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園からの発信

子どもの成長131

2026/09/16

暑熱ストレスや脱水、および両者の重複で、長時間運動中の炭水化物利用はどう変化する?

抽出された研究の特徴

51件の研究の参加者は合計502人(女性6%)で、2件の研究は女性のみを対象としていたほか、5件の研究に女性が含まれていた。暑熱環境の影響を検討した研究は29件(57%)で、脱水の影響を検討した研究は23件(45%)だった。また、脱水の影響を検討した研究のうち、11件(48%)は暑熱条件(34.9±3.9℃、相対湿度36.3±10.7%)で実施され、13件(57%)は温暖条件(20.6±5.9℃、相対湿度40.3±9.2%)で実施されていた。1件は、暑熱条件と温暖条件、および脱水条件と非脱水条件で検討されていた。

運動の負荷には自転車、ランニング、傾斜のあるトレッドミルなどが用いられていた。

 

脱水は暑熱環境下でのみ炭水化物利用に影響を及ぼす

暑熱負荷はRER上昇、炭水化物酸化亢進、グリコーゲン利用増加に関連

暑熱負荷のRERへの影響

暑熱環境が長時間運動中の呼吸交換比(RER)に及ぼす影響を検討した研究は23条件で実施されており、そのうち6条件で、暑熱負荷によりRERが有意に上昇することが示されていた。メタ解析の結果、暑熱負荷によりRERが有意に上昇することが示された(標準化平均差〈SMD〉=0.33〈0.16~0.50〉)。研究間の異質性は中等度だった(I2=27%)。

子どもの成長130

2026/09/15

暑熱ストレスや脱水、および両者の重複で、長時間運動中の炭水化物利用はどう変化する?

暑熱環境下や脱水が、長時間運動中の呼吸交換比、炭水化物酸化、グリコーゲン利用にどのような影響を及ぼすかを、システマティックレビューとメタ解析で検討した結果が報告された。暑熱環境では炭水化物の利用が高まるものの、脱水の影響は暑熱環境でのみ有意だという。

地球温暖化によるスポーツパフォーマンス低下への対策

地球温暖化の影響により、暑熱環境でのスポーツ大会開催が増加している。暑熱環境では、炭水化物代謝が変化し、グリコーゲン利用の増大、炭水化物酸化の増加、乳酸の蓄積が生じ、これらはとくに持久系競技のパフォーマンス低下に関与すると考えられている。また、暑熱環境下での運動では脱水が起こりやすく、脱水もまたエネルギー基質の利用を変化させる可能性が示唆されている。

これらの影響について、今回取り上げる論文の研究背景に述べられているところによると、これまでに2報のナラティブレビュー論文が報告されているにとどまり、システマティックレビューとメタ解析のための優先レポート項目(preferred reporting items for systematic reviews;PRISMA)に準拠したレビューは実施されていないという。これを背景として著者らは、PRISMAに則したシステマティックレビューとメタ解析によって、暑熱環境および脱水が、長時間運動中の炭水化物利用に及ぼす影響を検討した。

 

5件の研究報告を統合して暑熱と脱水の影響を検討

PubMed/MEDLINE、SportDiscusに2023年12月までに収載された論文を検索し、2024年11月に追加の論文の有無を確認した。包括条件は、暑熱や脱水、またはそれら両者が、長時間(15分以上)の持久運動中の呼吸交換比(respiratory exchange ratio;RER)、炭水化物の酸化、グリコーゲンの利用に及ぼす影響を、18歳以上の成人を対象として検討し、査読のあるジャーナルに掲載された英語による原著論文とした。ヒットした論文の参考文献もハンドサーチで検索した。論文発表の時期は制限しなかった。

一次検索で9,273報がヒットし、重複削除後に2名の研究者が独立して、タイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により解決した。251報を全文精査の対象として最終的に51件の研究報告を適格と判断した。

子どもの成長129

2026/09/14

暑い季節にも身体活動を続けるための推奨事項を探る

これらのレビューに基づき、論文の結論は以下のように総括されている。

「暑熱期における身体活動に関する既存の推奨事項には、心血管疾患を抱える成人のための具体的な指針が欠けている。既存のガイドラインは、主に運動や職業における労作性熱中症のリスクを最小限に抑えることに重点を置いており、ほとんどの推奨事項は専門家以外が容易に実施できるものではない。今回のレビューは、気候の温暖化が進む状況においても、心血管疾患を抱える成人が安全に身体活動を継続できるよう、実用的な推奨事項を策定することの必要性を浮き彫りにしている」。

