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園からの発信

教育・保育要領解説10

2023/12/21

(2) 環境を通して行う教育及び保育

③ 環境を通して行う教育及び保育の特質3

環境を通して行う教育及び保育において、園児が自ら心身を用いて対象に関わっていくことで、対象、対象との関わり方、さらに、対象と関わる自分自身について学んでいく。園児の関わりたいという意欲から発してこそ、環境との深い関わりが成り立つ。この意味では、園児の主体性が何よりも大切にされなければならない。

そのためには、園児が自分から興味をもって、遊具や用具、素材についてふさわしい関わりができるように、遊具や用具、素材の種類、数量及び配置を考えることが必要である。このような環境の構成への取組により、園児は積極性をもつようになり、活動の充実感や満足感が得られるようになる。園児の周りに意味のある体験ができるような対象を配置することにより、園児の関わりを通して、その対象の潜在的な学びの価値を引き出すことができる。その意味においては、テーブルや整理棚など生活に必要なものや遊具、自然環境、保育教諭等の間での協力体制など園全体の教育及び保育の環境が、園児にふさわしいものとなっていかどうかも検討されなければならない。

環境との関わりを深め、園児の学びを可能にするものが、保育教諭等の園児との関わりである。保育教諭等の関わりは、基本的には間接的なものとしつつ、長い目では乳幼児期に園児が学ぶべきことを学ぶことができるように援助していくことが重要である。また、園児の意欲を大事にするには、園児の遊びを大切にして、やってみたいと思えるようにするとともに、試行錯誤を認め、時間を掛けて取り組めるようにすることも大切である。

保育教諭等自身も環境の一部である。保育教諭等の動きや態度は園児の安心感の源であり、園児の視線は、保育教諭等の意図する、しないに関わらず、保育教諭等の姿に注がれていることが少なくない。物的環境の構成に取り組んでいる保育教諭等の姿や同じ仲間の姿があってこそ、その物的環境への園児の興味や関心が生み出される。保育教諭等がモデルとして物的環境への関わりを示すことで、充実した環境との関わりが生まれてくる。

 

保育教諭等の関わりは、基本的には間接的なものとしつつ、長い目では乳幼児期に園児が学ぶべきことを学ぶことができるように援助していくことが重要であり、園児の意欲を大事にするには、園児の遊びを大切にして、やってみたいと思えるようにするとともに、試行錯誤を認め、時間を掛けて取り組めるようにすることも大切である。時間を決めることも大切ですが、乳幼児期にはじっくり満足いくまで遊びを堪能することも必要です。

 

教育・保育要領解説9

2023/12/20

(2) 環境を通して行う教育及び保育

③ 環境を通して行う教育及び保育の特質2

したがって、環境を通して行う教育及び保育は、遊具や用具、素材だけを配置して、後は園児に任せるといったものとは本質的に異なるものである。もとより、環境に含まれている教育的及び保育的価値を保育教諭等が取り出して直接園児に押し付けたり、詰め込んだりするものでもない。環境の中に教育的及び保育的価値を含ませながら、園児が自ら興味や関心をもって環境に取り組み、試行錯誤を経て、環境へのふさわしい関わり方を身に付けていくことを意図した教育及び保育である。それは同時に、園児の環境との主体的な関わりを大切にした教育及び保育であるから、園児の視点から見ると、自由感あふれる教育及び保育であるともいえる。

例えば、砂や水、泥といった園児の遊びには欠かせない素材との関わりから環境について考えてみる。砂場を設置するだけでなく、園児一人一人の発達の段階や興味や関心、時期や季節等によって、砂場の状態や必要な道具等、園全体の環境を工夫する必要がある。登園前に砂を少し湿らせておき、2歳頃の園児でも握ったり、固めたりすることができるようにしておいたり、砂のふかふかの感触が全身で味わえるように十分掘り起こしておいたりすることも必要である。園児の中には砂で遊びたいという気持ちをもちながらも、他の大勢の園児が遊ぶ園庭へなかなか出て行くことができない場合もある。そのような場合、保育室前の戸外に砂場の砂を運んで山のように盛り、スコップやプリンカップ等の砂場道具を置いておく状況をつくることで安心して遊び始めることができるであろう。保育室から保育教諭等が他の園児と砂を盛ったり、型抜きをしたりして楽しそうに遊ぶ姿を目にすることで、思わず触れてみたくもなり自発的に動き出すであろう。時期によっては、したいことがすぐ実現できるように、砂場道具を園児数分用意しておくことも必要な環境である。安心して遊ぶことができるようになった頃、砂場に誘ってみることで、園児は更に広い砂場や様々な砂場の道具、5歳頃の園児のダイナミックな遊びの様子に影響を受け遊びの世界を広げていく。砂の感触を心ゆくまで楽しんだり、試行錯誤しつつ砂の様々な性質を体感したりしながら、充実感を味わっていく。こうした園児は、例えば固めるのに適した土や表面を乾燥させるための砂など、園内のあらゆる場から探し出したり、試してみたりするなど、探究心をかき立てられていく。友達同士で砂や土等の情報を共有するなど、人やものへの関わりを深めていく。

このような環境を通して行う教育及び保育の特質についてまとめてみると、次のようなことがいえる。

 

素材だけを配置して、後は園児に任せるといったものも放任です。一見自由にという受け止めもありますが、教育・保育においては違います。また、教育的及び保育的価値を保育教諭等が取り出して直接園児に押し付けたり、詰め込んだりするものでもないと指摘しています。さらに環境の中に教育的及び保育的価値を含ませながら、園児が自ら興味や関心をもって環境に取り組み、試行錯誤を経て、環境へのふさわしい関わり方を身に付けていくことを意図した教育及び保育であるとしています。それらの配慮環境を整えることにて子どもが主体的にかかわることにつながるのです。保育者は意図性をもって環境を整えることが大切なのです。

