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園からの発信

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 65

2025/01/06

6.教育の質を保障するために必要な調査研究等

(1)現状と課題

○ 諸外国では、子供のデータを収集した長期縦断研究が国の政策形成に有効と考えられ、国のプロジェクトとして取り組まれており、我が国においても、質の高い教育を保障していくためには、方法論的に正当な調査・研究から得られた実証データの分析によるエビデンスに基づきながら、政策形成に取り組むことが求められる。また、幼児教育の質保障の方策としては、幼児教育の質や子供の発達と成果のより客観的な評価に向けて、具体的な評価指標を開発し活用している。

○ 実際、幼児教育の質及び子供の発達と成果に関する評価指標は、大規模縦断調査を踏まえながら、様々に開発され使用されており、国際的に広く使用されてきた代表的な評価指標としては、3歳以上の集団保育の質を測定する尺度であるECERS(Early Childhood Environment Rating Scale)や2歳から5歳の保育の質を測定する尺度で特に保育者と子供の関わりに焦点を当てているSSTEW(Sustained Shared Thinking and Emotional Well-being)等がある。

○ これら諸外国の評価指標は、日本の幼児教育施設においても、園内研修や自己評価等の際に活用している例があり、評価することを目的とするのではなく、点数の根拠を話し合うことで、自分たちの幼児教育の実践の振り返りや課題・改善方策等の共有につなげている。

○ 一方、これらは各国独自の子供観・発達観・保育観等に基づき作成されているものであるため、日本の幼児教育の質評価を行うに当たっては、日本の幼児教育に沿った質評価指標の開発研究を進めることが求められている。

 

ここであえて申し上げますが、世界的なデータとか評価指標について欠落しているのではないかと思うこともあります。OECDの研究においてもヒトの成長や発達を考えるとき、いわゆる赤ちゃんのことが欠けているのではないかと思います。生まれる前の母体の中においても言葉や音を認識しているとされており、発達は始まっているのです。データが取れなくとも母体においては語りかけの認識を実感しているとされています。さらに生まれての環境によって母語の認識は始まっており、親が使う言葉や周りの使う言葉を認識し、真似てご言語を認識しています。2歳からとか3歳以上においての研究の前にもっともっと赤ちゃんのことも含めた評価が大切ではないでしょうか。さらに教育は2歳位とか3歳からですか?母体の中から始まっているのではないでしょうか。

 

<新年号外>

2025/01/04

新年あけましておめでとうございます。

今年が皆様にとって素晴らしい1年となりますように祈念申し上げます。

そして子ども達の成長をしっかりと保護者と共に支援してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、1月31日と2月1日に熊本において、本園の保育理念の実践をさらに深めるために保育研究大会に参加します。全国より同じ理念を追求している保育関係者へ公開保育を実施し、さらなる保育を高めていくために多くの来園者の訪問を受け入れます。保護者おかれましてはどうぞこの趣旨をご理解いただきますようお願いいたします。

熊本大会リーフレット

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 64

2024/12/27

6.教育の質を保障するために必要な調査研究等

(1)現状と課題

○ 第3期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)では、「教育政策を推進するに当たっては、(中略)客観的な根拠を重視した行政運営に取り組んでいくことが重要である」とされている。また、「成果は多様であり、その評価は多角的な分析に基づくべきものであること」や、「成果が判明するまでに長い時間を要するものが多いこと」等に留意が必要とされている。

○ 一方、これまで、教育の在り方については、客観的なデータやそれを分析して得られるエビデンスではなく、自己の経験や思想、身の回りの特定の事例により議論されることも少なくなかった。

○ この点、幼児教育や幼保小の接続の分野においては、長年にわたり、よりよい教育を目指した実践が積み重ねられ、大学等でも研究が行われている一方で、行政施策が講じられる上で求められるデータやエビデンスの提供、政策形成に資する調査研究といった観点からは、必ずしも十分にあるとは言えない状況である。

 

教育振興計画については既に新たなものが示されており、次期のシリーズにしたいと考えています。ここでも指摘されている通り、これまでの教育は、自己の経験や思想、身の回りの特定の事例により議論されてきており、これでは現況に沿った教育にはならないと指摘しているようです。当然です。しっかりとした最新の専門知識を取り入れ、経験だけでなくエビデンスに基づく確かな教育が求められます。浅はかな知識で現代の教育を進めることはできないという意識も大切です。