子どもの成長128

2026/09/11

暑い季節にも身体活動を続けるための推奨事項を探る

レビューの手法

スコーピングレビューのガイドライン(PRISMA-ScR)に準拠し、MEDLINE、SPORTDiscus、Web of Science Core Collectionの各文献データベースに2024年1月26日までに収載された論文を対象として、「ガイドライン」「身体活動」「高温」などのキーワードで検索を実施。ヒットした文献の参考文献や灰色文献(学術的なジャーナルに正式に発表されていない文献)の検索も行った。

包括基準は、CVD既往のある18歳以上の成人の暑熱環境での身体活動について、身体活動を制限すべき気温、推奨事項を述べている、英語またはフランス語の文献とした。低酸素環境、暑熱馴化、妊婦に関する報告は除外した。

特定した文献の特徴

一次検索で467報がヒットし、重複削除後に3名の研究者がタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は4人目の研究者との討議により解決した。70報に絞り込み全文精査を行い、最終的に32報を適格と判断した。

32報中15報は、政府の報告書、政策ガイドライン/意見表明などの灰色文献や書籍、専門家の見解/レビューなどだった。全体の59%は北米、22%がオーストラリア発の報告で、欧州とアジア(うち2報は日本)が各9%を占めていた。最も古い報告は1975年であり、2015年以降は毎年1報以上の報告がなされていて、2019~21年には3年間連続で3報が報告されていた。

心血管疾患のある人が安全に身体活動を継続するための推奨事項の策定が必要

32報中24報(75%)の報告は、身体活動を制限すべき温度の閾値を報告していた。また、78%は暑い日の身体活動に特化した内容で、残りの22%は暑い日の日常生活の一般的な推奨事項の一つとして身体活動を取り上げていた

触れられている内容は暑熱に関する事故の予防が最多であり(100%)、症状/有害事象(81%)、暑熱関連の健康リスク因子(56%)、治療法(53%)が続いていた。症状/有害事象について説明している26の報告を詳しくみると、熱中症についてはすべて(100%)が扱っており、その他、熱疲労(92%)、熱けいれん(50%)が頻繁に言及されていた。

CVD既往者の暑熱環境での安全な身体活動のための推奨を述べた報告はない

その一方で、暑熱環境での身体活動に関連する可能性のある健康リスクとして、心血管イベントに言及している報告はみられなかった(0%)。ただ、20報(63%)の報告では、暑い天候での身体活動中または活動後に、特定の集団では健康リスクが高まると述べており、そのうち12報はCVD既往者をそのリスク因子保有者として挙げていた。しかし、それらの報告のいずれも、CVD既往者が暑い時期に安全な身体活動をけることに特化した推奨事項は示していなかった。

なお、熱中症による健康問題を予防するための最も多く挙げられた推奨事項としては、身体活動を中止するか涼しい時間帯に変更して行うこと(94%)と、十分な水分補給(84%)が挙げられる。

子どもの成長127

2026/09/10

心血管疾患既往者が暑い季節にも身体活動を続けるための推奨事項を探るスコーピングレビュー

心血管疾患を有する成人が、暑熱環境下でも身体活動を継続しようとする際の推奨事項を、スコーピングレビューで検討した研究結果が報告された。論文の結論は、「現時点で心血管疾患を有する成人の暑熱環境下での身体活動に関する推奨事項は存在しない」というもので、著者らはこのギャップを埋める必要性を強調している。

地球温暖化が、運動療法が欠かせない人たちのその機会を奪っている

心血管疾患(cardio vascular disease;CVD)の一次予防や二次予防において、身体活動が重要であることは論をまたない。しかし、CVD予防のための身体活動を妨げる因子として近年、地球の温暖化の影響力が急速に増大している。暑熱環境での高体温は、心臓の負荷の上昇、発汗による脱水とそれによる熱中症リスク、および心血管イベントや急性腎障害のリスク上昇を招く。このことから最近では、多くの国の公的機関や医学関連団体が、暑熱環境では運動を控えるようアナウンスをしている。

しかし、それらのアナウンスの大半は、一般の人の熱中症リスク回避を目的とするものであり、CVD既往者に対する何らかの付加的な注意または推奨は含まれていない。その一方で、暑熱負荷による心血管イベントのリスクが上昇する体温の閾値は、熱中症のリスクが高まる閾値よりも低い可能性が指摘されている。例えば、冠動脈疾患を有する患者では、熱曝露による体幹温度がわずか0.5℃上昇するだけで、心筋虚血のリスクが上昇するというデータが報告されている。

これらを背景として、今回取り上げる論文の著者らは、CVD既往者が暑い季節に身体活動を続けるための推奨に関する情報を、スコーピングレビューにより探索した。なお、スコーピングレビューとは、メタ解析などの詳細な検討をするほど十分な研究報告がない、比較的新しいトピックについて、全体像を把握するために行うレビューのこと。

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