子どもの成長106 2026/08/12 「熱中症を防ぐ」 熱中症の症状と応急処置 昨年(平成30年)5~9月における熱中症による救急搬送者数は累計9万5,137人と、10万人近くに上り、そのうち初診時の重症度が中等症以上だったケースが35%を占め、160名が亡くなった1)。ただしこの死亡者数はあくまで初診の段階での数値であり、治療介入の甲斐なく亡くなられた方の数値を含んでいない。熱中症による死亡者数については平成29年に635人と報告されていて、過去には平成22年に1,731人という記録もある2)。 熱中症のリスクはさまざまなところに潜んでいて、対策をし過ぎるということはない。熱中症対策に関しては既に多くの報道がなされているが、ここで改めて数回に分け注意点を整理してみたい。まず初回は、熱中症の症状と発生状況について。 熱中症とは~原因と症状 熱中症とは、体温が上昇し体内の諸臓器が高温になることにより発生する障害をいう。重要なこととして、最悪の場合、死に至るという点を念頭に置いておかなければならない。 体温が上昇してしまう原因として、環境温度が高いことによる直接的な影響だけでなく、高湿度や脱水のために発汗が抑制されて熱放散が減少することによる影響も大きい。これに加えてスポーツとの関連では、運動強度・時間の負荷が加わる。 これらのストレスによる体温上昇と脱水とにより、熱疲労や熱失神などが起きてくる。具体的な症状としては、めまい、たちくらみ、だるさ、手足のしびれ、頭痛、筋肉のこむらがえり、吐き気、嘔吐、意識の低下、痙攣などがある。
子どもの成長105 2026/08/10 8月の熱中症による救急搬送は3万1,526人 住居での発生が最多、高齢者が全体の55%を占める 結果の詳細 総数 令和7年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は3万1,526人だった。これは、8月の調査を開始した平成20年以降、8月としては5番目に多い搬送人員。 図1 8月における熱中症による救急搬送人員数(年別) 内訳 年齢区分別の救急搬送人員 高齢者(満65歳以上)が最も多く1万7,273人(54.8%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)1万1,487人(36.4%)、少年(満7歳以上満18歳未満)2,641人(8.4%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)125人(0.4%)の順。 図2 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【年齢区分別(構成比)】 医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員 軽症(外来診療)が最も多く1万9,936人(63.2%)、次いで中等症(入院診療)1万741人(34.1%)、重症(長期入院)717人(2.3%)の順。 図3 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【初診時における傷病程度別(構成比)】 発生場所別の救急搬送人員 住居が最も多く1万1,579人(36.7%)、次いで道路6,288人(19.9%)、公衆(屋外)4,250人(13.5%)、仕事場(1)3,472人(11.0%)の順。 図4 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【発生場所別(構成比)】 5~9月の累計では過去最高になる? 前述のように、5~8月までの救急搬送人員の累計は、過去2番目の多さとなった。 以下のグラフを見ると、過去最高だった昨年を8月までの累計としては上回っており、今年の残暑の厳しさから9月の搬送数は昨年と同程度だったかもしれず、5~9月の累計では過去最高を更新することも考えられる。 図5 平成20年〜令和7年の熱中症による救急搬送人員の推移