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 63

2024/12/26

③幼児期の教育の質保障のために必要な人材確保・定着等

(エ)幼児教育施設の安全・安心な環境の確保

○ 幼児教育施設においては、学校安全計画等の策定・改善や安全管理の実施把握・評価はもとより、各種ガイドラインに基づき、送迎バスによる登降園時や園外保育時を含め、幼児教育施設における事故の発生・再発防止のための取組を徹底する必要がある。

○ また、昨今、幼児教育施設における不適切な保育事案が相次いで発生しているが、不適切な保育は子供の心身に深刻な悪影響を与え、先生及び幼児教育施設への信頼を失墜させるものである。特に、幼児期の子供の主体的な活動を通した学びの基盤は、先生との信頼関係の構築が重要と考えられ、先生は子供に対して受容的な態度で臨み、子供に対する体罰や言葉の暴力等は決してあってはならない。さらに、日常の保育においても、子供に身体的、精神的苦痛を与えることがないよう、子供の人格を尊重するとともに、子供が権利の主体であるという認識を持って保育に当たる必要がある。

○ そのため、先生に対する支援の充実、保育の振り返りを活用した子供の関わり方についての先生間の認識の共有、先生が精神的・時間的余裕を持って関わることができる環境の整備を推進することが必要である。また、不適切な行為が疑われる場合には、報告を徹底するとともに、行政を含めた組織的な対応が求められること、個人で抱え込まずに関係者と相談して対応することに留意する必要がある。

 

園内での事故防止については起こってはならないと認識し、常に様々なことを想定して保育を行なってはいますが、想定を超えることが起き、事故として扱われることがあります。大人の想定以上に子どもの活動は見通せないのも現実です。だからと言って禁止ばかりではのびのびとした子供の活動は期待できません。さらに子ども自身の危機回避能力、予測をする力の育成も必要です。事故を懸念するあまりに外遊びはなし、集団での遊びも避ける状況になり、それだと子ども同志の関わりは限局的になり、様々な人との関わりもなくなってしまう恐れもあります。とても難しい課題なのです。また、不適切な指導が行われたとの報道も耳にしますが、まずもって知識や保育のアップデートができていないことによるものも多いように感じています。昭和スタイルとか指導法を変えない、これまでの経験のみでの保育をすると時代遅れの保育になってしまいます。研修等にも常に参加してより良い保育活動を支えることができるようになることがあ大切です。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 62

2024/12/25

③幼児期の教育の質保障のために必要な人材確保・定着等

(エ)幼児教育施設の安全・安心な環境の確保

○ 子供の安全を確保するための環境整備では、事故の要因や危険を早期に発見し、速やかに除去するとともに、万が一、事故等が発生した場合に、適切な応急手当や安全措置ができるよう体制を確立することが大切である。特に、幼児期の子供は、遊びに没頭すると周囲に注意が向きにくくなったり、予想もしない場で思わぬ動き方や遊び方をしたりすることがあることから、幼児教育施設は、子供の行動により生じる危険を早急に発見し、事故を未然に防止するため、過去の事故統計や事故事例の分析、ヒヤリ・ハットを活用すること等が重要である。

○ このように安全が確保された環境の中で、子供が遊びを通して安全に行動するための行動等を身に付け、危険な場所や事物等が分かり、安全についての理解を深めるようにすることが大切である。なお、子供に安全な生活をさせようとするあまり、過保護になったり、禁止事項や注意事項が多くなったりする傾向も見られるが、その結果、かえって子供に危険を避ける能力が育たず、けがが多くなるということも言われている。子供が自分で状況に応じて機敏に体を動かし、危険を回避するようになるためには、日常の生活の中で十分に体を動かして遊ぶことを通して、その中で危険な場所、事物、状況などが分かったり、そのときにどうしたらよいかを体験を通して学びとっていったりすることが大切であることにも留意が必要である。

 

安全、安全とこのように言及されると、保育施設の多くが、子どもに対して危機回避力を身に付けることはできなくなってしまう場合もあるのです。ぶつかって安全なようにとか、転んでも怪我がないように園庭すべてに衝撃吸収マットを敷き詰め、転倒防止ではなく、転倒しても怪我をしない対策がいいのか、難しい問題です。転び方や転んでも大けがにつながらない転び方につながる運動遊びをするのか、いっそのこと部屋から出ない、子どもの行動を制限してしまう、「ダメ」、「してはいけません」の連発ならケガもしないかも知れません。しかしそれでいいのかどうか。子どもにとって、学校の登下校、社会に出て必要なことは何かを大切にしたいですね。

 

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