学習指導要領の趣旨の実現60 2025/11/25 (参考)履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義 履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義の関係について、教育課程部会における審議のまとめにおける整理を以下のとおり抜粋して添付します。 現行の日本の学校教育制度では、所定の教育課程を一定年限の間に履修することでもって足りるとする履修主義(例:年間の標準授業時数等を踏まえた教育課程の編成・実施)、履修した内容に照らして一定の学習の実現状況が期待される修得主義(例:目標準拠評価)、進学・卒業要件として一定年限の在学を要する年齢主義(例:同一年齢の進級・進学)、進学・卒業要件として一定の課程の修了を要求する課程主義(例:制度としての原級留置)の考え方がそれぞれ取り入れられている。 修得主義や課程主義は、一定の期間における個々人の学習の状況や成果を問い、それぞれの学習状況に応じた学習内容を提供するという性格を有する。個人の学習状況に着目するため、個に応じた指導、能力別・異年齢編成に対する寛容さという特徴が指摘される一方で、個別での学習が強調された場合、多様な他者との協働を通した社会性の涵養など集団としての教育の在り方が問われる面は少なくなる。また、修得主義や課程主義の下における発展的な学習については、学習を深める方向ではなく学習を短い時間で進める方向に傾斜した場合、学びを深める機会が失われたり、学びのセーフティネットとなる他者との学び合いの機会が損なわれたりするおそれがある。 また、修得主義における教育成果の把握が数値化可能な教育成果(主としてテストスコア)による一元的尺度のみによって行われると、高いテストスコアを目指して目標の一元化が進行しやすくなる側面がある。教育の目標や成果の多様性に留意し、序列化や過度な競争、教育格差の拡大につながらないよう、指標の取扱いや利用方法に注意を払う必要がある。 修得主義で適切な教育を行うためには、より個に応じた対応が求められるため、通常より多くの教育資源が必要との指摘もあり、児童生徒の特性に応じて効果的に取り入れるなどの工夫を行うことも考えられる。
学習指導要領の趣旨の実現59 2025/11/21 6.学校運営上の留意事項 (2) 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携 指導計画を立案するに当たっては、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、社会とのつながりの中で、教科等を学ぶ本質的な意義を大切にし、教科等横断的な視点も持って、資質・能力の育成を目指していくことが必要です。また、チーム学校として学校の教職員が組織的にカリキュラム・マネジメントを行うとともに、教育委員会や地域・家庭と連携し、外部人材も活用しながら取り組むことが重要です。その際、放課後の学校での学習や社会教育施設、家庭等の学校以外の場での学習も視野に入れることも効果的であると考えられます。特に現状、授業以外の場ではドリル学習等に偏りがちですが、探究的な学習を行ったり、児童生徒自身が学習の進め方を考えたりすることができるよう支援の工夫をすることが大切です。 また、授業以外の場での学習環境の差を埋めるように、条件整備や人的体制の確保などに努めることが重要です。家庭や地域の協力も得ながら人的・物的な体制を整え、教育活動を展開していくことも考えられます。 学校間で実践事例の共有等を進めながら資質・能力の育成に取り組むことも重要です。例えば、実験的・先導的な教育研究を担う国立大学の附属学校が、教育委員会や地域の学校と連携して、自校の取組を地域の拠点として普及させることや、教育委員会等が中心となって、幼稚園、小・中学校等の連携を促進することも考えられます。
学習指導要領の趣旨の実現58 2025/11/20 6.学校運営上の留意事項 (2) 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携 学習指導要領においては、家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携について以下のとおり示しています。 学校がその目的を達成するため、学校や地域の実態等に応じ、教育活動の実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど、家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。(略) 他の(略)幼稚園、認定こども園、保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校(及び大学)などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。 教師は、児童生徒一人一人の興味・関心や能力、適性等を把握した上で、それぞれの良さや可能性を生かした、質の高い学び合いの場を実現すると同時に、児童生徒一人一人が学習内容を自分のものとすることができるよう、教育課程をデザインする役割を担っています。このような役割の発揮により、授業が児童生徒の学校における学習への主体的な参画を促すとともに、児童生徒の学校外を含めた学びへの導入としても機能し、学校外の学習の充実にもつながることが期待されます。
学習指導要領の趣旨の実現57 2025/11/19 6.学校運営上の留意事項 (1) 教育課程の改善 学習指導要領においては、以下のとおり教育課程の改善について示しています。 各学校においては、校長の方針の下に、校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また、各学校が行う学校評価については、教育課程の編成、実施、改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ、カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。 児童生徒の資質・能力の育成に当たっては、学校がチームとして取り組むことが重要です。そのためには、管理職である校長、教頭等の役割が重要ですが、それだけではなく、教師全員がカリキュラム・マネジメントに参画することが重要になります。 また、各学校においては、各種調査結果やデータ等を活用して、児童生徒や学校、地域の実態を定期的に把握し、教育の目的・目標の実現状況や教育課程の実施状況を確認・分析して、課題となる事項を見いだし、改善していくことが求められます。 例えば、学力調査等の結果の活用をカリキュラム・マネジメントに位置付けることも、各学校の課題を解決するためには有効です。その際、学力調査等が把握できるのは学習指導要領が育成を目指す資質・能力の一部のみであることに留意することが必要です。 また、学習評価は学習指導とともにカリキュラム・マネジメントの中核的な役割を担っています。学習評価を教育課程の評価等とも結び付けたり、教育課程の評価を学校評価と関連付けたりすることにより、学習評価の改善を授業改善及び組織運営の改善等に向けた学校教育全体のサイクルに位置付けていくことが必要です。 客観的な根拠を重視した教育政策(EBPM)を推進する観点からは、国際レベル、全国レベル、各自治体レベルなどの学力調査等をそれぞれの実施主体が効率的・効果的に実施し、児童生徒の現状・課題を把握・分析した上で、その結果を活用することも重要です。
学習指導要領の趣旨の実現56 2025/11/18 5.児童生徒の発達の支援 (5) 特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導 我が国においては、これまでもスポーツや文化などの分野で学校外において特異な才能を伸長するシステムが作られてきています。一方で、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する教育に関し、学校において特異な才能をどのように定義し、見いだし、その能力を伸長していくのかという議論はこれまで十分に行われていない状況にあります。 学校においては、特異な才能のある児童生徒も含め、「個別最適な学び」を通じて個々の資質・能力を育成するとともに、「協働的な学び」という視点も重視し、児童生徒同士がお互いの違いを認め合い、学び合いながら相乗効果を生み出す教育が重要です。具体的には、ICT も有効に活用しつつ、学習意欲を喚起するとともに、知的好奇心を高める発展的な学習を充実していくことや、STEAM 教育など、教科等横断で実社会と関わるプロジェクト型の学びが有効に機能するのではないかと考えられます。 また、特異な才能のある児童生徒の能力を伸ばしていくには、大学や民間団体等が担う役割が大きいと考えられます。このような学校外での学びへ児童生徒をつないでいくことや、学校においてその学習を生かし自他ともに学び合い成長する機会を設けること、学校における評価について整理を進めていくこと等が必要です。