子どもの成長114 2026/08/24 「熱中症を防ぐ」 日常生活での熱中症対策、特に高齢者について これまでこのシリーズでは、熱中症予防対策について主にスポーツとの関連から話を進めてきたが、既にシリーズ第1回目で述べたように、熱中症患者を年齢別にみた時に最も多いのは高齢者であり、しかも発生現場として最も多いのは住居である。つまり、自宅で過ごしている高齢者の熱中症リスクが高いということであり、その対策が重視されなければならない。 高齢者が熱中症になりやすい原因として、加齢により発汗などの体温調節機能が低下すること、喉の渇きを感じにくく、体内の水分量が加齢によって減少していることと相まって脱水になりやすいこと、暑さそのものを感じにくくなっていること、暑くても房の使用を控えがちであること、などが挙げられる。 高齢者が熱中症にかかりやすい理由 「暑い」と感じにくくなる 行動性体温調節が鈍る 発汗量・皮膚血流量の増加が遅れる 発汗量・皮膚血流量が減少する 体内の水分量が減少する のどの渇きを感じにくくなる 出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」 対策としては、喉の渇きを感じなくてもこまめに水分を補給すること、冷房を適切に使用することが推奨される。また、ふだんから軽く汗をかく運動を習慣にすることで、体温調節機能の維持・改善が期待できる。 高齢者の世話をする人が注意する点 【体調】 元気か、食欲はあるか、熱はないか、脇の下・口腔の乾燥具合 【具合】 体重、血圧の変化、心拍数、体温 【環境】 世話をする人がいない間の過ごし方、部屋の温度や湿度、風通し、換気、日当たり
子どもの成長113 2026/08/21 「熱中症を防ぐ」 熱中症予防と体育・スポーツ活動の進め方 暑い中で無理に運動しても、トレーニングの質が低下する上、消耗が激しく、効果は上がりません。熱中症予防は、安全面だけでなく効果的トレーニングを行う上でも、たいへん重要です。 熱中症事故の実態からは、予防のポイントとして、以下のことが挙げられます。 1.熱中症事故は、夏のごく普通の環境条件下で発生しています。夏は、個人の条件や運動の方法によっては、いつでも熱中症は起こり得ることを認識しましょう。また、マラソンなどの学校行事では夏以外でも熱中症事故が発生しています。 2.運動種目は多岐にわたりますが、野球、ラグビー、サッカー、柔道、剣道で多く発生しており、これらの種目では、特に注意しましょう。また、運動種目にかかわらず、ランニングやダッシュの繰り返しによって多く発生しています。 3.暑さへの耐性は、個人差が大きく影響します。特に肥満傾向の人は熱中症事故の7割以上を占めており、注意が必要です。 出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部「熱中症を予防しよう」
子どもの成長112 2026/08/20 「熱中症を防ぐ」 学校や日常生活での注意点、子ども・高齢者について 学校での熱中症対策、子どもを守る 前回、スポーツ活動中の熱中症についてまとめたが、その観点からは学校における対策も重要となる。 学校では中学から高校1・2年生のクラブ活動での発生が多い。種目別では野球やサッカー、ラグビーなどの屋外で走行する競技で発生しやすい。また、意外なところでプールでも熱中症になり得ることは、前回述べたとおりだ。 なお、子どもは体重当たりの体表面積が大きいために、日光の照射など環境の影響により体温が大人より上昇しやすく、また、体温調節機能がまだ十分発達していない。さらに、大人よりも身長が低いということは、それだけ温度が高い地表近くにからだがあるということで、それもまた熱中症のリスクを高める。 これらの理由から、子どもは成人以上に熱中症になりやすく、子どものスポーツを指導する立場にある人には十分な注意が求められる。 学校における熱中症予防のための指導のポイント 1.直射日光の下で、長時間にわたる運動やスポーツ、作業をさせることは避けましょう。 2.屋外で運動やスポーツ、作業を行うときは、帽子をかぶらせ、できるだけ薄着をさせましょう。 3.屋内外にかかわらず、長時間の練習や作業は、こまめに水分(0.1〜0.2%食塩水あるいはスポーツドリンク等)を補給し適宜休憩を入れましょう。