子どもの成長40 2026/05/08 高炭水化物食や加糖飲料の摂取などの食習慣やダイエット願望が、大学生の抑うつレベルと有意に関連 寮生(おもに運動部所属学生)は、加糖飲料摂取量が非寮生より有意に多い 解析に必要なデータが不足している回答を除外し、451人を解析対象とした。おもな特徴は、平均年齢21.1±4.5歳、女子40.6%、BMI21.4±4.5であり、加糖飲料の摂取量は2.7±3.4本/週(500mLを1本に換算)で、ほぼ半数(49.7%)がダイエット(減量)願望を有していた(「ダイエット願望あり」に33.3%が強く同意、16.4%がやや同意)。 寮生(51人)と非寮生(400人)に二分して比較した場合、加糖飲料の摂取量に有意差が認められ、寮生のほうが多く摂取していた(4.7±3.8 vs 2.4±3.3本/週、p<0.001)。なお、寮生の大半は運動部に所属している学生だった。朝食摂取頻度、コンビニエンスストアの利用頻度、高炭水化物食品の摂取頻度、バランスのよい食事の摂取頻度、食習慣の乱れの自覚、ダイエット願望の強さ、サプリメントの利用頻度に関しては、寮生と非寮生とで有意差はなかった。 うつレベルを表すQIDS-Jは平均が5.8±3.9であり、本研究に参加した学生は全体的に軽度のうつ傾向にあると考えられた。寮生と非寮生で比較すると前者は4.5±2.6、後者は6.0±4.0であり、主として運動部員である寮生のほうが低値だったが有意差はなかった。 加糖飲料、高炭水化物食、ダイエット願望などがうつレベルの高さと関連 食習慣の調査の回答とQIDS-Jのスコアの関連を解析すると、全体解析では、加糖飲料の摂取量の多さ(β=-0.22、OR0.920)、朝食の摂取頻度の高さ(β=-0.230、OR0.84)、バランスのよい食事の摂取頻度の高さ(β=-0.90、OR0.08)がうつレベルの低さと有意に関連し、高炭水化物食品の摂取頻度の高さ(β=1.23、OR1.58)、食習慣の乱れの自覚の強さ(β=0.59、OR1.32)、ダイエット願望の強さ(β=0.73、OR1.11)はうつレベルの高さと有意に関連していた。 ただし、前述のように加糖飲料の摂取量については、おもに運動部員で構成されている寮生と非寮生との間で有意差が認められ、かつ非有意ながら寮生はQIDS-Jスコアが低い傾向にあったことから、寮生を除外した解析も行った。すると、非寮生では、加糖飲料の摂取量の多さはうつレベルの高さと有意に関連するという、反対の結果が得られた(β=0.32、OR1.03)。つまり、運動を行っていない多くの一般学生では、加糖飲料の摂取頻度が高いことがうつのリスク因子の一つである可能性が考えられた。 なお、非寮生のみにおいても加糖飲料の摂取量以外に、高炭水化物食品の摂取頻度の高さ(β=0.39、OR1.43)と、ダイエット願望の強さ(β=0.25、OR1.15)は、いずれもうつレベルの高さと有意に関連していた。
子どもの成長39 2026/05/07 高炭水化物食や加糖飲料の摂取などの食習慣やダイエット願望が、大学生の抑うつレベルと有意に関連 国内の大学生の抑うつに、高炭水化物食品の摂取頻度やダイエット(減量)願望などが、有意に関連していることが報告された。法政大学大学院公共政策研究科および広島大学大学院人間社会科学研究科の原田裕輔氏らの研究によるもので、「Cureus」に論文が掲載された。 若者の自殺のリスク因子として「食習慣の乱れ」を考慮する必要性 国内の10~39歳の死因のトップは自殺であり、15~29歳では全死亡の50%以上を自殺が占めている。自殺の原因として、メンタルヘルス関連疾患、とくにうつ病が大きいと考えられており、栄養状態がメンタルヘルスに影響を及ぼし得ることも知られている。例えば世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルス疾患のリスク抑制のための栄養改善を推奨している。 一方、国内の大学生は、朝食欠食や炭水化物中心の食事摂取、加糖飲料の多飲などの乱れた食生活を送っていることが多いと指摘されている。