幼児教育の質の向上3 2026/01/27 Ⅰ.幼児教育の振興の意義及び今後の基本的な方向性 1.幼児教育の重要性 ○ 幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。平成18 年に全面改正された教育基本法(平成18 年法律第120 号)においては、こうした幼児教育の重要性が謳われ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならないとされた。 ○ 平成19 年には、学校教育法(昭和22 年法律第26 号)が改正され、幼稚園が学校教育のはじまりとして、小学校以降の教育との発達や学びの連続性が明確になるよう、各学校種の中で最初に規定されるとともに、教育基本法に教育の目的、目標及び幼児期の教育に関する規定が置かれたこと等を踏まえ、学校教育法の幼稚園の目的及び目標に関する規定が置かれた。そして、その目的としては、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものであることが明記されている。 ○ 諸外国においても、質の高い幼児教育を提供することで、忍耐力や自己制御、自尊心といった社会情動的スキルやいわゆる非認知的能力を育み、将来の生活に大きな差を生じさせる効果があるとの研究成果をはじめ、幼児教育への重要性についての認識が高まっている。
幼児教育の質の向上2 2026/01/26 はじめに 令和元年10 月1日より、幼児教育・保育の無償化がスタートした。同年5月に子ども・子育て支援法の一部を改正する法律(令和元年法律第7号)が成立し、消費税率引上げの財源を活用して、これまで段階的に進められてきた無償化の取組を一気に加速する形で実施されることとなった。この無償化の意義としては、少子化対策の必要性と並んで、幼児教育の重要性が掲げられているところである。 一方で、平成29 年3月には、子供の育ちをめぐる環境の変化等も踏まえながら、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が改訂され、平成30 年4月からこうした新幼稚園教育要領等を踏まえた現場での実践が行われている。 平成18 年の教育基本法の改正の際、幼児教育については、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることが規定され、以来、約10 年が経過した。幼児教育の重要性の認識の高まりと、それに伴う幼児教育の質の向上を求める声の高まりに対し、国、地方公共団体はもとより、幼児教育に携わる者の全てが協力し、取り組んでいくことが必要である。 本検討会は、こうした背景を踏まえ、幼児教育の実践の更なる質の確保・向上に関する方策等について検討することを目的に設置され、平成30 年6月に第1回を開催し、これまで9回にわたって、様々なテーマについて有識者へのヒアリングや議論を行ってきた。また、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の対象地域が本年4月に全国に拡大され、様々な施設が休業せざるを得ない状況が広まる中、本検討会においては、子供たちの心身の健全な発達に向けた家庭及び地域における教育の支援をはじめ幼児教育がその役割をしっかり果たしていくことについても議論したところである。これらを踏まえ、今般、これまでの検討結果について中間的に取りまとめることとしたものである。 本中間報告が、我が国の質の高い幼児教育の提供及び子供たちの健やかな成長を育む環境の一層の充実に向けた施策等の推進の一助となることを期待する。
幼児教育の質の向上1 2026/01/23 幼児教育の質の向上について (中間報告) 令和2年5月26日 幼児教育の実践の質向上に関する検討会 保育所等における保育の質の確保・向上に続くシリーズです。保育所と幼稚園における教育・保育は整合性が示されていますので、保育所において、未満児の保育以外は共通することが多く、と言いますか趣旨は同じはずなのです。 保護者の就労に関わらず教育が実施される場所であり、保育所保育指針、幼稚園学習指導要領、認定こども園における教育保育要領ははっきり言って同じで、同じでなければならないにもかかわらず、管轄等の違いや化石のように教育は3歳からとする教育論者の方々は、保育所における保育は、教育ではないとして認められません。幼稚園教育要領の表現は「保育をする」としています。このことはどうでもよいのですが、就学前の施設において三指針は表現は違えど、整合性がとられていることは事実なのです。 だからこそ幼稚園における幼児教育の質の向上について、前シリーズの保育所等における質の確保・向上と比較いただきたく、起稿をしてまいります。尚、平成27年度から待機児童解消を趣旨とした新たな保育制度が始まり3歳未満児を預かる地域型保育施設、企業主導型保育施設等の登場において、保育士資格以外の預かり施設もあり、そういった施設は指針には沿う必要もないとする預かり施設でありますが、保育施設と名乗られます。 教育・保育といった表現においては指針の整合性が図られ、指針に沿い、子ども達の健やかな成長を支え、小学校教育の前倒しではなく、礎を育む、探求心や人と関わる力などに軸足を置いた保育であります。三指針に沿わない施設は保育施設とは言えないのではと疑問があります。 ともあれ、幼稚園教育要領にも何と「保育する」と表記されており、幼児教育としてどんな質の向上を目指しているのかを見ていきましょう。
保育の質の確保・向上33 2026/01/22 4.まとめと今後の展望 (2)今後の展望 (実践の質の向上を支える施策の実施と情報共有・意見交換の場づくり) 〇行政の役割として、現場におけるよりよい保育に向けた実践や取組を支える施策を推進することが求められる。特に研修時間やノンコンタクトタイムに関しては、その確保が難しい現場も少なくないのが現状である。キャリアアップ研修をはじめ、各現場における全ての保育士等の資質・専門性の向上を図っていくための施策が講じられることが重要である。 〇3(2)において今後検討を深めるべき事項として挙げられた「3歳未満児の保育」「移行期の保育と接続」「特別な配慮を必要とする子どもの保育」「保護者に対する子育て支援」のほか、集団生活の中での子どもの健康・安全の管理と人との関わりを中心とした豊かな体験の保障、保育や職員の研修及び業務負担軽減等におけるICTやデジタルメディアの活用など、保育の実践及び現場の運営に関して、今日多くの現場で模索されている課題がある。 〇これらに関して、本検討会の議論を踏まえ引き続き様々な場において議論を深めていくことが求められる。その際、調査研究と実践を連動させながら、関係者間で継続的に理解の共有・促進を図っていくことが重要である。また、こうした課題について、全体的な現状・動向と先駆的な事例等を把握し、広く共有できるようにすることは、現場が各々の実態に即した方策等を検討する上で有用と考えられる。 〇こうしたことを踏まえ、今後、国や自治体において、保育所保育指針に基づく保育の実践等に関する共通理解を図るとともに、各現場の実践や取組等の例を基に関係者間で情報共有や意見交換を行う場・機会をつくっていくことが求められる。 保育の質の確保・向上として、国の検討会資料を連載転載してきました。まだまだ「子どもにとってどうか」を追求して保育実践を進めていきたいと思います。
保育の質の確保・向上32 2026/01/21 4.まとめと今後の展望 (2)今後の展望 (地域における保育・幼児教育関係者のネットワーク構築) 〇現場によって保育の質の確保・向上に関する意識や取組状況が異なる中で、各現場がそれぞれの実態に即して自律的に取り組んでいくことに資するよう、地域において様々な現場の保育・幼児教育関係者が互いに情報を共有したり学び合ったりすることを支えるネットワークの構築が求められる。また、各地域において、こうしたネットワークづくりとともに、評価や研修等への保育士等の主体的な参画や各現場における効果的な園内研修・公開保育等の実施の支援を担う人材の育成・配置を進めていくことが重要である。