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園からの発信

子どもの成長101

2026/08/04

研究手法:都道府県ごとに暑熱適応を考慮し、複数のシナリオで検討

本研究では以下の研究手法により、65歳未満および65歳以上という2世代を対象に、熱中症死亡者数の将来予測に取り組んだ。

将来予測の方法について、日最高WBGT※3と熱中症死亡数の関係は指数関数で示すことができる(図1-①)。そこでまず、この指数関数を世代別に47都道府県ごとに作成のうえ、熱中症死亡率が増加し始める日最高WBGT(WBGT閾値)を算定した。続いて、47都道府県ごとにその地域の暑さ(5~9月の日最高WBGTの平均値)とWBGT閾値との関係を調べると、正の相関があることが明らかになった(図1-②)。具体的には、暑い地域ほどWBGT閾値が高くなる傾向があり、この相関は暑熱適応レベルの地域差を示すと考えられる。気候変動により地域の暑さが増す際に、この相関を用いてWBGT閾値およびリスク関数を日最高WBGT側にシフトさせることで、暑熱適応を考慮した(図1-③)※4。

3 WBGT:湿球黒球温度のこと。黒球温度、湿球温度、乾球温度の三つの指標から計算される。熱中症リスクを判断する数値として用いられる。

※4 図1-②の分析より、夏期平均日最高WBGTが1℃上昇すると、いずれの世代においてもWBGT閾値が0.5℃程度上昇することが分かった。本研究では、この関係にもとづき、今後の長期的な暑熱適応を考慮した。なお、将来の暑熱適応の進み具合によって、WBGT閾値の高温側へのシフトするタイミングが遅れたり、あるいはそのタイミングが早まったりするなどの不確実性も存在し、これに伴う熱中症死亡者数の予測にも不確実性があることに留意。

図1 気候変動により地域の暑さが増した場合の暑熱適応を考慮する方法

 

日最高WBGTと熱中症死亡率の関係を指数関数で示すことができる(①)。地域の暑さとWBGT閾値には正の相関がある(②)。気候変動により地域の暑さが増した際に、この相関を用いWBGT閾値とリスク関数を日最高WBGT側に平行にシフトさせることで暑熱適応を考慮した(③)。(出典:国立環境研究所)

上記手法に基づき暑熱適応を考慮のうえ、各予測期間における日々の日最高WBGTを入力することにより、47都道府県の将来の熱中症死亡率および死亡者数を世代別に予測した。なお、予測期間は、基準期間(1995~2014年)、21世紀半ば(2031~50年)、21世紀末(2081~2100年)とした。入力する日最高WBGTは、三つの社会経済シナリオ(SSP)※5および代表的濃度経路シナリオ(RCP)※6の組み合わせと、五つの気候モデル※7を基に設定した。

※5 社会経済シナリオ(SSP):将来の社会経済の発展の傾向を仮定したシナリオ。社会経済の多様な発展の可能性を気候変動に対する緩和と適応の困難度に基づきSSP1からSSP5の五つに区分する。本研究では、SSPが提供する将来人口を熱中症死亡者数の計算に用いている。また、RCPと親和性のあるSSPの組み合わせを採用している(SSP1-RCP2.6、SSP2-RCP4.5、SSP5-RCP85)。

※6 代表的濃度経路シナリオ(RCP):人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が将来どう変化するかを想定したシナリオ。温室効果ガスの濃度変化には不確実性があるため、いくつかの濃度変化パターンが想定されている。代表的なものにRCP2.6、RCP4.5、RCP8.5があり、数字が大きいシナリオほど高い温室効果ガス濃度を想定している。

※6 気候モデル:将来の気候をシミュレーションするモデル。本研究ではACCESS-CM2、IPSL-CM6A-LR、MIROC6、MPI-ESM1-2-HR、MRI-ESM2-0の五つの気候モデルを採用した。

 

子どもの成長100

2026/08/03

研究の背景と目的:熱中症死亡者数の変化を、暑熱適応を考慮して予測

気候変動による気温上昇に伴い、熱中症による健康影響が我が国で深刻となっている。夏期平均気温をみると、統計を開始した1898年以降、2023年と並び2024年においても1位タイを記録するとともに、熱中症死亡者数も過去最多の2,160人となった。気候変動が今後も進行すれば、熱中症死亡者数のさらなる増加が懸念される。

国は、熱中症による健康影響の軽減を目指して2023年に閣議決定された「熱中症対策実行計画」において、熱中症死亡者数を2030年までに現状※2から半減させる目標を掲げている。気候変動が進行し、また、超高齢社会を迎えている我が国において、将来の熱中症死亡者数を推定することは、今後追加的に必要となる熱中症対策を検討するうえで重要。

