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園からの発信

保育の質の確保・向上15

2025/12/19

(1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色

(保育所保育指針に基づく保育実践)

〇保育の現場においては、保育所保育の理念や理論的背景と、それらに基づき保育所保育指針に示されている保育の目標及び内容・方法等の基本原則を、保育士等が十分に理解し、実践に移していくことが重要である。保育所保育指針の内容を踏まえた保育の実践に際しては、その時々の社会の状況や子どもや家庭、地域の実態等に即して、各現場において創意工夫を図ることが求められる。

〇保育の実践に当たり、保育士等が子どもに対する共感的・受容的な関わりを特に大切にしていることは、今後も継承すべき日本の保育の特徴と捉えられる。その上で、幼児教育を行う施設として、保育所保育における遊びの意味とその重要性について、現場の保育士等をはじめ関係者の間で改めて認識を共有することが求められる。遊びは本来自発的なものであり、子どもが自らの意思で決めたり選び取ったりする経験を通して、自身が行為の主体であるという感覚を育んでいくことは、今後の実践のあり方を考える上で重視すべき視点の一つと考えられる。

保育の質の確保・向上14

2025/12/18

(1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色

(児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育)

保育における「遊び」の重要性:「遊び」の目的は、遊ぶこと自体にある。このことを前提とした上で、乳幼児期の子どもが自ら心のままに思う存分周囲の人や事物との多様な関わり合いを楽しむことには、心身の健全な発達に重要な体験が非常に多く含まれていることから、保育所保育において遊びは重要な学びとして捉えられる。子どもは、信頼する身近な大人の存在に支えられて、自分を取り巻く環境に興味や関心を抱き、自分でしてみたいという思いを強める。そして、心身全体を働かせて環境と関わり合い充実感を味わうことを通じて、自分の世界を広げ、様々な力を身につけていく。とりわけ、他の子どもに興味や親しみを感じ、一緒に遊ぶようになり、さらにその遊びが発展していく過程では、子ども同士が相互に影響を及ぼし合い、心身の様々な面で育ち合う姿が見られる。このため、保育所保育における子どもの発達の援助に当たっては、遊びを中心に子どもの活動が豊かな広がりと深まりを持って展開されることが重視される。

個に応じた保育の必要性:乳幼児期は特に発達が著しく、また個人差も大きいことを踏まえ、保育に当たっては、平均的な、あるいは一律の発達の姿を前提とした対応ではなく、一人一人の個性や発達の過程を尊重した関わりや配慮が必要となる。保育所における集団生活の中で、それぞれの子どもが自分を肯定する気持ちを十分に育むことができるよう、個々の子どもの理解に基づく保育を行うことが重要である。

同年代の子どもたちが日々共に過ごすことの意義:保育所は、同年代の子どもたちが共に生活時間の大半を過ごす場であり、多くの家庭や地域で子ども同士が日常的に関わり合う機会が減少している今日、保育所において子どもたちが集団で様々な経験を共にすることの意義は大きい。保育士等には、集団全体の状況を捉え、全ての子どもにとって安全で安心して過ごせる環境をつくり出すとともに、子どもが他の子どもの存在や自分との違い、共にいることの楽しさなどに気がつき、仲間としての意識や友達関係が育まれていくよう、子ども同士のやりとりや活動の展開を促す関わりや配慮を行うことが求められる。

保育の質の確保・向上13

2025/12/17

3.本論

(1)我が国の文化・社会的背景の下での保育所保育の特色

(児童福祉施設としての理念と乳幼児期の特性を踏まえて行う保育所保育)

〇保育所は、生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な乳幼児期の子どもの福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場であることが求められる児童福祉施設である。これを踏まえ保育所保育は、入所する子どもの最善の利益を考慮し、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。保育士等には、保育所における日々の生活や遊びの中で子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、一人一人の思いや願いを受け止めるとともに、子どもの主体的な活動を重視し、計画的に環境を構成することや応答的に関わることが求められている。

保育の質の確保・向上12

2025/12/16

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育実践に携わる者としての保育観)

〇保育所保育において、職員の間に互いに支え高め合う関係性が築かれることが、保育者の成長と園全体の保育の質の向上に大きく関わることが改めて明らかとなった。さらに、こうした職場環境の醸成に向けて、職員間の対話や働き方のマネジメント、園内研修や園外における学びの機会が求められており、その実現には特に施設長の果たす役割が大きいことが指摘された。一方で、様々な職員がいる中で施設長が自身の思いや考えを伝え職員全体と方向性を共有し、組織をつくりあげていくことの難しさや、研修機会の確保の厳しさ等の課題も挙げられた。

〇一連の成果のまとめとして、今後、保育所保育のあり方とその質について考えていく上で、保育に関わる理念や研究から理論的に導かれる知見と、実践における保育者の体験や実感の両面を照らし合わせながら検討することが極めて重要であることが提言された。

保育の質の確保・向上11

2025/12/15

2.調査研究等により得られた主な知見

(2)日本における保育所保育の歩み及び子どもとその育ちの捉え方

(保育実践に携わる者としての保育観)

〇保育実践や保育所の運営に携わってきた立場の方々によって語られた内容を統合・整理した結果として、保育者の保育所保育や保育の仕事に携わるということに対する思い・考えと、それらの形成や変化に大きく関わり保育者としての成長を支える同僚・施設長との関係性や職場環境の重要性が示された。それぞれの語り手固有の経験に基づく内容であるため、必ずしも保育者の意識や経験に関する全容の把捉や一般化ができるものではないが、多くの経験を重ねてきた保育者たちによる語り全体を通して、保育所保育のありようを捉える上で、個々の保育者にとっての実体験が持つ意味を考慮することの意義が提示された。

〇保育者は、子どもとの出会いや、職場の同僚や保護者との関わりの中で、子どもを一人の人間として尊重することの大切さや保育の面白さを実感し、保育という仕事に自身の生きがいや役割、社会的な使命や価値を見出していく。一方でその過程では、「『母性』が求められる職業」、「ただ子守をするだけ」「子どもと『遊んで』いるだけ」といった、保育所保育への社会的な理解や認識の不足、保育の仕事への低い評価に対する葛藤や、自身の保育者としての力量に関する自信の喪失、人間関係やライフステージの変化に際しての家庭生活との両立など一人の人間としての悩み等、様々な困難にも直面する。多くの場合、それらを乗り越える上で特に大きな支えとなった存在として、職場の上司や先輩・同僚が挙げられた。

〇周囲の人との出会いや関わりに支えられて保育の仕事を続ける上での困難を乗り越える体験は、保育者としての成長やアイデンティティの形成につながる一つの転機ともなっていた。また、こうした体験を経てキャリアを重ね自身の専門性を高めようとしていく中で、保育所保育の社会的な発信や保育者の地位向上といったことも意識されるようになり、園全体や地域、さらにより広い範囲で保育の質の向上を進める主導的な立場を担うようになる姿も見られた。

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