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園からの発信

教育振興基本計画6

2025/01/31

Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望

(2)第3期計画期間中の成果と課題

○社会経済の発展の観点からは、イノベーション人材をはじめとする高度専門人材の不足や労働生産性の低迷が指摘される中、社会人の学び直しが十分に進んでいない状況に対し、リカレント教育、とりわけリスキリングの重要性が指摘されている。また、人生100年時代において、高齢者を含めた全ての人が豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じそれぞれのニーズに応じて学習することを可能とすることが重要である。

○大学等の高等教育機関においては、授業外学修時間の増加などコロナ禍における学修機会の確保の取組の成果が見られる一方、全学的な教学マネジメントの確立に向けた具体的な取組の進展について大学間の差が見られるため、学生の学びの質・量確保に向けた取組が求められる。また、博士課程進学率が低い傾向が続いており、博士人材が産業界等を含め幅広く活躍するためのキャリアパス整備等による進学意欲の向上が求められる。さらに、社会人の受入れを一層推進していく必要がある。

○学校施設については、老朽化の進行や多様な教育内容・方法等への対応が依然課題となっていることから、安全・安心で質の高い教育研究環境の整備を継続的に行っていく必要がある。

 

教育振興基本計画5

2025/01/30

Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望

(2)第3期計画期間中の成果と課題

○近年、いじめの重大事態の発生件数や児童生徒の自殺者数は増加傾向にあり、憂慮すべき状況である。また、不登校児童生徒数は増加しており、個々の状況に応じた適切な支援が求められている。なお、不登校が家庭の貧困につながるとの懸念も指摘されている。

○学校における働き方改革については、その成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き取組を加速させていく必要がある。

○近年の大量退職等に伴う採用者数の増加や既卒の受験者数の減少、産休・育休取得者や特別支援学級の増加等が要因となり、採用倍率の低下や教師不足といった課題も生じている。

○地域の教育力の低下や、地域コミュニティ機能の強化の重要性が指摘される中で、地域と学校の連携・協働体制の構築の取組であるコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取組は全体としては進んでいる一方で、自治体間・学校種間で差が生じている。また、共働き家庭やひとり親家庭の増加、地域のつながりの希薄化など、家庭を取り巻く環境が変化する中、子育てに不安を持つ保護者も多く、地域全体で家庭教育を支えることの重要性が高まっている。

 

教育振興基本計画 4

2025/01/29

Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望

(2)第3期計画期間中の成果と課題

○第3期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)においては、第2期計画の理念を引き継ぎつつ、2030年以降の社会の変化を見据えた教育政策の在り方を示すとともに「教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化する」ことを基本的な方針として掲げ、「教育立国」の実現に向けて取組を進めた。

○こうした取組の成果として、まず初等中等教育段階においては、PISA等の国際調査において、高い学力水準を維持しているほか、GIGAスクール構想により1人1台端末と高速通信ネットワーク等のICT環境の整備が飛躍的に進展した。また、小学校における35人学級の計画的整備や高学年教科担任制の推進等の教職員定数の改善と支援スタッフの充実が図られた。また、インクルーシブ教育システムを推進するため、通級による指導に係る教員定数の基礎定数化、教職課程における特別支援教育に関する科目の必修化、外部人材への財政支援の拡充等を実施した。

○高等教育段階においては、グランドデザイン答申を踏まえ、大学の認証評価のための法改正、全学的な教学マネジメントや質保証システムの確立、高等教育機関の連携・統合のための体制整備、大学設置基準の改正等、学修者本位の教育への転換に向けた取組を推進した。

○さらには幼稚園等から大学等までの学校段階を通じた教育費負担の軽減として、幼児教育・保育の無償化、高等学校等就学支援金の充実、高等教育修学支援新制度の導入が行われた。これにより、経済的に困難な世帯の子供の大学進学率が向上するとともに、経済的な理由による大学等中退者・高校中退者の減少がもたらされた。また、質の高い教育研究環境の整備を推進するとともに、安全・安心の確保に向けて施設の長寿命化や耐震化などが一定程度進展した。

○一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、留学をはじめとするグローバルな人的交流が激減したほか、様々な体験活動の停滞をもたらした。また、学校が児童生徒等の子供たちの居場所・セーフティネットとして身体的・精神的な健康を支えるという、学校の福祉的役割を再認識する契機ともなった。

教育振興基本計画3

2025/01/28

Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望

(2)第3期計画期間中の成果と課題

○教育基本法の改正後、国は同法に基づく教育振興基本計画をこれまで第1期、第2期、第3期と策定し、教育の目的や理念を具体化する施策を総合的、体系的に位置付けて取組を進めてきた。

○第1期教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)においては、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿を示して計画を推進し、その検証結果も踏まえて、第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)においては「自立」「協働」「創造」を基軸とした生涯学習社会の構築に向けて教育政策を推進した。

 

教育振興基本計画2

2025/01/27

Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望

(1)教育の普遍的な使命

○明治5年に我が国最初の全国規模の近代教育法令である「学制」が公布されてから令和4年で150年を迎えた。この間、各般の教育改革を経て、我が国の教育は国際的に高い水準を達成するに至り、社会の発展に大きく寄与してきた。

○近時の新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵略は、平穏な日常が脅かされ、基本的な価値が揺らぐという事態をもたらし、平成18年に改正された教育基本法の前文にある「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献する」ことの重要性や教育の目標にある生命を尊重することの大切さを再確認する契機となった。

○同法第1条においては、教育の目的として「人格の完成」「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」が規定されるとともに、第2条においては教育の目標として、①幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと、②個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと、③正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと、④生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと、⑤伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと、が規定されている。第4条においては、すべての国民がその能力に応じてひとしく教育を受ける機会を与えられる「教育の機会均等」が規定されている。

○これら教育基本法の理念・目的・目標・機会均等の実現を目指すことは、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代においても変わることのない、立ち返るべき教育の「不易」である。教育振興基本計画は、「不易」を普遍的な使命としつつ、社会や時代の「流行」の中で、我が国の教育という大きな船の羅針盤となるものと言えよう。「流行」を取り入れてこそ「不易」としての普遍的使命が果たされるものであり、不易流行の元にある教育の本質的価値を実現するために、羅針盤の指し示す進むべき方向に向けて必要な教育政策を着実に実行していかなければならない。

 

 

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