※2 「熱中症対策実行計画」では現状の死亡者数は1,295名(2022年までの5年移動平均死亡者数)と記載されている。

気候変動が進行するなか、生理学的および非生理学的な要因(行動変容、技術対策の導入、規制の導入など)により、今後、数十年という長期にわたって暑熱適応が進むことも予想される。その結果、同じ暑さでも、現在に比べて将来では熱中症リスクが低くなることも期待される。このような効果を「長期的な暑熱適応」と呼ぶ。

そこで、研究チームは、気候変動および人口動態に加え、長期的な暑熱適応の効果も考慮したうえで、熱中症死亡者数の将来予測に取り組んだ。

子どもの成長99

2026/07/31

長期的な暑熱適応を考慮しても国内の熱中症死亡者数は増加 21世紀半ばには1.6倍に増加と予測

国内の熱中症による死亡者数は、長期的な暑熱適応の効果を見込んだとしても、21世紀半ばにかけて増加していくとの予測が発表された。国立環境研究所と東京大学の研究チームの研究によるもので、「Environmental Research」に論文が掲載された。

 

研究の概要

国立研究開発法人 国立環境研究所と東京大学からなる研究チームは、今後、数十年にわたる長期的な暑熱適応※1の効果を考慮して、熱中症死亡者数を予測することが可能な手法を開発し、気候変動および人口動態も考慮したうえで、47都道府県の将来予測に取り組んだ。

 

※1 暑熱適応:生理学的および非生理学的な要因(行動変容、技術対策の導入、規制の導入など)により、今後、数十年という長期にわたって暑熱に対する適応が高まる現象のこと。なお、各要因ごとの熱中症死亡リスク低減にもたらす効果が十分に明らかになっていないため、それらの効果を個々には考慮していないことに留意。

その結果、熱中症死亡数は、暑熱適応を考慮したとしても、基準期間(1995~2014年)と比べて21世紀半ば(2031~50年)に、1.6倍に増加することを明らかにした。気候変動や超高齢社会の進行により、熱中症死亡数は21世紀半ばに向けて増加すると予測され、さらなる熱中症対策の必要性が示唆された。

子どもの成長98

2026/07/30

『運動・スポーツ中の安全確保対策の評価・改善のためのガイドライン』

ガイドラインの遵守を確認できるチェックリストも公開

ガイドラインの公開とともに、これを運動・スポーツ現場で使いやすいように、ガイドラインを基とするチェックリストが公開された。以下の対象者ごとに、チェックリストが作成されている。実施者/指導者/主催者/運営者/設置・管理運営者/事故発生時の対応/暴力・ハラスメントの防止

運動・スポーツを実施する皆さまへ

運動・スポーツ開始前の準備運動と体調調整

外傷・障害を予防するためには、適切な睡眠を取ること(睡眠不足の状態で運動・スポーツを行わないこと)、バランスの取れた食事を取るなど栄養管理を適切に行うことが重要です。

属性に応じて運動・スポーツ実施時に留意すべき事項

女性の運動・スポーツの実施における留意事項

(1)利用可能エネギー不足・無月経・骨粗しょう症

・食事からのエネルギー摂取量と運動によるエネルギー消費量との間に不均衡があり、身体の総エネルギー必要量が満たされていない状態、つまり、最適な健康とパフォーマンスを維持するために身体が必要とする機能を支えるエネルギーが不足している状態となると無月経や月経不順等の月経周期異常となったり、骨密度の低下につながります。また、利用可能エネルギー不足や無月経、骨粗鬆症は、疲労骨折のリスクを高める原因となります。

・運動量を増やしたタイミングや体重が減少した時期に無月経になった場合は、利用可能エネルギー不足である可能性が高いといえます。

・こうした場合は、運動量と食事量の見直しが必要です。

(2)摂食障害

・摂食障害になるきっかけとして、周囲からの極端な減量の指示や怪我による体重増加が多く、頻回に体重を測定し、体重が減っていないと「もっと食事量を減らさなければいけない」、「練習量がまだ足りていない」という解釈につながり、さらに食事制限と練習量を増やし食行動異常から摂食障害につながることがあります。