子どもの成長104 2026/08/07 8月の熱中症による救急搬送は3万1,526人 住居での発生が最多、高齢者が全体の55%を占める 消防庁は先ごろ、本年8月の熱中症による救急搬送人員の確定値を発表した。8月の全国の熱中症による救急搬送人員は3万1,526人で、調査を開始した平成20年以降で5番目に多く、5~8月の累計では過去2番目だという。 結果の概要 全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別では高齢者が最も多く約55%、初診時における傷病程度別では入院が必要(中等症・重症)な人が約36%、発生場所別では、住居(約37%)が最も多く、次いで道路(約20%)、駅(屋外ホーム)等の不特定者が出入りする屋外の場所(約14%)、道路工事現場・工場・作業所等の仕事場(約11%)の順。 なお、5~8月までの救急搬送人員の累計は9万744人と、5月からの調査を開始した平成27年以降で2番目に多かった。
子どもの成長103 2026/08/06 熱中症死亡者数 暑熱適応を考慮しない場合、熱中症死亡者数(以下「死亡者数」という)※9は、いずれのSSP-RCPシナリオにおいても基準期間と比べて、21世紀半ばに65歳未満で1.3倍、65歳以上で2.5倍に増加すると予測された(図3)。一方、暑熱適応を考慮した場合、それぞれ0.97倍、1.8倍に変化すると予測された。 ※9 死亡率に人口を掛けることで熱中症死亡数を算定。 図3 熱中症死亡者数の予測結果 また、21世紀末には、暑熱適応を考慮しない場合、全SSP-RCPシナリオにおいて、65歳未満で0.91~3.7倍、65歳以上で1.8~6.6倍に、暑熱適応を考慮した場合、それぞれ0.64~1.3倍、1.2~2.1倍に変化すると予測された。 全世代の死亡者数でみると、暑熱適応を考慮しない場合、いずれのSSP-RCPシナリオにおいても基準期間と比べて21世紀半ばに2.2倍に、暑熱適応を考慮した場合、1.6倍に増加すると予測された。また、21世紀末には、暑熱適応を考慮しない場合、全SSP-RCPシナリオにおいて、1.5~5.8倍に、暑熱適応を考慮した場合、1.1~1.9倍に増加すると予測された。 暑熱適応を考慮しても、現在よりも死亡者数の増加が予測され、さらなる熱中症対策の必要性が示唆された。 今後の展望 研究チームは、本研究の限界点として、「暑熱適応に寄与する生理学的および非生理学的な各要因が、熱中症死亡リスク低減にもたらす効果が十分に明らかになっていないこともあり、本研究では各要因の効果まで考慮できていない」とし、「今後は各要因がもたらす効果、例えば熱中症警戒アラートが熱中症死亡リスク低減にもたらす効果を明らかにし、その効果を考慮して熱中症死亡者数の将来予測に取り組む予定」としている。また、「熱中症リスク低減を目指すべく、関連機関との連携のもと、熱中症対策の社会実装に向けた活動にも取り組む予定」という。
子どもの成長102 2026/08/05 研究成果:暑熱適応を考慮しても熱中症死亡率が21世紀末には最大で倍近くに上昇 熱中症死亡率 暑熱適応を考慮しない場合、熱中症死亡率(以下「死亡率」という)は、いずれのSSP-RCPシナリオにおいても基準期間と比べて、21世紀半ばに65歳未満で1.8倍、65歳以上で1.7倍に増加すると予測された(図2)。一方、暑熱適応を考慮した場合、それぞれ1.3倍、1.2倍に増加すると予測された※8。 ※8 65歳未満に比べて、65歳以上のほうが暑さに脆弱であり、死亡率も高いものの、現状において65歳以上の死亡率が既に高いこと、また気温上昇に伴う死亡率の増加が65歳未満のほうが大きい県が存在することも相まって、現状からの増加率でみると65歳以上のほうが小さくなっている。 図2 熱中症死亡率の予測結果 基準期間の熱中症死亡率を1としている。暑熱適応を考慮しない場合の結果と考慮した場合の結果を示す。本研究では、三つの社会経済シナリオ(SSP)および代表的濃度経路シナリオ(RCP)の組み合わせを利用(SSP1-RCP2.6、SSP2-RCP4.5、SSP5-RCP 8.5)。図は五つの気候モデルによる結果の平均値を示す。(出典:国立環境研究所) また、21世紀末には、暑熱適応を考慮しない場合、全SSP-RCPシナリオにおいて、65歳未満で1.8~6.9倍、65歳以上で1.7~5.8倍に、暑熱適応を考慮した場合、それぞれ1.3~2.4倍、1.2~1.8倍に増加すると予測された(図2)。