また、終了後の水分補給も忘れないようにしましょう。 4.常に健康観察を行い、児童生徒等の健康管理に注意しましょう。 5.児童生徒等の運動技能や体力の実態、疲労の状態等を把握することに努め、異常が見られたら、速やかに必要な措置をとりましょう。 6.児童生徒等が心身に不調を感じたら申し出て休むよう習慣づけ、無理をさせないようにしましょう。 ※また、日頃から、緊急時の対応のために構内対策チームを組織し、熱中症対策について教職員の共通理解を図り、応急手当の研修を実施したり、学校医、消防署、教育委員会、家庭等への連絡方法等を明確にしたりして、救急体制を確立しておきましょう。 出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部「熱中症を予防しよう」
子どもの成長111 2026/08/19 「熱中症を防ぐ」 夏季イベントによる熱中症リスク イベント会場には、その特性のために日差しを遮る木々や構造物が少ないこと、混雑のために風通しが悪くなり、互いの体温・熱気により熱がこもりがちになること、トレイが少ない、またはトイレへの移動が困難なために水分摂取を控える傾向があること、といった条件が重なり、熱中症リスクを高める。2011年8月に横浜で開催された音楽コンサートでは、参加者3,000名中36名が熱中症で搬送されている。 夏季スポーツイベントの熱中症対策 上記の2条件、つまりスポーツと夏季のイベントが重複した場合、当然ながら熱中症リスクはさらに上昇する。 日本スポーツ協会による「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では、WBGT 31°C以上(気温の参考値35°C以上)の場合、運動は原則禁止、WBGT 28~31°C(同 31~35°C)は厳重警戒などとレベルで区分けし、注意を喚起している。 夏季のスポーツイベントというと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックがまさにそれに該当する。その会期は7月24日から9月6日という1年で最も暑い時期と重なる。しかも日本の夏は温度もさることながら湿度も高いという特徴があり、この暑さに慣れていない外国人アスリート・訪日客を迎えるにあたり、万全の対策が求められている。 表5 イベントを実施するにあたっての4つのチェック項目 1.イベントの実施体制(システム)をチェックしましょう 大会関係者に連携が必要な機関は入っていますか? 警察、自治体、消防、広報、医療関係者は入っていますか? 救護所の設置等、医療関係者(地元医師会、周辺の医療機関)と積極的に連携していますか? 2.イベントの対応フローがちゃんと流れるかチェックしましょう 急病人が発生したときの対応フローはありますか? フローには救急連絡先(警察、自治体、消防(救急)、広報)が含まれていますか? フローに含まれている連絡先にイベント実施日、時間、内容は伝わっていますか? 3.イベントの規模と対応スタッフの数を確認しましょう 対応スタッフの担当エリア、人数は決まっていますか? 本部と各エリアスタッフとの連絡方法、連絡責任者は明確になっていますか? イベント実施日は、本部と救急連絡先との連絡を定期的に行うことになっていますか? 人が滞留しやすい場所、暑い場所を確認していますか? 4.イベントの安全目標を確認しましょう イベントにおける安全目標は明確になっていますか? 目標は大会長からスタッフに伝達されていますか?
子どもの成長110 2026/08/18 「熱中症を防ぐ」 事前準備として 運動前・運動後の体重を測り自分の水分がどのくらい失われているのかを把握し、水分補給量の目安にする。 運動前 体内の水分量を100%にキープする。 ただし、運動直前に糖質を過剰に摂取するとパフォーマンス低下を招くおそれがある。 水やお茶などがおすすめ。 運動中 自由に水分補給ができる環境をつくる。 体重の減少が2%を超えないように水分を補給する。 また、発汗により塩分も失われるので、スポーツドリンクなどを利用して0.1〜0.2%程度の塩分も補給する 運動後 運動後1時間以内に水分を補給する。失った水分量を補給し100%〜120%が目安。