学習指導要領の趣旨の実現22 2025/09/29 3.教育課程の編成 (2) STEAM 教育等の教科等横断的な学習の推進 AI やIoT などの急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日においては、これまでの文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質・能力の育成が求められます。 教育再生実行会議第11 次提言において「各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育」とされたSTEAM 教育については、STEM(Science, Technology,Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts)でA を定義し、推進することが重要です。 STEAM 教育は、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、産業界等と連携し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていく高度な内容となるものであることから、高等学校における教科等横断的な学習の中で重点的に取り組むべきものですが、その土台として、幼児期からのものづくり体験や科学的な体験の充実、小学校、中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習や探究的な学習、プログラミング教育などの充実に努めることも重要です。さらに、小学校、中学校においても、児童生徒の学習の状況によっては、例えば総合的な学習の時間における児童生徒の課題解決の姿をイメージしながら、教科等横断的な学習の中でSTEAM 教育に取り組むことも考えられます。その際、発達の段階に応じて、児童生徒の興味・関心等を生かし、教師が一人一人に応じた学習活動を課すことで、児童生徒自身が主体的に学習テーマや探究方法等を設定することが重要です。
学習指導要領の趣旨の実現21 2025/09/26 3.教育課程の編成 (1) 各学校の教育目標と教育課程の編成 学習指導要領においては、以下のとおり教育課程の編成について示しています。 教育課程の編成に当たっては、学校教育全体や各教科(・科目)等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ、各学校の教育目標を明確にするとともに、教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。(略) 教育課程の編成・実施に当たっては、児童生徒が学校を卒業し社会に出た後も見通し、育成を目指す資質・能力を明らかにした上で、未来の姿から逆算して、現在の学年・教科・単元等でどのような指導を行うべきかという長期的な視点で行うことが重要です。平成28 年答申においても、各教科等で学ぶことを単に積み上げるのではなく、義務教育や高等学校教育を終える段階で身に付けておくべき力を踏まえて、各学校・学年段階で学ぶ内容を見直すなど、発達の段階に応じた縦のつながりと、各教科等の横のつながりを行き来しながら、教育課程の全体像を構築していくことが可能となる、とされています。学習指導要領では先の学校段階の学習指導要領等も踏まえ、円滑に学校段階間の接続が図られるよう工夫することについて示しています。 また、児童生徒に求められる資質・能力とは何かを学校と社会とが共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」の観点から、学校と家庭や地域、企業等とが育成を図る資質・能力やその重要性、発達の段階に応じた指導や長期的な視点に立った資質・能力の育成などについて認識の共有を図ることが重要です。その際、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)において、児童生徒の資質・能力の育成についても地域と学校が目標を共有し、連携して取り組むこと等が重要です。また、学校が教育活動を進める上では、地域住民等の参画も重要な役割を果たします。幼児期からの様々な体験や児童生徒が新聞・書籍等に触れる機会等の充実も児童生徒の社会性の涵養や資質・能力の育成において有効と考えられますが、これらを進めるに当たっても、地域や家庭の協力が期待されます。
学習指導要領の趣旨の実現20 2025/09/25 2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び (4) カリキュラム・マネジメントの充実 学習指導要領においては、以下のとおりカリキュラム・マネジメントの充実について示しています。 各学校においては、児童(生徒)や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための臨時休業からの学校再開後には、学習指導要領の下で、教育活動や時間の配分等を再検討し、学校の授業における学習活動を重点化するなど、地域や家庭の協力も得て児童生徒の学習の効果を最大化できるよう、カリキュラム・マネジメントを行うことの重要性が改めて明らかになりました。 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図る上でも、カリキュラム・マネジメントの充実が重要であり、各学校が持っている教育課程の編成・実施に関する裁量を改めて認識し、学校や地域の実態に応じて責任を持って柔軟に判断できるようにしていくことが大切です。 各設置者においても、各学校の持っている裁量を明確にし、学校や地域の実態に応じた柔軟な教育課程の編成・実施が行われるよう、適切な指導及び環境整備に関わる包括的な支援を行うことが求められます。
学習指導要領の趣旨の実現19 2025/09/24 2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び (3) 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実 実際の学校における授業づくりに当たっては、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の要素が組み合わさって実現されていくことが多いと考えられます。例えば授業の中で「個別最適な学び」の成果を「協働的な学び」に生かし、更にその成果を「個別最適な学び」に還元するなど、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実していくことが大切です。 その際には、児童生徒の資質・能力育成のため、各教科等の特質に応じ、地域・学校や児童生徒の実情を踏まえながら、ICT を活用した新たな教材や学習活動等も積極的に取り入れつつ、それにより実現される新しい学習活動について、「個別最適な学び」や「協働的な学び」の充実に効果を上げているか確認しながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくことが期待されます。このことを通じて学習指導要領前文に記載されている「一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう」に育成していくことが求められています。 また、資質・能力の三つの柱との関係では「学びに向かう力、人間性等」との関連性が強いことから、本資料では学びに向かう力、人間性等を育成する教育の充実(4.(1)③)、主体的に学習に取り組む態度の評価(4.(2))について後述しています。
学習指導要領の趣旨の実現18 2025/09/22 2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び (3) 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実 ② 協働的な学び 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う臨時休業からの学校再開後には、限られた時間の中で学校における学習活動を重点化する必要が生じましたが、そのような中でもまず求められたのは、学級づくりの取組や、感染症対策を講じた上で学校行事を行うための工夫など、学校教育が児童生徒同士の学び合いの中で行われる特質を持つことを踏まえ教育活動を進めていくことでした。 ICT の活用により、児童生徒一人一人が自分のペースを大事にしながら共同で作成・編集等を行う活動や、多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動など、「協働的な学び」もまた発展させることができます。ICT を利用して空間的・時間的制約を緩和することによって、遠隔地の専門家とつないだ授業や他の学校・地域や海外との交流など、今までできなかった学習活動も可能となります。 同時に、日本の学校教育がこれまで非常に大切にしてきた、同じ空間で時間を共にすることで、お互いの感性や考え方等に触れ刺激し合うことの重要性について改めて認識する必要があります。人間同士のリアルな関係づくりは社会を形成していく上で不可欠であり、知・徳・体を一体的に育むためには、教師と児童生徒の関わり合いや児童生徒同士の関わり合い、自分の感覚や行為を通して理解する実習・実験、地域社会での体験活動、専門家との交流など、様々な場面でリアルな体験を通じて学ぶことが重要です。