一般成人では、これらの乱れた食生活がメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことを示唆する研究結果も既に報告されている。ただし、大学生の食習慣とうつレベルとの関連は十分に調査されていない。 原田氏らは以上を背景として、国内の大学生を対象とする横断研究により、両者の関連性を検討した。 学生は全体的に軽度のうつ傾向があり、半数がダイエット志向 この研究は、法政大学で保健衛生学を履修している学部生を対象として、2022年11~12月にGoogleフォームを用いたオンラインアンケートとして実施された。事前の統計学的検討から、このトピックに関する有意性の検証に必要なサンプルサイズは354と計算され、それを超える455人が回答した。 うつレベルについては、臨床や研究で頻用されている質問票(Quick Inventory of Depressive Symptomatology-Japanese version;QIDS-J)を用いて評価した。QIDS-Jではうつレベルを0~27点にスコア化し、5点以下は抑うつなし、6~10点は軽度の抑うつ、11~15点は中等度の抑うつ、16~20点は重度の抑うつ、21点以上は最重度の抑うつと判定する。本研究では、このスコアを連続変数として食習慣との関連を解析しβ値を算出したほか、6点以上を「うつ傾向あり」と定義したうえでオッズ比(OR)の算出も行った。 食習慣については、31項目のオリジナルの質問により評価した。具体的な質問項目として、加糖飲料の摂取量、朝食摂取頻度、コンビニエンスストアの利用頻度、高炭水化物食品の摂取頻度、主観的な判断による栄養バランスのよい食事の摂取頻度、主観的な食習慣の乱れの程度、ダイエット(減量)願望の強さ、サプリメントの利用頻度などが含まれていた。
子どもの成長38 2026/05/01 思春期のネット依存が食事の質の低下を招き、摂食障害のリスクを高める可能性 トルコの高校生対象調査 ネット依存度と乱れた食行動のリスクとが有意に正相関 前記の各指標の相関を検討すると、若年者対象インターネット依存度(YIAT-SF)とソーシャルメディア障害(SMD)との間に強い正相関が認められた(r=0.679、p<0.001)。また、乱れた食行動(DE)リスクは、YIAT-SF(r=0.300)およびSMD(r=0.274)と中程度の正相関があり、地中海食品質指数(KIDMED)とは弱い正相関(r=0.153)が認められた(すべてp<0.001)。一方、BMIはすべての行動指標とも有意な相関を示さなかった。 このほかに媒介分析からは、問題のあるインターネットの使用(PIU)は地中海食品質指数(KIDMED)の低さ(β=-0.12、p=0.002)と関連しており、地中海食の遵守が乱れた食行動(DE)のリスクの上昇(β=0.15、p<0.001)と関連していることが示された。間接効果は有意であり(β=-0.02、p=0.016)、部分的な媒介効果が認められた。 ネットワーク分析から、YIAT-SFはDEリスク、SMD、およびKIDMEDをつなぐ中核的な因子であることが示唆された。 これら一連の結果を基に論文の結論は、「インターネット依存症は、食生活の質を介した乱れた食行動のリスク上昇と関連しており、思春期世代への介入において、この課題への対処が求められる」とされている。また著者らはこのトピックに関する、より長期にわたる研究の必要性を述べている。
子どもの成長37 2026/04/30 思春期のネット依存が食事の質の低下を招き、摂食障害のリスクを高める可能性 トルコの高校生対象調査 思春期におけるインターネット依存やソーシャルメディア使用障害は、食事の質の低下を介して摂食障害のリスク上昇と関連しているとする研究結果が報告された。トルコの高校生を対象とする横断研究の媒介分析とネットワーク分析からの知見であり、著者らはネット依存をターゲットとする介入が、この世代の食習慣と精神的健康を向上させ得ると述べている。 思春期のネット依存や食習慣の乱れは、後年の健康にも影響を及ぼす可能性がある 思春期は心理社会的発達の重要な時期であり、保護者の影響力の低下、および、感受性の高まりにより仲間から受ける力の上昇によって行動パターンが形成され、それが精神的・および身体的健康を左右する。