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園からの発信

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 19

2024/10/24

○ なお、これまでも幼保小の接続については、子供が小学校入学後も生き生きと過ごせるよう、幼保小が連携し、幼児と児童が共に参加する行事の開催や、小学校の授業の体験等の様々な工夫が行われてきており、小学校との連携の取組を行っている幼児教育施設は約9割に上るなど、取組が進展してきている。

○ 一方、次のような課題も生じていると指摘されている。

・各幼児教育施設・小学校において連携の必要性について意識の差がある。特に、私立幼稚園・保育所・認定こども園や私立小学校と連携することが難しい。

・半数以上の市町村において、行事の交流等の取組にとどまり、資質・能力をつなぐカリキュラムの編成・実施が行われていない。小学校の取組が、指導方法の改善に踏み込まず、学校探検等にとどまるケースが多い。

・「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」だけでは、具体的なカリキュラムの工夫や指導方法の改善の仕方が分からない。また、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が到達目標と誤解され、連携の手掛かりとして十分機能していない。

 

まさにここが全国の現状なのです。縦割り行政の弊害。学校教育と幼児教育の受け止め方や方法の違い。さらには担任業務の追われる先生方の状況を踏まえるとこれが現実なのでしょう。令和の日本型学校教育に必要なものは、学校職員の負担軽減、多様な専門家の登用が先なように思います。その上で小学校へ入学する子ども達の様子を申し送り程度にとどまることなく、実際に足を運び把握することが必要ではないでしょうか。そのためには幅広い互いの知識の向上も必要です。子どもにとっても保護者にとっても小学校への接続は人生において大きな転換期になっているのです。大きな転換期にならず、潤沢な接続のための方策が必要です。

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 18

2024/10/23

○ さらに、小学校においては、幼児教育施設において「主体的・対話的で深い学び」、「個別最適な学び」、「協働的な学び」に向けた資質・能力の芽生えを培っていることを踏まえ、その芽生えを更に伸ばしていくべく、幼児教育の成果を生かした教育活動に取り組むことが求められている。その際、小学校教育では、平成元年に生活科が新教科として設定され、平成20年にスタートカリキュラムが学習指導要領解説に示されて以降、生活科を中心に幼児教育との接続が図られてきていることの意義についても再確認をしながら、小学校教育の充実を図っていくことが重要である。

 

繋がることができない現状において、学校側がどう子ども達の育ちを理解し、学校教育に繋げていくのかは、国においての縦割りがあり、学校教育については教育委員会の独立性もあり、国レベルでの改善は期待できません。ある意味各自治体レベルにおいてなら連携は可能かもしれません。自治体においては教育委員会と私立の幼稚園保育園との連携が深い自体もあるようです。子どもの質の高い保育、誰もが等しく学ぶことができる自治体は保護者にとって魅力になるのではないでしょうか。子どものことに寄り添い考えてくれることこそ望まれるものではないでしょうか。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 17

2024/10/22

○ 上記に関連して、3要領・指針や小学校学習指導要領では、子供の資質・能力や学びの連続性を確保し、幼保小接続期の教育を充実することを求めている。具体的には、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手掛かりに、幼児教育施設は、小学校以降の教育を見通しながらその基盤となる資質・能力を育成していくことを、小学校は、幼児教育施設で育まれた資質・能力を踏まえて、教育活動を実施することを求めている。

○ また、文部科学省では、令和3年答申を踏まえ、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善等の取組を進めており、幼児教育施設においては、このような小学校以降の学校教育における授業改善等やそれらを通して育まれる資質・能力を見通し、遊びを通して学ぶ幼児教育の特性を踏まえつつ、その充実に取り組むことが求められている。その際、幼児教育では、従来から一人一人に応じた指導や一人一人のよさを生かした子供同士の関わりを重視しており、そのような子供の活動を通して協同性を育んでいることの意義についても再確認をしながら、幼児教育の充実を図っていくことが重要である。

 

