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園からの発信

子どもの成長94

2026/07/24

否定的なコメントを受けた頻度が成人後のメンタルヘルスと有意に関連

上記の回答状況と、若年成人期の羞恥心、罪悪感、抑うつなどの関連を検討した結果、以下の有意な相関が観察された。

まず、体重に関する否定的なコメントを受けた頻度は、外見上の羞恥心(shamer/r=0.28)、外見上の罪悪感(guilt/r=0.29)、外見上の当惑感(embarrassment/r=0.23)と有意に関連していた。また、ボディーイメージ上の羞恥心(r=0.23)とも有意に関連しており、さらに、抑うつレベルの高さとも有意に関連していた(r=0.25)。

論文の結論は、「青年期の女子アスリートは、さまざまな体重に関する否定的なコメントを受けていることが明らかになった。こうしたコメントは若年成人期に成長後の外見への否定的な感情、抑うつレベルの上昇などと関連していた。本研究は、女子スポーツにおける外見と体重へのこだわりが、質の高いスポーツ体験だけでなく心理的な健康も損なうという、増加しているエビデンスに新たな知見を加えるものである」とまとめられている。

子どもの成長93

2026/07/23

解析対象アスリートの特徴

この研究の解析対象は、カナダで実施された、スポーツに参加している思春期女子のボディーイメージとスポーツ経験との関連性に関する前向きコホート研究から抽出された。同研究の参加者数は518人で、参加者は2014~17年にわたり毎年、自己申告による調査に回答を求められた。本研究ではこの回答者の中から、2021年に行った追跡調査に回答した124人を対象に行われた。

124人のうち2人は調査において性別への回答を拒否し、1人はノンバイナリーと回答していたが、アスリートとしての経歴においては全員が女性として競技に参加していた。年齢は21.48±1.39(範囲19~25)歳で、61.0%は何らかのかたちで追跡調査時点でもスポーツを継続していたが、39.0%は既にスポーツから引退していた。また37.1%は学生、33.0%は就業中であり、4.8%は無職だった。

アスリート時代に行っていた競技は、サッカーが61.3%と多くを占め、他に水泳が11.3%、ホッケーが9.7%、体操が4.0%であり、その他に10種類の競技が挙げられ、いずれも3%未満だった。

体重関連の否定的なコメントを受けた体験の評価

青年期の体重関連の否定的なコメントを受けた体験については、以下の2項目の質問で把握した。

一つ目は「あなたの体重について否定的なコメントをどのくらいの頻度で受けたか」、二つ目は「次に挙げる人から体重を変えるように、どのくらいの頻度で勧められたか」であり、いずれも「全くなかった(never)」、「まれに(rarely)」、「時々(sometimes)」、「しばしば(often)」から選択してもらい、それぞれを0点、1点、2点、3点にスコア化して解析した。コメントを発した人としては、両親、対戦相手、チームメイト、コーチ、観客という選択肢を設けた。

上記の回答との関連性を検討した項目は、羞恥心、罪悪感、抑うつなどであり、それぞれ質問票を用いて評価した。

回答者の4人に1人は体重に関する否定的なコメントを受けた経験を報告

回答者のほぼ4分の3(73.4%)が、青年期に少なくとも1回、関係者から体重に関する否定的なコメントを受けた経験があると回答し、ほぼ半数(44.4%)がその経験の頻度を「時々」以上と回答した。否定的なコメントを発した人は、両親(44.4%)とコーチ(37.1%)が多かった。ただし、回答者の20%以上が、前述の選択肢の立場のすべてを、否定的なコメントを発した人物として挙げた。

さらに64.5%が少なくとも1回、関係者から体重を変えるように勧められたと回答し、39.5%がその頻度を「時々」以上と回答した。両親とチームメイトに減量を勧められたとする回答はそれぞれ52.0%、58.8%だった。

子どもの成長92

2026/07/22

体重関連の否定的な発言を受けた女性アスリートは、成人後の羞恥心、罪悪感、抑うつが強い

青年期に体重に関する否定的な発言を受けたことのある女子アスリートは、若年成人期に成長後にも外見上の羞恥心や罪悪感が強く、抑うつ傾向が強いという研究結果を紹介する。著者らは、このような周囲の言動が女子アスリートのスポーツからの離脱の一因となっているのではないかとの考察を加えている。カナダからの報告。

ボディーイメージや体重のスティグマは女性アスリートに長期的な影響を及ぼす?