 

 

教育・保育要領解説8

2023/12/19

第1節幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本及び目標等

1 幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本

(2) 環境を通して行う教育及び保育

③ 環境を通して行う教育及び保育の特質

園児の健康と安全を守ることは、幼保連携型認定こども園における基本的かつ重大な責任であるといえる。全職員が常に健康と安全に心を配るとともに確認を怠らず、園児が安心・安全に過ごすことができる教育及び保育の環境を園全体で整え、園児の生命を守り、その活動を支えていく必要がある。

また、教育及び保育は、子どものもつ潜在的な可能性に働き掛け、その人格の形成を図る営みであるとともに、人間の文化の継承であるといわれている。環境を通して行う教育及び保育は、園児との生活を大切にした教育及び保育である。園児が、保育教諭等と共に生活する中で、人やものなどの様々な環境と出会い、それらとのふさわしい関わり方を身に付けていくこと、すなわち、保育教諭等の支えを得ながら文化を獲得し、自己の可能性を開いていくことを大切にした教育及び保育なのである。園児一人一人の潜在的な可能性は、園児が保育教諭等と共にする生活の中で出会う環境によって開かれ、環境との相互作用を通して具現化されていく。それゆえに、園児を取り巻く環境がどのようなものであるかが重要になってくる。

 

子どもの潜在的な能力を引き出し、さらに子ども同志の関わり合いの中で生活をしていくなかで様々なことを習得していく。人と関わることこそ人間の文化を継承し、ふさわしいかかわり方を習得していくことにもつながるものと受け止めています。させる、やらせるでは子どもは育ちません。相互作用を通して具現化されていくものと思われます。

教育・保育要領解説7

2023/12/18

(2) 環境を通して行う教育及び保育

② 園児の主体性と保育教諭等の意図2

つまり、保育教諭等主導の一方的な教育及び保育の展開ではなく、園児一人一人が保育教諭等の援助の下でその主体性を発揮して活動を展開していくことができるような園児の立場に立った教育及び保育の展開である。活動の主体は園児であり、保育教諭等は活動が生まれやすく、展開しやすいように意図をもって環境を構成していく。もとより、ここでいう環境とは物的な環境だけでなく、保育教諭等や友達との関わりを含めた状況全てである。園児は、このような状況が確保されて初めて十分に自己を発揮し、健やかに発達していくことができるのである。

その際、保育教諭等には、常に日々の園児の生活する姿を捉えることが求められる。保育教諭等は、園児が何に関心を抱いているのか、何に意欲的に取り組んでいるのか、あるいは取り組もうとしているのか、何に行き詰まっているのかなどを捉える必要があり、その捉えた姿から、園児の生活や発達を見通して指導の計画を立てることになる。すなわち、今園児が取り組んでいることはその園児にとって十分できることなのか、新たな活動を生み出すことができることなのかなど、これまでの生活の流れや園児の意識の流れを考慮して指導の計画を立てることになる。しかし、どんなに園児の願いを受け止め、工夫して計画しても、その中で園児が何を体験するかは園児の活動に委ねるほかはない場合もある。しかし、「園児をただ遊ばせている」だけでは教育及び保育は成り立たない。園児をただ遊ばせているだけでは、園児の主体的な活動を促すことにはならないからである。園児一人一人に今どのような体験が必要なのだろうかと考え、そのためにはどうしたらよいかを常に工夫し、日々の教育及び保育に取り組んでいかなければならない。

 

以上のように一斉かつ画一的な保育者主導で教え込んでも子どもの身にはつかないということが明らかなのです。このことを指針の解説でも明記されているのです。職員や大人から指示命令ばかりではない。大人の指示に従わせる。命令口調は今の保育にはそぐわないということです。また、目的やねらいのない放任では子どもは育たない。自由に好きなようにや子ども一人でも偶発的な結果は得られるが、そこに他の子どもがいるからこそ新たな遊びの展開になり、子ども同志の関係や決め事などの遊びに発展したり、共同で工夫をしたり遊びが広がり、そこに物的な環境が用意されていれば、例えば砂場と砂場遊びに道具があれば発展的な遊びに繋がります。好きなように自由にの他に環境整備も必要なのです。

 

教育・保育要領解説6

2023/12/15

第1節幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本及び目標等

1 幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本

(2) 環境を通して行う教育及び保育

② 園児の主体性と保育教諭等の意図

このような環境を通して行う教育及び保育は、園児の主体性と保育教諭等の意図がバランスよく絡み合って成り立つものである。

幼保連携型認定こども園における教育及び保育が目指しているものは、園児が一つ一つの活動を効率よく進めるようになることではなく、園児が自ら周囲に働き掛けてその園児なりに試行錯誤を繰り返し、自ら発達に必要なものを獲得しようとするようになることである。このような園児の姿は、いろいろな活動を保育教諭等が計画したとおりに、全てを行わせることにより育てられるものではない。園児が自ら周囲の環境に働き掛けて様々な活動を生み出し、それが園児の意識や必要感、あるいは興味などによって連続性を保ちながら展開されることを通して育てられていくものである。

 

答えを教えるのではない。子どもが試行錯誤しながら取得していくことが発達であると考えます。すべてを課題として行わせる、教え込むということではない。また、教えられることより学んだことが記憶にも身にもつくことは最近の研究で明らかなのです。教えればすぐに覚え、あたかも理解したように思われるものが実は早くに記憶から消されるという脳科学からの指摘でもあります。

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