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園からの発信

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン1

2024/07/18

はじめに

○こどもは、生まれながらにして権利の主体であり、その固有の権利が保障されなければならない。

○令和4年6月には、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、こども基本法(令和4年法律第77号)が与野党を超えた賛同を得て成立し、翌年4月に施行された。こども基本法の制定は、我が国が、権利主体としてのこどもの最善の利益を常に第一に考え、こどもに関する取組・政策を社会のまんなかに据えていく「こどもまんなか社会」の実現を目指すという、大きな価値転換である。

○特に「こどもの誕生前から幼児期まで」は、人の生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる最も重要な時期である。全世代の全ての人でこの時期からこどものウェルビーイング向上を支えていくことができれば、「こどもまんなか社会」の実現へ社会は大きく前進する。これは社会全体の責任であり、全ての人のウェルビーイング向上につながる。

○しかし、我が国の状況を見ると、必ずしも全ての乳幼児の権利や尊厳が保障できている現状にはない。また、今の親世代の幼児期までの育ちと比べ、家庭や地域の状況など社会情勢が変化している中で、全ての乳幼児のウェルビーイング向上を、心身の状況や置かれた環境に十分留意しつつ、ひとしく、その一人一人それぞれにとって切れ目なく、支えることができているだろうか。こども基本法及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)にも掲げられたこれらの権利を生まれた時から保障し、「こどもまんなか社会」を実現するための取組は途上にある。

 

遅れていた価値概念の転換をようやく図ると明記したものです。子どもは大人に従うものでもなく権利の主体である。とても重要なことです。さらの「こどもまんなか社会」をしっかり踏まえていく必要がありますね。「こどもは、生まれながらにして権利の主体であり、その固有の権利が保障されなければならない。」、「我が国の状況を見ると、必ずしも全ての乳幼児の権利や尊厳が保障できている現状にはない。また、今の親世代の幼児期までの育ちと比べ、家庭や地域の状況など社会情勢が変化している中で、全ての乳幼児のウェルビーイング向上を、心身の状況や置かれた環境に十分留意しつつ、ひとしく、その一人一人それぞれにとって切れ目なく、支えることができているだろうか。」しかりと受け止め、対処していく必要があります。ようやく、こういった言葉が国の文章として明記されました。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン

2024/07/17

新たなシリーズを始めます。

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン

幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン 国提示

(はじめの 100 か月の育ち ビジョン)

令和5年12 月 22 日

こういった国の指針等について連載して、しつこいようですが、就学前のこどもの育ちについて、様々な視点で検討されている国の指針や考え方を示し、より良い育児や教育・保育に活かすために保護者や社会に発信し、共有を図りたいと願うためです。

就学前の教育・保育機関としての役割を考えると国が示すものを理解して進めていくことは、今の子どもの育ちを支えていくものと考えます。預かりさえすれば良かった時代ではありません。育ちをどう支えるかを考えていきたく思います。少子化や人口減少といった日本社会で国際化もさらに進み、情報化社会はさらに進むものと思われます。

そういった中、旧態依然の保育や子育ての理念だけでは子どもの困難さにつながるのではないだろうか?これからの社会に立ち向かう子ども達への支援、育ちをしっかりと考えていく必要があります。どうかこのことにご理解を頂き、投稿にお付き合いください。もちろんこのことで大きく変わろう、社会を変えようなどといった考えでもありません。しっかりと視点を踏まえた園でありたく、保育の実践に繋げたいと考えております。

 

こども大綱87

2024/07/16

(参考)こども・若者や子育て当事者を取り巻く現状 2

出生数の減少は予測を上回る速度で進行し、人口減少に歯止めがかかっていない。令和4年の出生数は77 万759 人で、統計開始以来、最少の数字となり、合計特殊出生率は1.26 と過去最低となった。少子化・人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済・社会システムを維持することは難しく、国際社会における存在感を失うおそれもある。若年人口が急激に減少する2030 年代に入るまでが状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点である。少子化の主な原因は、未婚化と晩婚化(若い世代での未婚率の上昇や、初婚年齢の上昇)、有配偶出生率の低下である。特に未婚化と晩婚化の影響が大きいと言われており、その主な要因は、若い世代の低い所得と不安定な雇用環境、出会いの機会の減少である。若い世代の8割を超す未婚男女がいずれ結婚することを希望しており、また、夫婦は2人以上のこどもを育てることを理想としているが、若い世代が結婚や子育ての将来展望を描けず、こうした希望や理想が叶わない状況にある。子育て当事者にとっては、こどもの成長や子育てをめぐる状況が厳しく、負担や不安、孤立感が高まっている。子育てしづらい社会環境や、根強い固定的な性別役割分担意識等を背景とした仕事と子育てを両立しにくい職場環境がある。さらには、子育ての経済的・精神的負担感が存在する。若い世代が将来に明るい希望を持てる社会をつくらない限り、少子化トレンドの反転は叶わない。

 

