

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(はじめの100か月の育ちビジョンの目的の在り方)

○以上を踏まえ、本ビジョンの目的は、全てのこどもの誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」から生涯にわたるウェルビーイング向上を図ることである。

〇本ビジョンは、こども基本法の目的・理念にのっとり、多様なこどもの心身の状況や、置かれている環境等に十分に配慮しつつ、ひとしく、それぞれのこどもにとって「こどもの誕生前から幼児期までの育ち」を通じて切れ目なく、こどもの周囲の環境(社会)を捉えながら、その心身の健やかな育ちを保障する観点で定めるものである。

○上記の目的を達成するため、本ビジョンを、全ての人で共有したい理念と基本的な考え方を示し、社会全体の認識共有を図りつつ、政府全体の取組を強力に推進する羅針盤として位置づける。

〇このような羅針盤を策定することで、次代の社会を担う全てのこどもの権利を守り、全ての人の関心及び理解を増進するなど社会全体の認識共有を図るとともに、「こども大綱」に基づくこども施策の推進等を通じて全ての人の具体的な取組を推進することにつなげていく。

 

何はともあれ社会通念を変えていくしかないのです。人それぞれの子ども感、子育て感があり、教育や保育についても大きな開きがあります。自分の経験値だけで判断したり、価値観があります。そのことを否定しているのではなく、これからの子どもを社会全体で支援するビジョンなわけですから、個人の考えではないはずです。そこをしっかり伝え受け取る側も理解しなければなりません。これが新たな時代の取り組みなのです。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン9

2024/07/30

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(こどもから見て切れ目のない保障)

○一人一人のこどもの成長に目を向けると、誕生前後、就園前後、小学校就学前後と、いくつか大きな節目はあるものの、本来こどもの発達は、一人一人違うペースで、絶えることのない連続性の中で進む。「こどもまんなか」の発想に立ち返れば、年齢や学年の事情で引かれた線が、こどもの育ちの大きな切れ目にならないよう、環境(社会)の不断の改善を図っていく必要がある。

○また、こどもは日々の生活において、複数の場や異なる関係性の人との関わりの中で育っており、その環境(社会)は間接的に影響するものも含めて多層的に広がっているものの、こどもの育ちという視点から見ると、家庭、幼児教育・保育施設、こどもの育ちに関する関係機関、地域等のこどもの育ちを支える場を含めた環境(社会)は全てつながっている。「こどもまんなか」の発想に立ち返れば、これらの環境(社会)に関わる人が緊密に連携し、それぞれが「点」でこどもの育ちを捉えるのではなく、本ビジョンの理念や基本的な考え方を共通言語として共有し、できる限り、それぞれの「点」での支えが横につながった「面」のネットワークで育ちを支える環境(社会)を構築していく必要がある。

 

どこから見ても切れ目のない保障は、子どもの成長において多角的にとらえていく必要があります。医療や介護もですが、申出しなければ支援は受けることができないでは知っている人だけためにしかなりません。プッシュ型でも必要です。寄り添い、伴走しながらの支援も大切です。担当者が変わると分からなくなる制度でもダメなのです。コーディネーター、子どものためのソーシャルワーカーも必要ではないでしょうか。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン8

2024/07/29

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(全てのこどもへのひとしい保障)

○一方で、児童虐待による死亡事例を例に挙げても、約半数が0~2歳であるなど、基本的な生命に関するこどもの権利が、誰一人取り残さずひとしく保障されているとは言えない現状がある。

○また、0~2歳児の約6割は就園していない状態であり、少子化の進行等に伴いきょうだいの数も減ってきている中、こども同士で育ち合う機会や、保護者以外のおとなと関わる機会、様々な社会文化や自然等の環境に触れる機会が、家庭の環境によって左右されている現状がある。園や子育て支援、地域社会等とつながることによって、育ちの環境をより一層充実させる機会は、こどもがどこに暮らしていても、家庭の環境に十分配慮しつつ、ひとしく保障されることが必要である。

○さらに、多くのこどもが通園する満3歳以上にあっても、施設類型や家庭・地域で過ごす時間の違いによって、ひとしく育ちを保障する上での格差が生じないようにしなければならない。

