幼児教育の質の向上14 2026/02/12 2.幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上 ○ 幼稚園教諭をはじめとした幼児教育施設の教職員については、小中学校と比較して平均年齢が若く、平均勤務年数も短いなど、経験豊富な中堅教職員が少なく、若手教職員へ専門性が継承されにくい現状があるとともに、こうした状況から自らのキャリアプランが描きにくいという指摘もある。 ○ また、保育ニーズの高まり等を背景に、保育士のみならず、幼稚園教諭の確保も厳しい状況となっている。さらに、幼稚園は他の学校種と比べて女性比率が高い職場であると言える。多くの教職員が出産・育児等の休業期間を経験する中、離職を防止し、たとえ離職したとしても再就職しやすい環境を醸成できるかが課題である。 ○ 加えて、例えば、幼稚園においては、預かり保育や子育ての支援などの教育課程以外の活動への対応が増加する中、多様化・複雑化している幼児教育現場の課題にも対応する必要があり、効果的な研修の実施・普及が求められている。
幼児教育の質の向上13 2026/02/10 ②外国人幼児等への支援 ○ 国際化の進展に伴い、海外から帰国した幼児や外国人幼児の増加が見込まれる。こういった幼児については、幼稚園等における遊びや生活を通して日本語に親しむとともに、小学校進学時に学校生活に円滑に適応できるよう、幼児教育施設を活用し、幼児やその保護者に対する日本語指導、就学ガイダンス、就学相談等の取組を充実することが重要である。 ○ 地方公共団体においては、幼児教育施設に関して相談が可能な一元的な行政窓口の設定、就園に必要な手続き・園児募集の状況、就学案内等の多言語でのホームページ掲載など就園・就学等に関する情報へのアクセスの向上を図ることが期待される。また、保護者等との円滑な意思疎通が図られるよう、通訳者の派遣、連絡文書の多言語化、多言語翻訳システムといったICTを活用した支援 等が望まれる。 ○ 国においては、就学前のプレスクールの実施等の各地方公共団体が行う取組への支援を充実することが重要である。また、外国人のための就園ガイドの作成等を行い、多言語での就園・就学案内を推進することが重要である。また、幼児期の特性を踏まえた研修プログラムの作成、幼児教育段階における指導上の留意事項等の整理等に関する検討を行うべきである。
幼児教育の質の向上12 2026/02/09 (4)特別な配慮を必要とする幼児への支援 ①障害のある幼児等への支援 ○ 個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成が必要であると判断されている幼児の数は増加傾向にある。子供一人一人の発達に応じた指導を行い、子供の発達の実情や生活の流れなどに即して、教職員が子供の活動にとって適切な環境を構成するという観点から、幼児教育は特別支援教育との親和性が高く、障害のある幼児等への支援を充実させることは、全ての子供への指導の充実にも資するものであると言える。 ○ 障害のある幼児等の将来的な自立と社会参加を見据えた一人一人の教育的ニーズを把握した早期発見・早期支援が重要であることから、幼児教育施設における特別支援教育の充実、それを支える関係機関・部局と連携した切れ目ない支援体制整備が求められている。また、個別の教育支援計画等を活用した小学校等への円滑な移行支援の充実も求められているところである。 ○ これについては、特別支援学校のセンター的機能の積極的な活用をはじめ、これまでも特別支援教育支援員の配置に係る地方交付税措置が講じられてきたほか、専門の医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の外部専門家の配置に関する支援が行われてきたところであり、引き続きこれらの支援等を行うことが重要である。また、近年の医療技術の進歩により、医療的ケアが必要な幼児が通園する場合も考えられ、今後、これを踏まえた環境整備を行うことが必要である。 ○ 他方、幼稚園における体制は十分とは言い難く、とりわけ私立幼稚園については、受入れのニーズに応えきれていないという声もあることから、引き続き私学助成等の支援により幼稚園等の教育活動を充実させ、園内体制の充実を図ることが期待される。 ○ 公立幼稚園については、近年特別な配慮を必要とする幼児の受け皿となっているとともに、特別支援教育の知見を有する担い手の養成にも貢献しているところであり、引き続きその役割を果たすことが期待される。 ○ 障害のある幼児等への支援に当たっては、家庭、地域及び医療や福祉、保健等の業務を担う関係機関との連携を図ることが重要である。 ○ 国においては、特別支援教育に関する教職員の資質向上のため、幼児期の特性を踏まえた研修プログラムの作成、障害のある幼児等の受入れに当たっての体制整備の在り方や指導上の留意事項等の整理等に関する検討を行うべきである。
