子どもの成長34 2026/04/24 有酸素運動で効果量が大きい傾向があるものの、運動のタイプによらず有意 介入に用いた運動のタイプ別のサブグループ解析も実施された。その結果、有酸素運動でより高いSMDが示される傾向にあったが、サブグループ間での有意差はなく(p=0.562)、全体解析の結果はSMD=0.47(0.35~0.60)、I2=66.5%であり、運動介入はそのタイプによらず未成年の認知機能を向上させ得ると考えられた。サブグループごとの解析結果は以下のとおり。 有酸素運動による介入を行ったRCTは20件だった。19件の研究はSMDが0を上回っており、かつ、7件の研究は95%信頼区間の下限が0を超え、単独でも有意な影響を示していた。1件の研究はSMDが0を下回っていたが、信頼区間の上限は0を超えていた。メタ解析の結果はSMD=0.53(0.32~0.73)、I2=74.2%だった。 高強度インターバルトレーニングによる介入を行ったRCTは4件だった。いずれの研究もSMDは0を上回っていたが95%信頼区間が0をまたぎ、それぞれ単独では有意な影響を示していなかった。しかしメタ解析の結果は、SMD=0.30(0.05~0.56)と有意であり、研究間の異質性を認めなかった(I2=0%)。 抵抗力トレーニングによる介入を行ったRCTは2件だった。いずれの研究もSMDは0を上回っていたが95%信頼区間が0をまたぎ、それぞれ単独では有意な影響を示していなかった。しかしメタ解析の結果は、SMD=0.46(0.10~0.83)と有意であり、研究間の異質性を認めなかった(I2=0%)。 複合運動よる介入を行ったRCTは8件だった。いずれの研究もSMDが0を上回っており、かつ、5件の研究は95%信頼区間の下限が0を超え、単独でも運動介入の有意な影響を示していた。メタ解析の結果はSMD=0.51(0.29~0.73)、I2=67.4%だった。
子どもの成長33 2026/04/23 運動介入は未成年の認知機能を向上させ得る 評価されていた認知機能は、実行機能、注意機能、認知的柔軟性(状況の変化に応じて思考や行動を切り替える能力)、抑制制御(不適切な反応や衝動を抑えて行動をコントロールする能力)、ワーキングメモリ(一時的に保持できる情報の量とその処理能力)であり、それら評価項目ごとにメタ解析が行われた。 実行機能については7件のRCTのデータがメタ解析の対象となった。いずれの研究も、標準化平均差(SMD)は0を上回っていたが95%信頼区間が0をまたぎ、それぞれ単独では実行機能に対する運動介入の有意な影響を示していなかった。しかしメタ解析からは、SMD=0.21(95%CI;0.06~0.37)で研究間の異質性はなく(I2=0%)、運動介入により実行機能が向上することが示された。 注意機能については9件のRCTのデータがメタ解析の対象となった。いずれの研究もSMDが0を上回っており、かつ、6件の研究は95%信頼区間の下限が0を超え、単独でも運動介入の有意な影響を示していた。メタ解析の結果はSMD=0.56(0.34~1.22)で、運動介入により注意機能が向上することが示された。ただし研究間の異質性が高かった(I2=71%)。 認知的柔軟性については5件のRCTのデータがメタ解析の対象となった。4件の研究はSMDが0を上回っており、かつ、3件の研究は95%信頼区間の下限が0を超え、単独でも運動介入の有意な影響を示していた。ただし1件の研究はSMDが0を下回っていた(信頼区間の上限は0超)。メタ解析の結果はSMD=0.53(0.04~1.02)で、運動介入により認知的柔軟性が向上することが示された。ただし研究間の異質性が高かった(I2=83%)。 抑制制御については10件のRCTのデータがメタ解析の対象となった。いずれの研究もSMDが0を上回っており、かつ、3件の研究は95%信頼区間の下限が0を超え、単独でも運動介入の有意な影響を示していた。メタ解析の結果はSMD=0.58(0.22~0.86)で、運動介入により抑制制御が向上することが示された。ただし研究間の異質性が高かった(I2=78%)。 ワーキングメモリについては3件のRCTのデータがメタ解析の対象となった。いずれの研究も、標準化平均差(SMD)は0を上回っていたが95%信頼区間が0をまたぎ、それぞれ単独では実行機能に対する運動介入の有意な影響を示していなかった。しかしメタ解析からは、SMD=0.54(0.16~0.91)で研究間の異質性はなく(I2=0%)、運動介入によりワーキングメモリが向上することが示された。
子どもの成長32 2026/04/22 18歳未満の認知機能が運動介入で向上 実行機能・注意機能・記憶力を有意に改善する可能性 運動による認知機能への影響をシステマティックレビューとメタ解析で検討した研究結果が報告された。実行機能や注意機能、ワーキングメモリなどが運動介入による有意に改善すること、とくに有酸素運動の影響が大きいことなどが明らかにされている。中国の研究者の報告。 成長期に行う運動は認知機能に有意な影響を及ぼすのか? 論文に述べられている研究背景によると、運動は認知機能にプラスの影響を及ぼすとする報告が多いものの、依然として一貫性が欠如しているという。このことから著者らは、とくに認知機能の成長段階にある未成年に焦点をあて、システマティックレビューとメタ解析により運動の有効性を検討した。 システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠し、Web of Science、Embase、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CBMなどの文献データベースを利用して、それぞれの開始から2024年11月までに収載された論文を対象に、18歳未満の未成年に対する運動加入の認知機能への影響を無作為化比較試験(RCT)で検討した、査読システムのあるジャーナルに掲載された論文を検索。ヒットした論文の参考文献や灰色文献(学術的なジャーナルに正式に発表されていない文献)のハンドサーチも行った。コホート研究、症例対照研究、レビュー論文、学会発表、および、英語または中国語以外の言語の論文などは除外した。 一次検索で2,909報がヒットし、ハンドサーチにより1報を追加。重複削除後の2,560報を3名の研究者が独立してタイトルと要約に基づきスクリーニングを行い51報に絞り込み、全文精査を実施。最終的に、21件のRCTの報告を適格と判断した。 抽出されたRCTの参加者数は合計3,544人(運動介入群1,730人、対照群1,814人)、介入期間は2~39週間だった。
子どもの成長31 2026/04/21 複数の組織化されたスポーツに参加していることは、性別を問わず運動能力向上に関連 運動能力の発達にはスポーツへの参加と屋外活動が、重要かつ独立した役割を果たす 全体的な傾向として、組織化されたスポーツへの参加は、とくに複数のスポーツに参加している場合に、性別を問わず、3年後の運動能力がより高いことと有意な関連が認められた。その一方で、屋外で過ごす時間の長さは女児でのみ、有意な関連が認められた。この点について著者らは、男児は総じて屋外で過ごす時間が長いのに比べて、女児は屋外で過ごす子どもとそうでない子どもの差が大きいことが、このような差が生まれる原因ではないかと考察している。 なお、屋外で過ごす時間が長いことと、組織化されたスポーツに参加していることの、運動能力発達に対する相乗効果は観察されなかった。著者らは、「我々の研究結果は、子どもの運動能力の発達を促すうえで、組織的なスポーツへの参加と屋外での活動が、重要かつ独立した役割を果たすことを示している」と総括している。
子どもの成長30 2026/04/20 複数の組織化されたスポーツに参加していることは、性別を問わず運動能力向上に関連 運動能力の評価には、粗大運動発達テスト3版(Test of Gross Motor Development-3rd edition;TGMD-3)、および、身体協調性を把握するKTKテストを用いた。 ベースライン時点での屋外で過ごす時間、および組織化されたスポーツの参加と、3年後のTGMD-3およびKTKテストの結果との関連性は、線形回帰モデルで検討された。なお、運動能力に対する社会経済的地位の影響も想定されたため、共変量として検討した結果、有意な影響は観察されなかったことから、最終的な解析モデルでは除外された。 解析は、TGMD-3とKTKテストに基づき、横跳び(jumping sideways;JS)、移動スキル(locomotor skills;LMS)、ボール等のコントロールスキル(object control skills;OCS)、基本的動作スキル(fundamental movement skills;FMS)という4項目について行われた。 横跳び(JS) 男児は、複数の組織化されたスポーツ活動を行っていた場合に、3年後の横跳び(JS)の成績が有意に良好だった(スポーツ活動非参加に対してp=0.005)。単一の組織化されたスポーツ活動を行っていたことは、3年後のJSの成績に有意な関連がなかった。また、屋外で過ごす時間の長さは、平日・休日問わず、3年後のJSの成績に有意な関連がなかった。 女児は、平日に屋外で過ごす時間が長いことが、3年後のJSの成績が良好という有意な関連が認められた(30分未満に対して30~60分はp=0.009、60分以上はp=0.024)。休日に屋外で過ごす時間の長さは、3年後のJSの成績と有意な関連がなかった。また、組織化されたスポーツ活動を行っていた場合に、3年後のJSの成績が良好という有意な関連が認められた(単一のスポーツでp=0.025、複数のスポーツでp=0.013)。 移動スキル(LMS) 男児・女児ともに、複数の組織化されたスポーツ活動を行っていた場合に、3年後の移動スキル(LMS)が有意に良好だった(男児はp=0.001、女児はp=0.020)。単一の組織化されたスポーツ活動を行っていたことは、3年後のLMSに有意な関連がなかった。また、屋外で過ごす時間の長さは、平日・休日問わず、男児・女児ともに3年後のLMSに有意な関連がなかった。 ボール等のコントロールスキル(OCS) 女児は平日に屋外で過ごす時間が30~60分の場合に、3年後のボール等のコントロールスキル(OCS)が良好という有意な関連が認められた(p=0.006)。平日に60分以上屋外で過ごすことや、休日に屋外で過ごす時間の長さは、3年後のOCSと有意な関連がなかった。また、組織化されたスポーツ活動を行っていた場合に、3年後のOCSが良好という有意な関連が認められた(単一のスポーツ、複数のスポーツともにp=0.026)。 男児はすべての関連が非有意だった。 基本的動作スキル(FMS) 男児・女児ともに、複数の組織化されたスポーツ活動を行っていた場合に、3年後の基本的動作スキル(FMS)が有意に良好だった(男児はp=0.002、女児はp=0.005)。単一の組織化されたスポーツ活動を行っていたことは、3年後のFMSに有意な関連がなかった。このほかに、女児が平日に30~60分屋外で過ごしていた場合に、3年後のFMSが良好だった(p=0.003)。