教育振興基本計画12 2025/02/10 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 (総括的な基本方針・コンセプト) ○上述の我が国の教育をめぐる現状・課題・展望を踏まえ、本計画では2040年以降の社会を見据えた教育政策におけるコンセプトとも言うべき総括的な基本方針として「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げる。両者は今後我が国が目指すべき社会及び個人の在り様として重要な概念であり、これらの相互循環的な実現に向けた取組が進められるよう教育政策を講じていくことが必要である。 (1)2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成 ○グローバル化や気候変動などの地球環境問題、少子化・人口減少、都市と地方の格差などの社会課題やロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化の中で、一人一人のウェルビーイングを実現していくためには、この社会を持続的に発展させていかなければならない。特に我が国においては少子化・人口減少が著しく、将来にわたって財政や社会保障などの社会制度を持続可能なものとし、現在の経済水準を維持しつつ、活力あふれる社会を実現していくためには、一人一人の生産性向上と多様な人材の社会参画を促進する必要がある。また、社会課題の解決と経済成長を結び付けて新たなイノベーションにつながる取組を推進することが求められる。Society5.0においてこれらを実現していくために不可欠なのは「人」の力であり、「人への投資」を通じて社会の持続的な発展を生み出す人材を育成していかなければならない。 ○こうした社会の実現に向けては、一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、「持続可能な社会の創り手」になることを目指すという考え方が重要である。将来の予測が困難な時代において、未来に向けて自らが社会の創り手となり、課題解決などを通じて、持続可能な社会を維持・発展させていくことが求められる。 ○Society5.0においては、「主体性」、「リーダーシップ」、「創造力」、「課題設定・解決能力」、「論理的思考力」、「表現力」、「チームワーク」などの資質・能力を備えた人材が期待されている。こうした要請も踏まえ、個々人が自立して自らの個性・能力を伸長するとともに、多様な価値観に基づいて地球規模課題の解決等をけん引する人材を育成していくことも重要である。
教育振興基本計画11 2025/02/07 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (4)教育政策に関する国内外の動向 ○第3期計画期間中には、中央教育審議会において、「学校における働き方改革」答申、「令和の日本型学校教育」答申、「高等教育のグランドデザイン」答申、「第3次学校安全の推進に関する計画の策定」答申、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方」答申が示された。また、生涯学習分科会、初等中等教育分科会、大学分科会において、各政策分野の審議まとめ等が取りまとめられるとともに、文部科学省に設置された各種の有識者会議において教育政策に係る提言がなされた。 ○また、教育未来創造会議第一次提言及び第二次提言、総合科学技術・イノベーション会議の教育・人材育成に関する政策パッケージ、経済産業省の未来人材ビジョンなど、関係省庁においても、教育政策に関する議論・提言が行われている。 ○国外では、経済協力開発機構(OECD)において、2030年の教育を見据えた「ラーニング・コンパス2030(学びの羅針盤2030)」が示されるとともに、ユネスコでは「教育の未来」グローバルレポートが取りまとめられている。
教育振興基本計画10 2025/02/06 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (3)社会の現状や変化への対応と今後の展望 ○成年年齢や選挙権年齢が18歳に引き下げられ、若者の自己決定権の尊重や積極的な社会参画が図られるとともに、こども基本法及びこども家庭庁設置法が成立し、子供の権利利益の擁護及び意見表明などについて規定されたことを踏まえた対応が必要である。 ○また、予測できない未来に向けて自らが社会を創り出していくという視点からは、「持続可能な社会の創り手」という学習指導要領前文に定められた目指すべき姿を実現することが求められる。その際、教育基本法の理念・目的・目標について規定されている普遍的価値を共有した上で、主体的な社会の創り手となる考え方が重要である。 ○今後目指すべき未来社会像として、第6期科学技術・イノベーション基本計画において、持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人一人が多様な幸せを実現できる、人間中心の社会としての「Society5.0(超スマート社会)」が示されている。 ○これら社会の現状や変化を踏まえて2040年以降の社会を展望したとき、教育こそが、社会をけん引する駆動力の中核を担う営みであり、人間中心の社会を支えるシステムとなる時代が到来していると言えよう。将来の予測が困難な時代において、一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割はますます大きくなっている。 ○こうした認識の下、目指すべき社会像の中での教育の在り方を本計画において示すものである。
教育振興基本計画9 2025/02/05 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (3)社会の現状や変化への対応と今後の展望 ○経済先進諸国においては、経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える「ウェルビーイング(Well-being)」の考え方が重視されてきており、経済協力開発機構(OECD)の「ラーニング・コンパス2030(学びの羅針盤2030)」では、個人と社会のウェルビーイングは「私たちの望む未来(Future We Want)」であり、社会のウェルビーイングは共通の「目的地」とされている。 ○社会の多様化が進む中、障害の有無や年齢、文化的・言語的背景、家庭環境などにかかわらず、誰一人取り残されることなく、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会の実現を目指し、その実現に向けた社会的包摂を推進する必要がある。
教育振興基本計画8 2025/02/04 Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望 (3)社会の現状や変化への対応と今後の展望 ○予測できる社会の変化としてはまず、人口減少が挙げられ、現在の生産年齢人口である15~64歳の人口は、2050年には現在の2/3に減少すると推計されている。我が国の労働生産性は国際的に見て低く、このままでは社会経済の活力や水準の維持が危ぶまれる状況にある。また、人口減少・高齢化は特に地方において深刻であり、地方創生の観点からの対応も必要である。加えて、長寿化が進展する中での対応も求められる。 ○デジタルトランスフォーメーションや地球温暖化と関連して、デジタル人材やグリーン(脱炭素)人材が不足するとの予測がある。また、AIやロボットの発達により、特定の職種では雇用が減少し、今後は問題発見力や的確な予測、革新性といった能力が一層求められることが予測されており、労働市場の在り方や働く人に必要とされるスキルが今後変容していくことが見通される。特に生成AIは人々の暮らしや社会に大きな変革をもたらす可能性があることが指摘されている。