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園からの発信

保育の質の確保・向上7

2025/12/09

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景)

〇保育所においては、児童福祉施設としての理念と使命のもと、乳幼児期の子どもが日々生活する場として、その心身の健全な発達を図る目的から、発達研究の理論・知見や幼児教育の考え方も踏まえ保育が行われている。これら保育所保育と深い結びつきをもつ児童福祉、発達研究、幼児教育の各領域における子どもとその育ちの捉え方には、時代とともに新たな視点が加わったり転換が図られたりしてきた。

〇児童福祉の観点では、今日、子どもは単に大人によって保護されるべき対象としてではなく権利の主体として捉えられている。1994(平成6)年に批准された児童の権利に関する条約の精神に則り、我が国における児童福祉の理念として、全ての子どもは適切な養育を受けることや健やかな育ちと自立が図られること等を等しく保障される権利を有する存在とされ、その福祉については子どもの最善の利益を優先して考慮し、保護者と共に社会全体で支えていくことが求められている。

〇また近年、人の発達について遺伝的影響など生物学的・医学的基盤に関する科学的な解明が進む一方で、発達を捉える理論的な枠組みにおいては、個人の能力の発現や変化にのみ着目するのではなく、個人の生得的要因とその人を取り巻く対人的・物理的・社会文化的環境とが相互的・複層的に様々な影響を及ぼし合う中で成り立つものとして見ることに重点が置かれている。発達の道筋についても、膨大な要因が複雑に影響し合い変容が生じる過程の全体に目を向けることで、ある程度の範囲では方向性や順序性を共有しつつも、人それぞれに相当な多様性があるものとして捉えられるようになっている。

〇さらに、発達研究の進展により、乳幼児期の発達において身近な他者との愛着関係が極めて重要であること、社会情動的な側面や認知的な側面など発達の各側面が密接に関係しており、特に子どもは人との日常的な関わりや遊びの中で学ぶことが非常に多いという特徴があることなどに関して、実証的な知見が蓄積されてきた。

保育の質の確保・向上6

2025/12/08

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

〇日本の保育所保育の特色に関して、その背景や拠りどころとなっていることを、時代による変遷・経緯も含めて探ることを目的に、学識経験者による研究グループを編成し、保育・児童福祉・幼児教育・発達心理学等の領域を専門とする学識経験者と保育実践経験者からヒアリングを行い、保育の制度や実践に関わる理念・思想とその歴史的経緯、乳幼児期の発達や学習、保育の実践の質向上に向けた現場の取組や保育者の意識等に関する知見を得た。これらの内容は語り手の主観的な視点を切り離すことができないものである点を考慮した上で、研究グループによる検討を加え、保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景、保育所保育の営みが持つ特徴、保育実践に携わる立場から捉えた保育という3つの観点から整理・再構成を行った。

保育の質の確保・向上5

2025/12/05

2.調査研究等により得られた主な知見

(1)諸外国における保育の質をめぐる動向

〇各国の保育の評価をめぐる課題や動向を通じて、

①各現場の現状や課題を把握して改善を図り一定の質を確保するとともに、それぞれの実態に即して創意工夫を活かした実践の豊かさを捉え、さらなる充実を促す評価の仕組み

②評価に対する負担感や評価の形骸化を避け、現場の保育者にとって効力感や納得感の得られる評価の方法

③評価の妥当性や信頼性を確保するための評価者の立場・専門性と評価のプロセス

④保護者や自治体担当者、小学校教師など多様な関係者が保育実践と子どもの育ちを理解することに資する評価の内容・結果の提示や活用の仕方といった観点から、評価のあり方を検討する必要性が示された。

〇これらのことを踏まえ、今後日本においても、指針・カリキュラムに示される保育の基本的な考え方がより広く浸透するとともに、それが現場において各々の実情に即して実践と着実に結びつくよう、保育の質の確保・向上に関わる評価等の取組とそれを支援する仕組みの構築・展開を検討していくことが重要とされた。またその際、特に必要と考えられる課題として、多様な関係者が参画し共に考える仕組みづくりや、現場と協働的な関係のもとで保育の質を継続的に捉え支えていく人材の育成・供給といったことが挙げられた。

保育の質の確保・向上4

2025/12/04

2.調査研究等により得られた主な知見

(1)諸外国における保育の質をめぐる動向

〇指針・カリキュラムに関しては、近年、乳幼児期の保育とその質に対する国際的な関心の高まりや社会の急速な変化に対応して、何を・どのように育んでいくのか、従来の内容を見直す必要に迫られ、模索する動きが各国で見られる 。

〇こうした中で、現場の実情を踏まえた議論においては、特に3歳未満児の発達に即した保育のあり方 (低年齢児期固有の特性に応じた内容や配慮、3歳以上児の保育との連続性など)や、子どもの多様性を包摂する枠組みを検討し、提示していくことが、多くの国で共通した課題となっていることが示唆された。

○一方、保育の評価に関しては、実施の体制・方法及び使用するツール(指標等)、評価の目的と結果の用い方(公表の仕方、結果に基づく規制・管理やインセンティブなど)、評価者の立場・権限等が、国によって多様であった。背景に、社会全体の状況や行政によるガバナンスのあり方の違いが存在する。

〇また、指針・カリキュラムと評価の内容がどの程度一貫・対応しているか、指針・カリキュラムにおいて何を目標として示し、またそれを基に何について評価を行うか(保育実践、子どもの発達や学びなど)といった点でも、国によって異なる特色が見られた。指針・カリキュラムと評価のいずれについても、全体として、近年はある時点での状態や到達度よりもプロセスを重視する傾向がうかがわれた。

 

保育の質の確保・向上3

2025/12/03

2.調査研究等により得られた主な知見

(1)諸外国における保育の質をめぐる動向

○保育の質の確保・向上に向けて様々な取組が進められている諸外国(ニュージーランド、イングランド、アメリカ、スウェーデン、ドイツ、ノルウェー、韓国、シンガポール、台湾) を対象に、各国の状況の全容を把握するため、学識経験者による研究会を置き、保育に関する文化・社会的背景、制度・政策、指針・カリキュラム目標・内容・方法の基本原則等を示すもの) 、評価 等について、文献・資料により現状及び背景・経緯を概観し、各々の取組の成果・課題の整理 と考察を行った 。

○この結果、保育制度・政策や質の確保・向上に向けた取組のありようの全般に、子どもの福祉・教育に関する基本理念、保育施設の役割として重視されていること、行政による統一的な規制・管理と現場及び地域の多様性や裁量の関係についての考え方など、その国の保育に 関する理念・価値観や社会全体の構造・趨勢が関わっていることが明らかとなった。各国の特色ある仕組みや取組を参考としながら、日本における保育の質の考え方等を議論していく上で、質を支える様々な要因を個々に見ていくだけでなく、社会的な文脈・背景を踏まえ、全体として捉える視点を持つことの重要性が改めて示された 。

 

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