保育の質の確保・向上6 2025/12/08 2.調査研究等により得られた主な知見 (2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方 〇日本の保育所保育の特色に関して、その背景や拠りどころとなっていることを、時代による変遷・経緯も含めて探ることを目的に、学識経験者による研究グループを編成し、保育・児童福祉・幼児教育・発達心理学等の領域を専門とする学識経験者と保育実践経験者からヒアリングを行い、保育の制度や実践に関わる理念・思想とその歴史的経緯、乳幼児期の発達や学習、保育の実践の質向上に向けた現場の取組や保育者の意識等に関する知見を得た。これらの内容は語り手の主観的な視点を切り離すことができないものである点を考慮した上で、研究グループによる検討を加え、保育所保育の基本的な考え方の基盤と背景、保育所保育の営みが持つ特徴、保育実践に携わる立場から捉えた保育という3つの観点から整理・再構成を行った。
保育の質の確保・向上5 2025/12/05 2.調査研究等により得られた主な知見 (1)諸外国における保育の質をめぐる動向 〇各国の保育の評価をめぐる課題や動向を通じて、 ①各現場の現状や課題を把握して改善を図り一定の質を確保するとともに、それぞれの実態に即して創意工夫を活かした実践の豊かさを捉え、さらなる充実を促す評価の仕組み ②評価に対する負担感や評価の形骸化を避け、現場の保育者にとって効力感や納得感の得られる評価の方法 ③評価の妥当性や信頼性を確保するための評価者の立場・専門性と評価のプロセス ④保護者や自治体担当者、小学校教師など多様な関係者が保育実践と子どもの育ちを理解することに資する評価の内容・結果の提示や活用の仕方といった観点から、評価のあり方を検討する必要性が示された。 〇これらのことを踏まえ、今後日本においても、指針・カリキュラムに示される保育の基本的な考え方がより広く浸透するとともに、それが現場において各々の実情に即して実践と着実に結びつくよう、保育の質の確保・向上に関わる評価等の取組とそれを支援する仕組みの構築・展開を検討していくことが重要とされた。またその際、特に必要と考えられる課題として、多様な関係者が参画し共に考える仕組みづくりや、現場と協働的な関係のもとで保育の質を継続的に捉え支えていく人材の育成・供給といったことが挙げられた。
保育の質の確保・向上4 2025/12/04 2.調査研究等により得られた主な知見 (1)諸外国における保育の質をめぐる動向 〇指針・カリキュラムに関しては、近年、乳幼児期の保育とその質に対する国際的な関心の高まりや社会の急速な変化に対応して、何を・どのように育んでいくのか、従来の内容を見直す必要に迫られ、模索する動きが各国で見られる 。 〇こうした中で、現場の実情を踏まえた議論においては、特に3歳未満児の発達に即した保育のあり方 (低年齢児期固有の特性に応じた内容や配慮、3歳以上児の保育との連続性など)や、子どもの多様性を包摂する枠組みを検討し、提示していくことが、多くの国で共通した課題となっていることが示唆された。 ○一方、保育の評価に関しては、実施の体制・方法及び使用するツール(指標等)、評価の目的と結果の用い方(公表の仕方、結果に基づく規制・管理やインセンティブなど)、評価者の立場・権限等が、国によって多様であった。背景に、社会全体の状況や行政によるガバナンスのあり方の違いが存在する。 〇また、指針・カリキュラムと評価の内容がどの程度一貫・対応しているか、指針・カリキュラムにおいて何を目標として示し、またそれを基に何について評価を行うか(保育実践、子どもの発達や学びなど)といった点でも、国によって異なる特色が見られた。指針・カリキュラムと評価のいずれについても、全体として、近年はある時点での状態や到達度よりもプロセスを重視する傾向がうかがわれた。
保育の質の確保・向上3 2025/12/03 2.調査研究等により得られた主な知見 (1)諸外国における保育の質をめぐる動向 ○保育の質の確保・向上に向けて様々な取組が進められている諸外国(ニュージーランド、イングランド、アメリカ、スウェーデン、ドイツ、ノルウェー、韓国、シンガポール、台湾) を対象に、各国の状況の全容を把握するため、学識経験者による研究会を置き、保育に関する文化・社会的背景、制度・政策、指針・カリキュラム目標・内容・方法の基本原則等を示すもの) 、評価 等について、文献・資料により現状及び背景・経緯を概観し、各々の取組の成果・課題の整理 と考察を行った 。 ○この結果、保育制度・政策や質の確保・向上に向けた取組のありようの全般に、子どもの福祉・教育に関する基本理念、保育施設の役割として重視されていること、行政による統一的な規制・管理と現場及び地域の多様性や裁量の関係についての考え方など、その国の保育に 関する理念・価値観や社会全体の構造・趨勢が関わっていることが明らかとなった。各国の特色ある仕組みや取組を参考としながら、日本における保育の質の考え方等を議論していく上で、質を支える様々な要因を個々に見ていくだけでなく、社会的な文脈・背景を踏まえ、全体として捉える視点を持つことの重要性が改めて示された 。
保育の質の確保・向上2 2025/12/02 保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会 1.本検討会における 議論の経過 ○本検討会では、第1回から第6回( 2018 (平成 30 )年 5~9 月において行われた構成員及び関係者(保育事業者、事業者団体、自治体)による意見発表と自由討議の内容を踏まえ、2018 (平成 30 )年9月に 「中間的な論点の整理」をとりまとめた。 ○この中で、保育の質は多層的で多様な要素により成り立つものであり、保育の質の検討に当たっては、子どもを中心に考えることが最も基本的な視点であることが示された 。その上で、 今後議論を深めるべき主な事項については、「総論的事項」(我が国の文化・社会的背景を踏まえた保育所等における保育の質に関する基本的な考え方と、その捉え方・示し方)と、「保育の現場における保育実践」「保護者や地域住民等との関係」「自治体や地域の関係機関との連携」に関する「個別的事項」に整理された。 ○これを受け、各事項に関連した取組として、 2018 (平成 30 )年度後半から 2019 (令 和元)年度にかけて、 ・「保育実践事例集」の作成 ・「保育所における自己評価ガイドライン」の見直し ・都道府県等における保育の質向上に関する取組の実態調査 を行った。 ○また、 保育の質をめぐる国内外の研究や実践・取組の経緯及び 現状 等について知見を得るため、 ・諸外国における保育の質をめぐる動向 2018 (平成 30 )年度 ・日本 における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方 2019 (令和元)年度) について、調査研究等を実施した。 ○その上で、 これらの取組及び調査研究等の成果を通じてこれまでに得られた示唆や知見を踏まえ 、 (1) 我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色 (2) 乳幼児期の子どもとその保育に関する基本的な考え方に関連して今後検討すべき事項 (3)保育実践の質の確保・向上に向けた取組のあり方 の3点を軸に議論を行った。本報告は、こうした一連の議論の主な内容をとりまとめたものである。