こども大綱シリーズはこれにて終了します。明日からまた新たなシリーズにて保護者や子育て世代の方々と考えていきたいと思います。

こども大綱86

2024/07/12

(参考)こども・若者や子育て当事者を取り巻く現状

これまで、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法及び子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく各大綱により、政府を挙げて、各般の施策の充実に取り組まれてきた。例えば、消費税の引上げにより確保した財源などをこどもや若者への支援の充実に投入し、待機児童対策、幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化などの取組が進められ、待機児童は一部の地域を除きほぼ解消に向かうなど、一定の成果を挙げた。これらにより、家族関係社会支出の対GDP比は、平成25 年度の1.13%から令和3年度には2.46%まで上昇した。

また、こどもの権利擁護のための児童虐待防止対策の強化、市町村及び児童相談所の体制強化、社会的養護における里親等委託の推進、家庭や養育環境の支援の強化を行う児童福祉法等の改正、いじめ防止対策推進法に基づく未然防止・早期発見・早期対応の取組やSNS等を活用した相談体制の整備など、困難な状況にあるこどもや若者、子育て当事者への支援についても、充実が図られてきた。

一方で、相対的に貧困の状態にあるこどもの割合は11.5%となっており、特にひとり親家庭は44.5%と高くなっている。令和4年度には、小・中学校における不登校、いわゆる「ネットいじめ」の件数、児童虐待の相談対応件数が、それぞれ過去最多となっている。いじめの重大事態は923 件発生している。令和4年には大変痛ましいことに約800 人もの10 歳から19 歳のこども・若者が自殺しており、10 代の死因の最多は自殺となっている。SNSに起因する事犯の被害にあったこどもの数も高い水準で推移している。

さらにここ数年は、コロナ禍が追い打ちをかけるように、友達とのつながりの希薄化、集団活動や自然体験活動の減少などをもたらした。こどもや若者、家庭をめぐる様々な課題がコロナ禍により更に深刻化しており、その影響が長く続くことが懸念される。我が国のこども・若者の自己肯定感や幸福感は低く、内閣府の調査によれば、「自分自身に満足している」こども・若者の割合は半数を下回り、諸外国と比べて低い状況にある。我が国のこどもが、38 か国中、身体的健康は1位だが、精神的幸福度は37 位であることを示す国連児童基金の調査もある。多様な指標を参照しつつ、日本社会に根差したこども・若者のウェルビーイングの向上を図っていくことが求められている。

SDGs(持続可能な開発目標)は、令和12 年(2030 年)までに、持続可能でより良い世界を目指す国際目標であり、我が国もコミットしている。17 の目標はいずれも、こども・若者に深く関係し、こども・若者自身も、SDGs推進の担い手として育ち、積極的に関与することが期待されている。

 

こども大綱85

2024/07/11

第5 おわりに

こども・若者は、一人一人がとても大切な存在である。全てのこども・若者が自分らしく健やかに幸せに成長できるように、社会全体で支えていくことが重要である。

こども大綱は、おとなが中心になっていたこの国や社会のかたちを「こどもまんなか」へと変えていくため、政府がどのようにこども施策を進めていくかをまとめるものである。この答申の取りまとめに当たっては、こども・若者、子育て当事者等から多くの意見をいただいた。一つ一つの意見がとても貴重であり、こども大綱、こどもまんなか社会への期待や関心の高さを強く感じたところである。「こどもまんなか」社会の主役はこども・若者である。

こども・若者の声をしっかりと受け止めて、こども・若者と一緒になって、こどもや若者にとって最も良いことが何かを考えて策定されるこども大綱は、「こどもまんなか社会」への大きな一歩と言えよう。しかし、こども大綱は一度取りまとめられたら終わりというものではない。今後、「こどもまんなか社会」の実現に向け、様々なこども施策に進めていくなかで、こどもや若者、子育て当事者等からの意見を取り入れながら見直されていくものである。

「こどもまんなか社会」の実現のためには、こども・若者や子育てに対する優しい眼差しが、属性や世代の垣根を越えて、我が国社会の隅々まで行き渡ることが重要である。すなわち、国民全体の理解と行動が不可欠であり、こども、若者、子育て当事者、ニーズのある当事者に配慮することで、全ての国民が生きやすい社会となる。

この国を「こどもまんなか社会」に変えていく過程においては、多くの課題があり、一定の時間を要するが、その過渡期において、社会の環境整備がなされていないことを理由として、こども・若者、子育て当事者の困難を見過ごすことは許されない。緊急的な対応も含め、誰一人取り残さずにこども施策を進めていくことが必要である。

このこども大綱が、国がこども施策を総合的に推進する基盤となるにとどまらず、地方公共団体、地域、学校・園、児童福祉施設、家庭、民間団体、民間企業等、こども・若者に関わる国民の皆様にも広くその趣旨が理解され、我が国全体が一体となって、「こどもまんなか社会」が実現されることを期待する。

 

「こどもまんなか社会」しっかりと国民は受け止め、参画していければいいですね。

 

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