思春期の行動パターンのうち、乱れた食行動(disordered eating;DE)は、有病率の高さと影響の及ぶ範囲の広さから、とくに重要な懸念事項として浮上している。最近のシステマティックレビューとメタ分析では、思春期の約22%に乱れた食行動(DE)がみられると推定されている。DEはしばしば、食事制限、過食、体型への過度なこだわりと結びつき、摂食障害(eating disorders;ED)のリスクと関連している。 一方、思春期のもう一つの問題として近年、インターネット依存症とソーシャルメディア使用障害の双方を含めた、問題のあるインターネットの使用(problematic internet use;PIU)の重要性が指摘されるようになった。PIUは、感受性とアイデンティティー形成が進む思春期において不適応な行動を増やすと考えられており、かつDEの修正可能な危険因子として報告されている。 他方、健康的な食習慣を含む健康的なライフスタイルは、ストレスや不安を軽減し、感情を安定させることが示されている。よって、健康的な食生活を守ることは、DEとPIU双方のリスクを抑制する可能性がある。 健康的な食習慣のパターンとして、地中海食が世界中で広く知られ実践されている。大うつ病性障害を含む精神疾患の治療における地中海食の有効性に関するエビデンスも存在し、さらに思春期世代の心理的苦痛の軽減や自己管理力との関連の報告もある。 以上を背景として本論文の著者らは、地中海食の実践状況で評価した食事の質が、思春期の子どものPIUの少なさやDEリスクと関連している可能性を想定し、以下の研究を行った。研究仮説として、(1)PIUはDEリスクと正の相関関係にある一方、食事の質は負の相関関係がある、(2)食事の質はPIUとDEリスクの関係を媒介する――という2項目が設定された。 トルコ国内の高校生を対象に横断調査を行い、媒介分析およびネットワーク分析 研究対象は、トルコ国内から無作為に選ばれた高校3校の生徒647人。乱れた食行動(DE)または問題のあるインターネットの使用(PIU)のため治療中の生徒、出席していない生徒、保護者の同意のない生徒は除外されている。なお、事前の統計学的検討で、この仮説の検証に必要なサンプルサイズは631と計算されていた。 PIUやDEのリスク、食事の質などの評価には次項に挙げる、いずれも精度検証済みの評価法を用いた。 解析対象となった高校生の特徴 解析対象者のおもな特徴は、年齢16.0±0.90歳、男子46%で、BMIは20.8±3.0であり、31%が低体重、11%が過体重・肥満だった。 摂食態度調査票(Eating Attitudes Test;EAT-26)は26項目で、それぞれ0~4点のリッカートスコアで回答し、合計20点以上の場合、乱れた食行動(DE)のリスクありと判定する。本研究では平均13.1±11.0点であり、20点以上でDEリスクありとされたのは18.2%だった。 若年者対象インターネット依存度テスト短縮版(Young Internet Addiction Test;YIAT-SF)は、12項目でそれぞれ1~5点のリッカートスコアで回答し、スコアが高いほど依存度が高いと判定する。本研究では平均31.3±9.6点であり、乱れた食行動(DE)リスクの有無で比較すると、DEリスクなし群(30.0±9.0点)に比較しDEリスクあり群(36.0±10.64点)は、スコアが有意に高かった(p<0.001)。 ソーシャルメディア障害(Social media disorder;SMD)尺度は、9項目の質問の5項目以上に該当する場合に、ソーシャルメディア障害と判定する。本研究での平均該当項目数は3.1±2.3であり、乱れた食行動(DE)リスクなし群(2.9±2.2)に比較しDEリスクあり群(4.1±2.5)は該当項目数が有意に多かった(p<0.001)。 地中海食品質指数(Mediterranean Diet Quality Index;KIDMED)は16項目からなり、3点以下は食事の質が悪い、4~7点は改善が必要、8~12点は食事の質が良いと判定する。本研究では平均4.4±2.3点であり、DEリスクなし群(4.3±2.3点)に比較しDEリスクあり群(5.0±2.4点)は、スコアが有意に高かった(p=0.004)。 このほかに、DEリスクの有無で、性別の分布(女子の割合)、世帯収入、父親の教育歴、および、1日のネット利用が2時間以上の割合については有意差がなかったものの、母親の教育歴に有意差がみられ、DEリスクあり群で大学・大学院以上の割合が有意に高かった(18.0 vs 28.0%、p=0.04)。
