保育の質の確保・向上17 2025/12/23 (1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (保育所保育の特色を踏まえた人材の育成及びマネジメント) 〇保育の理念や基本的な考え方を実践に反映するために、保育士等には各々の現場の実態に即した創意工夫やその時々の子どもの状態に応じた判断・対応が必要となる。そうした実践の中で発揮される専門性の習得や向上には、実際の保育の経験とそれを踏まえて学ぶ機会、さらに学びを支える環境や人材が重要である。 〇また、保育所保育は食事・排泄・休息等の基本的な生活習慣に関わる場面を含めて日々長時間にわたり行われること等を踏まえ、保育士をはじめ様々な職員の専門性を活かした連携・協働とその適切なマネジメントが特に必要となる。 〇保育所の職員集団のマネジメントに関しては、保育実践の質において保育所保育に関わる様々な人と人との関係性が非常に重要な要素であることを踏まえ、職員間で互いの良さに着目し、認め合う関係が築かれることが求められる。子どもが一人の人間として尊重される保育の実現には、一人一人の保育士等もまた行為の主体として尊重されることが必要であるという認識が、保育所の内外でより共有されるべきと考えられる。
保育の質の確保・向上16 2025/12/22 (1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (保育所保育の特色を踏まえて留意すべき事項) 〇保育の過程や子どもの育ちの言語化・可視化:保育所保育は、乳幼児期の発達の特性に即して、子どもの主体性を尊重し、環境を通して行うことなどを特徴としている。保育士等は、一人一人の子どもの理解や育ちの見通しに基づいて、様々な意図や配慮をもって環境を構成し子どもに関わっているが、こうした過程やそこでの保育の目標・ねらいを、他者にも理解できるよう伝えるため言語化・可視化することが求められる。保育所における生活の全体に子どもの育ちの多様な側面に関わる内容が含まれ、また様々な文脈が幾重にも連なりつつ一体的に展開されていくという保育の営みが持つ特徴を踏まえて、その場面の状況とともに様々な時間軸や関係の中で保育の過程や子どもの姿を捉え、これらを現場の内外で広く共有していくための視点や方法が必要である。 〇関係者間での理解の共有:保育所保育は、保育所内のみでなく、現場を取り巻く多層的な人間関係の広がりのもとで成り立ち、営まれている。保育実践の質の確保・向上に当たっては、現場の職員間の連携とともに、現場、保育所の運営主体(法人の運営本部等)、家庭、地域の関係機関等、様々な組織や立場の関係者の間で連携が必要となる。現状では、保育所保育指針に示されている一人一人の子どもの人格を尊重した関わりや保育所における幼児教育の目標・内容・方法などが、関係者に十分に理解されていない場合もあることや、具体的な実践に反映されていない状況が一部の現場で見受けられることなどが、課題として指摘されている。保育の実践に直接携わる現場の保育士等に限らず、全ての保育関係者の間で、保育所保育の特色と基本的な考え方に関しての理解を共有することが求められる。
保育の質の確保・向上15 2025/12/19 (1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (保育所保育指針に基づく保育実践) 〇保育の現場においては、保育所保育の理念や理論的背景と、それらに基づき保育所保育指針に示されている保育の目標及び内容・方法等の基本原則を、保育士等が十分に理解し、実践に移していくことが重要である。保育所保育指針の内容を踏まえた保育の実践に際しては、その時々の社会の状況や子どもや家庭、地域の実態等に即して、各現場において創意工夫を図ることが求められる。 〇保育の実践に当たり、保育士等が子どもに対する共感的・受容的な関わりを特に大切にしていることは、今後も継承すべき日本の保育の特徴と捉えられる。その上で、幼児教育を行う施設として、保育所保育における遊びの意味とその重要性について、現場の保育士等をはじめ関係者の間で改めて認識を共有することが求められる。遊びは本来自発的なものであり、子どもが自らの意思で決めたり選び取ったりする経験を通して、自身が行為の主体であるという感覚を育んでいくことは、今後の実践のあり方を考える上で重視すべき視点の一つと考えられる。
保育の質の確保・向上14 2025/12/18 (1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育) 〇保育における「遊び」の重要性:「遊び」の目的は、遊ぶこと自体にある。このことを前提とした上で、乳幼児期の子どもが自ら心のままに思う存分周囲の人や事物との多様な関わり合いを楽しむことには、心身の健全な発達に重要な体験が非常に多く含まれていることから、保育所保育において遊びは重要な学びとして捉えられる。子どもは、信頼する身近な大人の存在に支えられて、自分を取り巻く環境に興味や関心を抱き、自分でしてみたいという思いを強める。そして、心身全体を働かせて環境と関わり合い充実感を味わうことを通じて、自分の世界を広げ、様々な力を身につけていく。とりわけ、他の子どもに興味や親しみを感じ、一緒に遊ぶようになり、さらにその遊びが発展していく過程では、子ども同士が相互に影響を及ぼし合い、心身の様々な面で育ち合う姿が見られる。このため、保育所保育における子どもの発達の援助に当たっては、遊びを中心に子どもの活動が豊かな広がりと深まりを持って展開されることが重視される。 〇個に応じた保育の必要性:乳幼児期は特に発達が著しく、また個人差も大きいことを踏まえ、保育に当たっては、平均的な、あるいは一律の発達の姿を前提とした対応ではなく、一人一人の個性や発達の過程を尊重した関わりや配慮が必要となる。保育所における集団生活の中で、それぞれの子どもが自分を肯定する気持ちを十分に育むことができるよう、個々の子どもの理解に基づく保育を行うことが重要である。 〇同年代の子どもたちが日々共に過ごすことの意義:保育所は、同年代の子どもたちが共に生活時間の大半を過ごす場であり、多くの家庭や地域で子ども同士が日常的に関わり合う機会が減少している今日、保育所において子どもたちが集団で様々な経験を共にすることの意義は大きい。保育士等には、集団全体の状況を捉え、全ての子どもにとって安全で安心して過ごせる環境をつくり出すとともに、子どもが他の子どもの存在や自分との違い、共にいることの楽しさなどに気がつき、仲間としての意識や友達関係が育まれていくよう、子ども同士のやりとりや活動の展開を促す関わりや配慮を行うことが求められる。
保育の質の確保・向上13 2025/12/17 3.本論 (1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育) 〇保育所は、生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な乳幼児期の子どもの福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場であることが求められる児童福祉施設である。これを踏まえ保育所保育は、入所する子どもの最善の利益を考慮し、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。保育士等には、保育所における日々の生活や遊びの中で子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、一人一人の思いや願いを受け止めるとともに、子どもの主体的な活動を重視し、計画的に環境を構成することや応答的に関わることが求められている。