○このように、全てのこどもの育ちをひとしく支える上では、今の親世代の幼児期までの育ちと比べ、家庭や地域の状況など社会情勢が変化していることや、今の社会の現実を踏まえ、従来の発想を超えて対応すべき課題がある。

 

就学前の施設においては格差がないよう研修会等含め質の向上に努めていかなければなりません。しかし残念ながら現在の教育保育についてアップデートができていなくて、経験だけで保育を実施していると思われることも散見される事例もあるようです。子ども主体や子どもの人権など常に時代に合わせた教育保育を追及していく必要があると考えます。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン7

2024/07/26

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(「こどもの誕生前から幼児期まで」の重要性)

○乳幼児期は、脳発達の「感受性期」と言われ、脳発達において環境の影響を受けやすい限定された時期の一つであるなど、生涯にわたるウェルビーイング向上にとって、特に重要な時期である。また、生涯の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定されるという考え方もあるなど、「こどもの誕生前」も含め、育ちを支える基盤的時期として捉える必要がある。さらに、「育ち」の側面と両輪をなす「学び」の側面からも、米国における研究で、質の高い幼児教育は長期にわたって影響を与えるとされているなど、幼児期までの重要性は世界的にも確認されている。

○取組によって特に着目する月齢や年齢に違いはあるが、「誕生前から幼児期まで」のこどもを重視した支援は、諸外国や国際機関でも推進されているなど、世界の潮流でもある。

○こどもの生涯にわたるウェルビーイングの基礎を培い、人生の確かなスタートを切るために最も重要であるこの時期への社会的投資こそが、次代の社会の在り方を大きく左右する。そのため、こどもと直接接する機会がない人も含め、社会全体にとっても幼児期までが極めて重要であることが、全ての人の間で共有されなければならない。

 

まず、赤ちゃんの脳がつくられ始めるのは、在胎18日ごろからと言われています。在胎24週(6カ月)くらいまでに、脳はぐんぐんと大きくなりますが、表面にしわがなく、のっぺりしています。在胎28週(7カ月)に入ると大脳の表面にしわや溝がたくさんできて、在胎36~40週(9~10カ月)ごろには大人の脳とほぼ同じ外観をもつようになります。脳が着々と形成される中で、脳の中では神経細胞がその数を増やしています。そして生まれる頃にはほぼ一生分の神経細胞が出来あがっていると考えられています。脳が脳として働くためには、これらの神経細胞同士がネットワークをつくりあげて連携していかなければなりません。生まれたときは神経細胞同士のつながりは、わずかしか出来ていませんが、出生直後から急速に脳のネットワーク化が進んでいき、情報を伝達するスピードも上がっていきます。このことを踏まえ、胎児のころから発達を捉える必要があるのです。

 

 

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン6

2024/07/25

1.はじめの100か月の育ちビジョンを策定する目的と意義

・生涯にわたる身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの向上

(多様性を尊重し、包摂的に支援する)

○本ビジョンは、特別な支援や配慮を要するこどもであるか否かにかかわらず、どのような環境に生まれ育っても、また、心身・社会的にどのような状況にあっても、多様な全てのこども一人一人をひとしく対象としている。

○特に、障害児については、他のこどもと異なる特別なこどもと考えるべきではなく、一人一人多様な育ちがある中で個々のニーズに応じた丁寧な支援が必要なこどもと捉えることが大切であり、障害の有無で線引きせず、全てのこどもの多様な育ちに応じた支援ニーズの中で捉えるべきである。また、心身の状況にかかわらずひとしく育ちを保障するために、周囲の環境(社会)を整える視点も重要である。

○また、本ビジョンは、共生社会の実現に向けて、幼児期までの時期から切れ目なく、インクルージョンの考え方を前提としている。その上で、体制整備も含め、一人一人のこどもの育ちの質を持続的に担保する必要がある。これは、学童期以降のインクルーシブ教育システムの実現とも切れ目なくつながる、共生社会の実現に向けた重要な視点である。

○さらに、身体的・精神的・社会的なあらゆる要因によって困難を抱えるこどもや家庭を包括的に支援する必要がある。

 

特別な支援や配慮を要するこどもであるか否かにかかわらず、どのような環境に生まれ育っても、また、心身・社会的にどのような状況にあっても、多様な全てのこども一人一人をひとしく、多様性を尊重し、包摂的に支援する。児童福祉法の精神はこのことが根底のように思います。

 

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