子どもの成長36 2026/04/28 ヒト消化管を模したin vitro実験系で、さまざまな飲料のカフェイン生体利用能を評価 この研究では、スペインのマドリードのスーパーマーケットで販売されている、さまざまなブランドのソフトドリンク、エナジードリンク、コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン摂取後の動態が、ヒトの消化管を模したin vitroのモデルで分析された。このモデルは、口腔・胃・小腸に相当する酵素やpH環境を再現したもので、吸収可能な状態に消化されるカフェインの割合(バイオアクセシビリティー)を評価。また、腸管での吸収を模倣した分子量12kDaの透析膜を用いて、透過したカフェイン量から、バイオアベイラビリティー(生体利用能)を推定した。 カフェイン含有量はコーヒーが顕著に高い まず、各飲料に含まれているカフェインの量を測定し、製品ラベルに記されている値とよく一致することを確認した。 測定された含有量はコーヒーが最も高く、2,333mg/Lだった。コーヒー以外では、エナジードリンクが242~330mg/L、紅茶は約170mg/L、緑茶は約100mg/L、ソフトドリンクは100mg/L未満だった。 バイオアクセシビリティーは、カテゴリーによらず、どれもほぼ100% 次に、摂取したカフェインのうち吸収可能な状態になる割合をみると、83~112%の範囲に分布し、総じて高いバイオアクセシビリティーが認められた。示されたこのように高いバイオアクセシビリティーについて論文中では、「カフェインの溶解性が高いため消化管内での消化過程でほとんど分解されないことを示唆していると考えられる」と考察されている。 バイオアベイラビリティーは、コーヒーは低いが吸収量自体は多い 続いて評価したバイオアベイラビリティーは、52~79%の範囲に分布していた。製品カテゴリー別にみると、ソフトドリンクが65.6~79%、緑茶が76%、紅茶70~75%、エナジードリンク52~72%で、コーヒーは62%と低かった。著者らは、「コーヒーに含まれるカフェインのバイオアベイラビリティーは高くはないが、コーヒーはカフェイン含有量自体が多いため、吸収されるカフェインは多くなるだろう」としている。 摂取1機会あたりのカフェインの体内吸収量はエナジードリンクが多い 最後に、上記の各飲料のカフェインのバイオアベイラビリティーを基に、解析対象とした製品の容量(ボトル製品の場合)、または標準的な1杯あたりの容量(コーヒー、紅茶、緑茶)を摂取した場合に、生体に吸収されるカフェインの量を求めた。すると、エナジードリンクは1本で89~115mgとなり、製品カテゴリー別で最も多く、次いでコーヒーが43~86mgだった。そのほかの飲料は、紅茶が24~25mg、緑茶15mg、ソフトドリンク10~24mgとなった。 なお、この試算に基づくと、仮にコーヒー以外からカフェインを一切とらないと仮定した場合、エスプレッソコーヒーのシングルなら1日最大9杯、ダブルなら最大4杯まで摂取が許容されるという。ただし、カフェインはコーヒー以外の飲料や嗜好品、医薬品などにも含まれているため、実際にはこれより少量で推奨の上限に達する。 これらの結果に基づき論文の結論には、「製品のラベルにはカフェイン含有量が記載されているが、最終的に血液中に到達する量は、製品により大きく異なる可能性がある」とし、また健康リスクの評価のため、エナジードリンクに含まれているカフェインの上限量設定を検討する必要性に言及している。