学校教育の現場と保育幼児教育に現場のつながりがないことが、一向に改善できていません。相互理解が必要最低限であるにもかかわらず、一向に改善されていません。保育現場が学校に出向きカリキュラムの確認や学校教育を理解する機会もありません。逆に学校が保育の現場を理解するための取り組みもありません。これではいくらこども家庭庁ができたとしてもつながりができないのです。公立学校は公立の幼稚園とのつながりはできるでしょうが公立の保育所とのつながりはないのではないでしょうか。ましてや全国の9割を占める私立の保育所や私立の幼稚園と自治体の教育委員会との関係構築もできておらず、縦割り行政さらにいえば、私立と公立の設置者の違いで子ども達は同じなのですがつながらない現状があるのです。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 16

2024/10/21

二、現状と課題、目指す方向性

1.架け橋期の教育の充実

(1)現状と課題

○ 教育は、教育基本法や関係法令が掲げる目的及び目標の達成を目指し、その連続性・一貫性を確保しながら、組織的・体系的に行うことが重要である。一方、幼児教育と小学校教育には、他の学校段階等間の接続に比して、子供の発達の段階に起因する、教育課程の構成原理や指導方法等の様々な違いが存在している。また、義務教育開始前の5歳児は、遊びを中心として、頭も心も体も動かして様々な対象と直接関わっていく時期であり、児童期は、学ぶということについての意識があり、集中する時間とそうでない時間の区別が付き、自分の課題の解決に向けて、計画的に学んでいく時期であるなどの違いを有している。

○ このため、幼保小においては、これらの違い等を認識しながら、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に取り組むことが求められる。なぜなら、幼児教育と小学校教育の教育課程の構成原理等の違いは、子供の発達の段階に応じた教育を行うために必要な違いではあるが、子供一人一人の発達や学びは幼児期と児童期ではっきりと分かれるものではなく、つながっているため、必ずしも合致しない場合があるためである。また、合致しない場合に、小学校入学当初の子供が、小学校での学習や生活に関する自らの不安や不満を自覚し大人に伝えることは難しいと考えられ、一人で戸惑いや悩みを抱えこむことにより、その後の小学校での学習や生活に支障をきたすおそれがある。子供にとっては、初めての進学であり、この時期につまずいてしまうことは、その後の学校生活や成長に大きな負の影響を与えかねない。そして、ひいては不登校の要因にもなりかねず、低学年の不登校の子供への支援の観点からも、幼児教育と小学校教育の円滑な接続が重要であることが指摘されているところである。

 

学校教育においては、履修主義、修得主義が主体です。現行の日本の学校教育制度では、所定の教育課程を一定年限の間に履修することでもって足りるとする履修主義(例:年間の標準授業時数等を踏まえた教育課程の編成・実施)、履修した内容に照らして一定の学習の実現状況が期待される修得主義(例:目標準拠評価)、進学・卒業要件として一定年限の在学を要する年齢主義(例:同一年齢の進級・進学)、進学・卒業要件として一定の課程の修了を要求する課程主義(例:制度としての原級留置)の考え方がそれぞれ取り入れられている。ここと幼児教育のギャップにこどもがついていけないといった現状があるのです。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 15

2024/10/18

3.こども基本法等

○ 令和4年6月、こども基本法が成立し、「次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ること」ができる社会の実現を目指して、こども施策を総合的に推進していくこととなった。

○ また、こども施策は、全ての子供について、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること等を基本理念としながら行われなければならないとされた。

○ さらに、令和5年4月には、こども施策を強力に推進する司令塔としてこども家庭庁が発足する予定であり、子供と家庭の福祉の増進・保健の向上等の支援、子供の権利利益の擁護に取り組むこととされている。 また、子供にとって必要不可欠な教育は、文部科学省の下で充実することとされ、文部科学省は、こども家庭庁と密接に連携を図ることとされている。

○ 上記を踏まえ、文部科学省においては、こども家庭庁等と連携を図りながら、全ての子供が格差なく質の高い学びへと接続できるよう、幼児期及び架け橋期の教育の充実に取り組むことが求められる。

 

子どもの権利というものが強調されています。誰一人取り残さない精神です。しかしながら現状は家庭環境の違い、経済的環境の違い、多様なのです。地域によっても大きな格差があってはならず、学校への期待も大きくなります。その上で、教育を受ける機会が等しく与えられることは基本理念としており社会としても責務であるように感じます。決して誰一人取り残さない。その社会的な理念も必要だと感じます。

 

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