幼児教育の質の向上11 2026/02/06 (3)教育環境の整備 ○ 幼児教育の質の向上を図るためには、教育内容の充実だけでなく、資質・能力を育む上で効果的な環境の在り方について検討を行い、その改善及び充実を図ることが必要である。教育内容・方法に対応した保育空間、子育ての支援活動等の運営が円滑に行われる空間として、幼児教育にふさわしい環境の充実を図ることが重要である。 ①先端技術の活用 ○ 先端技術の活用については、園内環境のアセスメントや業務負担の軽減のみならず、教職員と子供の関わりの実践知を可視化し、研修の素材としたりすることが考えられる。とりわけ幼児期の段階については、教職員と子供の関わりも深いことから、教職員の発話や行動と併せて分析することも考えられる。 ○ なお、ICTを基盤とした先端技術の活用に関しては、子供の発達の段階を十分考慮する必要がある。特に、幼児期は直接的・具体的な体験が重要であることを踏まえ、幼児教育施設での生活では得難い体験を補完するなど、ICT等の特性や使用方法等を考慮した上で、幼児の直接的・具体的な体験をさらに豊かにするための工夫をしながら活用することが重要である。 ○ また、幼児教育施設における業務のICT化の推進等により、教職員の事務負担の軽減を図ることが重要である。 ②安全・安心な環境の整備 ○ 幼児教育施設においては登園時間や通園方法、教育活動の場や内容、教職員の職種や勤務時間が多様であることなどから、各園における特徴に留意した上で、安全対策を講ずることが重要である。 ○ 学校安全計画等の策定・改善はもちろんのこと、各種ガイドラインに基づき、幼児教育施設における事故の発生・再発防止のための取組を推進する必要がある。 ○ 幼児教育施設については、教育環境の充実だけでなく、耐震化、アスベスト対策、防犯、バリアフリー化、衛生環境の改善等の安全対策を引き続き行うことが必要である。
幼児教育の質の向上10 2026/02/05 (2)小学校教育との円滑な接続の推進 ○ 幼児教育施設の教育において育まれてきた資質・能力について、小学校教育を通じて更に伸長していくためには、新幼稚園教育要領等で位置付けられた、資質・能力が育まれている5歳児修了時の具体的な姿である「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手掛かりに、幼児教育施設と小学校の教職員が子供の成長を共有するなどの連携を図り、幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化を図る必要がある。 ○ 幼児教育施設では、その活動が小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにする必要がある。 ○ 小学校教育では、生活科を中心としたスタートカリキュラムの中で、短時間での学習などを含む授業時間や指導及び環境の構成等の工夫を行いながら、幼児期に総合的に育まれた資質・能力を各教科等の特質に応じた学びにつなげていく必要がある。 ○ 小学校入学当初は、幼児期の生活に近い活動と児童期の学び方を織り交ぜながら、幼児期の学びを踏まえて、児童が主体的に自己を発揮できるようにすることが大切であり、スタートカリキュラムは、幼児教育と小学校教育を円滑に接続する重要な役割を担っている。 ○ 幼児期から小学校への教育的なつながりを確保するためには、園長・校長のリーダーシップの下、幼児と児童の交流だけでなく、幼児教育施設と小学校の教職員が、両者の教育について理解を深め、また、両者が抱える教育上の課題を共有しておくことが重要であり、幼児教育施設と小学校の教職員の合同研修等の実施や、人事交流、相互の派遣研修等の推進が必要である。 ○ なお、地域の幼児教育と小学校教育の円滑な接続の観点から、小学校との連携は、幼稚園だけではなく、保育所や認定こども園等も含めた幼児教育施設全体で推進していくことが重要である。その際、公立幼稚園については、小学校教育との接続に関する知見を生かし、地域における幼小連携・接続の中核的な役割を担うことが期待される。 ○ 一方、幼児教育施設と小学校との間で積み上げた連携の実践が、園長・校長や中核となる教職員の異動等により実施が困難になるといった声もある。よって、地域全体として幼児教育施設と小学校との連携を基盤として円滑な接続を可能にする取組の充実が求められており、具体的には、合同研修やカリキュラム開発の効果的な実施を図る上で、教育委員会や幼児教育センター等の行政がリーダーシップを発揮していくことが重要である。その際、学校区単位など一定のブロックを設定することも有効である。