アスリートは体型や体重について周囲から指摘を受けることが多く、とくに女子アスリートで多いことが報告されている。そのような指摘は審美系や体重別階級のある競技のアスリートに多くなされるものの、体重や体格が評価等に直接関係のない競技のアスリートにもなされることもある。

ボディーイメージや体重に関する周囲からのコメントが本人へのプレッシャーとなり、否定的な考え方が内在化されてしまい、その後の身体的および心理的な健康へ負の影響を及ぼすことが懸念される。近年では、このような「体重スティグマ」とも呼ばれる偏見の存在への関心が高まりつつあるが、実際にアスリートへどれほどのインパクトを与えているのかは必ずしも十分明らかにされていない。

これを背景として、この論文の研究では、青年期の女子アスリートは周囲から体重に関する否定的な発言を受けることが多く、その体験は成長後のボディーイメージや幸福感の低下と関連するとの仮説の検証が行われた。

 

子どもの成長91

2026/07/21

最もアプローチが難しい世代へのメンタルヘルス教育におけるアスリートの役割

著者らは、本研究が単一の小学校のみで実施され、ワークショップ前後の生徒の知識や態度の変化を定量的に評価していないといった限界点があることを認めたうえで、次のように結論を述べている。

「アスリートによるアートを活用したワークショップは、子どもたちのメンタルヘルスを促進する有意義で革新的なアプローチとなる可能性がある。アスリートがアートを用いることで、参加者は感情を表現しやすくなり、助けを求めたり、他者を支えたりすることへの心理的なハードルを下げることができる。」

また、「アスリートとメンタルヘルスの専門家が協力することで、若年世代にも根強く残るスティグマを軽減することが可能となる。とくに、このアプローチが難しい世代向けたメンタルヘルス教育では、新たな指導方法の模索が重要である」と付言している。

 

子どもの成長90

2026/07/17

小学校の授業でのワークショップ開催

この背景を踏まえ、「よわいはつよいプロジェクト」が小学校の体育(保健領域)におけるメンタルヘルス教育に参加する試みが企画された。企画会議では、小学校の図画工作の授業を担当し、画家でもある教師が「絵を描くことで生徒が自身の心の状態を表現できる」というアイデアを提案。この手法は複数の研究で有用性が示されており、アートを活用したメンタルヘルス教育ワークショップが開催されることとなった。対象は小学校5年生である。

事前の準備

ワークショップに向けて、ラグビー選手にはメンタルヘルスの専門家によるトレーニングセッションが実施された。アスリートが個人的な経験を構造的に表現できるよう支援した。

このワークショップでは、「子どもたちの非言語表現の促進」、「アスリートとの社会的接触の促進」、「協力的な学習環境の醸成」という変化が期待された。

ワークショップの内容

ワークショップは通常の授業時間4時限内で実施された。主な内容は、以下の通りであった。

1) アイスブレーカー(15分):ラグビーパスとタックルの実演と体験

2) エリートアスリートによる講演(15分):「よわいはつよいプロジェクト」の理念、メンタルヘルス経験の共有、助けを求めることの重要性

3) ストレスとパフォーマンスの関係を学ぶ体験活動(15分):ストレスを可視化し、負荷の影響を理解する

4) アートを用いた活動(75分):メンタルヘルスの状態を色と形で表現し、仲間と共有

ワークショップ後のフィードバック

ワークショップの主な成果は以下の3点にまとめられる。

1) アスリートからメンタルヘルスについて学ぶ

2) 芸術的表現を通じてメンタルヘルスの状態や感情を明確に表現する

3) 他者のメンタルヘルスに関心を持ち、サポートする意識を育む

実際に参加した生徒の多くは肯定的な感想を述べ、否定的な反応はみられなかった。とくに、「アスリートからメンタルヘルスについて学ぶ」という点に関しては、多くの生徒がアスリートの個人的な経験談に興味を示した。「堂々とした逞しいアスリートと対話し、実際に彼らの存在に触れることで、不安や心配といった心の状態を否定せずに受け入れられるようになった」、「不安や悩みを他者と共有することは恥ずかしいことではないと感じた」といった意見が寄せられた。また、複数の生徒が「絵を描くことで徐々に心が落ち着き、他者に感情を表現する力や、仲間の感情を理解する力が向上した」と報告をした。さらに、助けを求めることと、他者を助けることの両方が大切だとの気づいた」といったコメントも多くみられた。

加えて「ラグビー選手がとても背が高くて大きいことに驚いた」「ラグビーをやってみたい」といった感想もあった。これらはワークショップの直接的な目的とは異なるものの、生徒たちが積極的に関与し、アスリートとの信頼関係を築いたことを示していると考えられる。

 

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