教育振興基本計画38 2025/03/21 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 ④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 (デジタルの活用とリアル(対面)活動の重要性) ○小中高等学校においては、従来の教師による対面指導に加え、一斉学習や個別学習、協働学習など様々な学習場面においてICTを活用することや、目的に応じ遠隔授業やオンデマンドの動画教材を取り入れるなど、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての教師の役割を果たしつつ、リアルとデジタルを融合した授業づくりに取り組むことが考えられる。その際、教科内のみならず学校教育活動全体の中でのリアルとデジタルの組合せの検討や、デジタル教科書・教材・ソフトウェアの活用も重要である。さらに、学校で学びたくても学べない児童生徒への遠隔・オンライン教育や、個々の才能を伸ばすための高度な学びへの対応など、デジタルの利点を生かした活用も考えられる。 ○一方、コロナ禍においては、子供たちのリアルな体験機会が大きく減少しており、地域や企業と連携・協働して、リアルな体験活動の機会を充実させていくことも必要である。 ○これらの効果と課題等を踏まえ、それぞれの学校等において、教育効果を最大限に発揮する活用方法を検討することが求められる。
教育振興基本計画37 2025/03/19 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 ④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 (デジタルの活用とリアル(対面)活動の重要性) ○学びに新たな可能性をもたらしたデジタルを活用した教育は積極的に活用されることが求められる。また、リアル(対面)による授業や課外活動の役割も教育において不可欠である。デジタルとアナログ、遠隔・オンラインと対面・オフラインは、いわゆる「二項対立」の関係には立たないことに留意が必要である。 これらの最適な組合せは、学校段階や学習場面、また一人一人の状況によって異なるものであり、双方のメリット・デメリットを考慮する必要がある。 ○例えば、大学においては、遠隔・オンライン教育のメリットとして、自分のペースで学修できることや自分の選んだ場所で授業を受けられること等が挙げられている。一方で、質問等、相互のやり取りの機会が少ないこと、友人と授業が受けられないこと、身体的疲労が大きいことなどがデメリットとして挙げられている。その他、遠隔・オンライン教育であれば国内外の他大学等の授業を履修することが容易となる、通学が困難な状況でも学修機会を確保することができるといった利点も想定される。
教育振興基本計画36 2025/03/18 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 ④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 (各学校段階における教育DXの推進) ○また、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出すための教育を実現する観点から、遠隔・オンライン教育やデジタル機器の機能を最大限に活用して誰もが質の高い教育を受ける機会を確保することが重要である。 ○さらに、子供の貧困や虐待、いじめなどの困難の中には実態が見えにくく、子供に支援が届きにくいという課題がある中で、関係機関とも連携して学校の福祉的役割19をより発揮していくためには、自治体においてデータを連携させることで子供のSOSを把握し、プッシュ型支援につなげていくことが重要である。 ○生成AIについては、教育現場での利用により効果をもたらす可能性と生じうるリスクを踏まえて対応することが必要である。 ○データの利活用に当たっては、個人情報の適正な取扱いとデータの活用のバランスが問題となる。今後、DXの推進により更に充実した指導や支援が提供されていくことに鑑みれば、安心・安全を確保した上で、よりデータの利活用を図っていく方向で検討を進めるべきである。その際、保護者等に対するデータ利活用のメリットや技術的な安全性等についての説明を行うことにより理解を得ていくことが求められる。 ○DXの推進のプロセスにおいては、国や地方公共団体の各レイヤーでルールや標準化を進めるとともに、個々の学校においてその権限に基づき業務フローの改善を行うという、両輪で推進していくという視点も重要である。
教育振興基本計画35 2025/03/17 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 ④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 (各学校段階における教育DXの推進) ○初等中等教育においては、学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力を育成するとともに、そのための教師の指導力向上・ICT環境整備の更なる充実が求められる。また、デジタル教科書・教材・学習支援ソフトの活用に向けた取組の推進、クラウド活用による次世代の校務DXを通じた教育データの利活用や学校における働き方改革にも取り組む必要がある。 ○高等教育においては、コロナ禍において世界的に遠隔・オンライン教育が進展し、高等教育の新たな可能性を開くものとなった。面接授業と遠隔授業を効果的に組み合わせたハイブリッド型教育やデジタルを活用した教育の高度化を図るとともに、データサイエンス等の履修促進などを進めることが求められる。また、社会のDXを支えるDX人材の養成も重要である。 ○生涯学習においては、遠隔・オンライン教育の活用による受講の利便性の向上や学習履歴の可視化におけるデジタル技術の活用を推進すべきである。また、公民館や図書館等の社会教育施設におけるデジタル基盤の強化やデジタル教育の充実も求められる。 ○これらの取組の推進に当たっては、デジタル社会の正負の側面にも留意しつつ、デジタルリテラシーやサイバーセキュリティの知識を身に付け、自分で考え行動できる力を育むことも求められる。その際、地域や学校間の格差拡大につながらないよう、十分な支援が必要である。
教育振興基本計画34 2025/03/14 Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針 ④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 ○教育DXを推進していくためには、①教育データの標準化などの共通的なルールの整備、②基盤的ツールの開発・活用、③教育データの分析・利活用について、可能な部分から着手し全国的な仕組みにつなげていく必要がある。 ○GIGAスクール構想による1人1台端末の実現をはじめ、第3期計画期間中に全国の小中高等学校等におけるICT環境整備は飛躍的に進展した。これにより第1段階の準備は整ったところである。今後は、全ての学校において第1段階を着実に実行しつつ、当面、第3段階を見据えながら、全国全ての学校で、第1段階から第2段階への移行を着実に進めることが求められる。その際、デジタル技術とデータを活用して知見の共有と新たな教育価値の創出を目指す将来的な第3段階の構想について、ICT活用やデータ利活用のイメージを教育行政や教師をはじめとする教育関係者が共有した上で取組を進めるとともに、第3段階に相当する先進事例の創出に取り組むことが重要である。イメージは、利活用の場面(教育や学習のリソースとしてのデジタルの活用、教育データの利活用など)の分類・整理をした上で示すとともに、そこに至るまでにクリアすべきハードル・時間軸を整理していくことが有用である。また、DX時代の到来に備えて、制度設計を見直していく検討も求められる。 ○DXの推進に当たっては、デジタル機器・教材の活用はあくまで手段であることに留意することが必要である。教育DXを進めた上で、デジタルも活用して問題解決や価値創造ができる人材の育成こそが目指されるべきである。