・競技力向上のために体重や食事の管理は重要ですが、過剰な体重管理は食行動異常や摂食障害を招く場合があることを念頭に置くことが重要です。

(3)貧血

・運動・スポーツをすると鉄の排出や需要が増大しますが、鉄の供給が追いつかないと鉄欠乏になります。鉄欠乏性貧血は陸上長距離や練習量の多い競技などでよく見られます。また、過多月経をみとめる女性では(または月経量の多い女性では)、貧血の原因となることがあります。

・めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸、息切れ、易疲労等の症状があります。

・鉄欠乏性貧血の治療は鉄剤の服用ですが、再発を予防するには食生活の改善が必要です。軽度の貧血で日常生活の症状がなければ、強度を落としてトレーニングを続けてもかまいませんが、日常生活で症状がある場合はトレーニングを中止しましょう。

自然環境要因の事故を防ぐための対策

熱中症については、近年の気温の上昇によって救急搬送件数が増加していることからも、特に留意が必要です。十分な休養・栄養疲労の蓄積は熱中症の要因の一つになり、また、食事は水分補給の観点からも重要です。そのため、暑さが厳しい時期については適度な休養と栄養摂取を特に意識して行動に移しましょう。

運動・スポーツの指導者の皆さまへ

指導において必要な事項

・指導対象者が適切な時間、睡眠を取れているか確認しましょう。また、バランスの取れた食事が取れているか確認しましょう。

・運動・スポーツ中に指導対象者に以下の症状・状態が生じた場合は、運動・スポーツを中止させましょう。胸痛/動悸/めまいやふらつき/強い空腹感やふるえ/いつもと違う強い疲れ/関節や筋肉の強い痛み/冷や汗

 

ガイドラインの遵守を確認できるチェックリストも公開

ガイドラインの公開とともに、これを運動・スポーツ現場で使いやすいように、ガイドラインを基とするチェックリストが公開された。以下の対象者ごとに、チェックリストが作成されている。実施者/指導者/主催者/運営者/設置・管理運営者/事故発生時の対応/暴力・ハラスメントの防止

なお、本ガイドライン策定に関する報告書(運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会報告書)には、「ガイドライン(試行版)は、運動・スポーツの場で広く普及し、実践されることが望まれるが、実践によって得られた課題・成果や最新の科学的知見を踏まえて、今後も不断の見直しを行っていくことが適当である」と記されており、ブラッシュアップが続けられると見込まれる。

 

子どもの成長97

2026/07/29

『運動・スポーツ中の安全確保対策の評価・改善のためのガイドライン』

対象・構成

ガイドラインの対象とする運動・スポーツ

ガイドラインは、対象を特定の属性、スポーツ等に限定せず、幅広く運動・スポーツ全般を対象としている。年齢・性別・国籍・障害の有無、レベルを問わず、かつ、特定の運動・スポーツに限定していない。

 

ガイドラインの構成

ガイドラインは、すべてての関係者が運動・スポーツの現場でそのまま活用できるよう、以下の5分冊にまとめられている。

1.運動・スポーツを実施する個人向け

2.運動・スポーツの指導者向け

3.運動・スポーツに関する大会・イベント等の主催者向け

4.運動・スポーツ活動の運営者向け

5.運動・スポーツ関連施設の設置・管理運営者向け

 

ガイドラインのポイント

すべての運動・スポーツに共通する予防のための取組や留意点として、主に以下の内容を記載している。

1.日常的な体づくりや準備運動・体調調整の重要性

2.重篤な外傷・障害等を防ぐための具体的な対策

3.用具・道具を使用する際の留意事項や保護具・安全装備の活用

4.こども、女性、疾病罹患者、障害者等に関する留意事項

5.熱中症を防止するための対策やその他の自然環境要因の事故防止対策

6.指導者に必要な知識や指導上の留意事項(正しい科学的知見に基づく指導、必要以上に強度の高いトレーニングや練習を強要することの禁止など)

7.大会・イベント開催時の留意事項(事故防止のための競技ルール設定、熱中症予防に配慮した開催時期・開催時間帯の設定、屋外の大会における対策など)

8.運動・スポーツ活動運営者が留意すべき事項(適切な指導者の配置など)

9.運動・スポーツ施設の設置・管理運営者が留意すべき事項(設計段階からの安全性確保、定期的な点検・補修、適切な現場管理、プール等の特定の施設の留意事項など)

10.事故が発生した場合の対応(応急手当など)

11.暴力・ハラスメント行為を防止するための対策(防止対策の重要性、暴力・ハラスメントに該当する行為、運動・スポーツにおける発生要因、事案発生時の対応など)

 

食事・栄養関連の項目

ガイドイランの内容は広範囲にわたるが、ここでは食事や栄養に関する項目をピックアップして紹介する。

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