子どもの成長86 2026/07/13 完璧主義のアスリートは睡眠の質が悪い? 精神的な強靭さにより改善する可能性も アスリートの睡眠の質が、完璧主義であることによって低下するとする研究結果が報告された。ただし、精神的な強靭さを兼ね備えている場合は、完璧主義であることによる睡眠の質への影響がやや抑制されることも示されている。中国の若年アスリート対象研究の報告。 アスリートの睡眠問題 近年、アスリートの睡眠の重要性はますます注目されるようになってきている。回復の促進、それによるトレーニング効果の向上、怪我のリスクの抑制、競技での集中力の発揮などに、睡眠が深くかかわっているとするエビデンスが増加している。ただ、睡眠の質をどのように高められるのかという点については、いまだよくわかっていない。 一方、さまざまな健康問題のリスクを個人の性格に関連付けて理解しようとする研究も多く行われており、重要な性格特性の一つとして完璧主義がしばしば指摘されている。完璧主義は、過度に高い目標を設定し、それが満たされない場合に過剰な自己批判を行うことを特徴として、このような性格特性が睡眠の質にも影響を及ぼすことが報告されている。また、アスリートの完璧主義は、精神的な強靭さを伴わない場合、抑うつやバーンアウト(燃え尽き症候群)と関連し、ときにパフォーマンス低下にもつながることも示唆されている。 他方、精神的に強靭であることは一般的に、逆境においても努力を継続しパフォーマンスの維持に働くと考えられている。いくつかの研究報告は、精神的強靭性と睡眠の質の関連を検討し、精神的強靭性が高いと自分自身の感情の変化を適切にコントロールできることから睡眠の質を改善できるという主張がみられる。またアスリートにおいて、精神的強靭性が低い場合は、期待した結果を得られなかったりミスを生んでしまった場合などに、否定的なフィードバックをしがちで不安レベルが高まるという報告もある。 これらの知見を背景として、本論文の著者らは、以下の三つの仮説の下、若年アスリートの睡眠と性格特性に関する研究を行った。三つの仮説とは、(1)完璧主義を追い求めることは、アスリートの睡眠の質の高さに関連している一方で、完璧主義に伴う懸念をもつことは睡眠の質の低さに関連している、(2)精神的な強靭さはアスリートの睡眠の質の高さに関連している、(3)精神的な強靭さはアスリートの完璧主義と睡眠の質との関連を媒介する――というもの。
子どもの成長85 2026/07/10 内分泌に関する考慮事項 持久力スポーツなどの激しい身体活動中に摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスが崩れることで、全身の諸機能に影響が生じる病態を「スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;RED-S)といい、成長/発達、免疫、心血管、タンパク質合成、メンタルヘルス、内分泌などの問題を引き起こす。女子の場合、エネルギー不足によるエストロゲン分泌低下、無月経、骨密度低下、疲労骨折のリスクが増大する。また男子においても、性ホルモン分泌の低下と骨密度の低下が見られる。 一方、コーチ、医師、アスレティックトレーナーのRED-Sに対する認識は必ずしも高くないという実態が報告されている。若年持久力アスリートのRED-Sという問題には、栄養士、心理学の専門家などを含む学際的なチームアプローチが必要とされる。
子どもの成長84 2026/07/09 栄養に関する考慮事項 未成年持久力アスリートのケアでは、栄養は考慮すべき重要な部分を占めている。成長と発達に必要な十分なエネルギーを供給し、適切な炭水化物、タンパク質、脂肪の摂取を維持することに焦点を当てるべきであり、必須ビタミンとミネラルの摂取にも留意が欠かせない。しかし残念ながら、多くの若年アスリートはそれらのニーズを満たしておらず、それが怪我やパフォーマンスの低下のリスクにつながっていることが報告されている。小児アスリートのエネルギー必要量を正確に知ることは困難だが、利用可能エネルギー量(energy availability;EA)が低い疑いのある小児アスリートに接した場合、栄養士を紹介し個別のケアにつなげなければならない。 アスリートの主要なエネルギー源は炭水化物であり、4~18歳のアスリートの場合、総摂取エネルギー量の45~65%を炭水化物とし、タンパク質は25~30%、脂質は10~30%とすることが提案されている。なお、成人では大会の数日前に炭水化物を多く摂取する「カーボローディング」によって持久系競技のパフォーマンスが向上するが、成長期にあるアスリートではこの方法の重要性は高くないと考えられている。 エネルギー産生栄養素以外に注目すべき栄養素として、鉄とビタミンDが挙げられる。鉄は組織への酸素供給に不可欠であり、持久力アスリートは尿や便、汗からの喪失と、下肢への衝撃の反復による溶血、女子では月経血による喪失といった経路で失われやすい。またビタミンDは、カルシウムとリンの吸収と代謝を調節し、骨の健康に重要な役割を果たす。紫外線暴露により皮膚で産生されるため、屋内でトレーニングする機会が多い場合には、食事により注意すべき。 また、運動後の水分補給も回復には不可欠であり、電解質ドリンクは持久力競技中の発汗によって失われたナトリウムの補給にも役立つ。
子どもの成長83 2026/07/08 睡眠に関する考慮事項 持久系スポーツのトレーニングには一般的にかなりの時間をかける必要があり、そのために睡眠に関する推奨事項を満たせなくなることがある。非成人の場合、学業やアルバイトを含む社会的な義務とのバランスをとる必要も生じる。 米国小児科学会は、6~12歳の子どもには1日に9~12時間、13~18歳では8~10時間の睡眠をとることを推奨しているが、複数の研究から若年アスリートの多くがこの推奨を満たしていないことが報告されている。アスリートにとって睡眠は、怪我の予防、回復、パフォーマンスに不可欠であるとの認識を高めなければならない。
子どもの成長82 2026/07/07 メンタルヘルスに関する考慮事項 小児持久力アスリートは、スポーツと学校のバランス、過酷なトレーニング、パフォーマンス向上の要求などのために、肉体的・精神的な疲労に直面していることがあり、その影響が不安や抑うつの症状として現れることがある。これらのメンタルヘルス上の懸念は、思春期に増幅される可能性があるため、さらなる進行を防ぐために早期に介入を開始することが重要となる。 また、オーバートレーニング症候群(overtraining syndrome;OTS)によって、性格/気分の変化、疲労、学業成績の低下、熱意の欠如が生じることがある。ただしOTS自体は除外診断によって診断される病態であり、喘息、貧血、甲状腺機能低下症、免疫不全、うつ病などとの鑑別が求められる。