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2024年 1月

教育・保育要領解説24

2024/01/17

① 園児の主体的な活動と環境の構成

園児が意欲をもって積極的に周囲の環境に関わっていくこと、すなわち、主体的に活動を展開することが乳幼児期の教育及び保育の前提である。園児が主体的に活動を行うことができるか否かは環境がどのように構成されているかによって大きく左右される。園児が興味や関心をもち、思わず、関わりたくなるような人やもの、事柄があり、さらに、興味や関心が深まり、意欲が引き出され、意味のある体験をすることができるように適切に構成された環境の下で、園児の主体的な活動が生じる。そして、その基礎には安心感や安定感がある。例えば、ジャングルジムの1番上まで登ってみたいと興味を示しても、恐怖心や自分にできるだろうかという不安から取り組むことをためらっている園児がいる。このときに自分を守ってくれていると感じられる保育教諭等のまなざしや励ましの言葉、楽しそうにジャングルジムに登り始めた友達の姿や友達からの誘いがあることなどによって、園児は活動を始める。

 

ここにも保育教諭等が園児の行動に温かい関心を寄せる、心の動きに応答する、共に考えるなどの基本的な姿勢が大切ですね。子どもの行動に常に見守られているという安心感、もちろん行き過ぎた行動には注意を促すことも必要です。はじめからこれはダメ、あれもダメでルールに縛られすぎると子どもの行動を制限することになり、真のやってみたいといった行動にはならないと考えます。やってみて行き過ぎた行動には注意を促す姿勢で関わる必要があります。一人一人の成長過程を捉え、理解し、子どもの主体性を大切にしたいです。

 

教育・保育要領解説23

2024/01/16

( 5 ) 計画的な環境の構成

幼保連携型認定こども園における教育及び保育は、園児自らが積極的に事物や他者、自然事象、社会事象など周囲の環境と関わり、体験することを通して、生きる力の基礎を育て、発達を促すものである。

園児は遊ぶことが好きであるからといって、保育教諭等は園児の遊びを放っておいてよいわけではない。なぜなら、園児は常に積極的に環境に関わって遊び、望ましい方向に向かって発達していくとは限らないからである。園児が望ましい方向に向かって発達していくということは、幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本に示された方向に向かって発達していくことである。どのような環境にいかに関わるかを、全て園児自身に委ねていたのでは、偶然の出来事に頼ることとなり、発達に必要な体験を保障することが困難な場合も生じてくる。また、園児は一人一人興味や関心を向けるものが異なる。保育教諭等は、園児が必要な経験を積み重ねていくことができるように、発達の道筋を見通して、教育的及び保育的に価値のある環境を計画的に構成していかなければならない。園児一人一人が関わっている活動の各々の展開を見通すとともに、学期、年間、さらに、入園から修了までの園生活、修了後の生活という長期的な視点に立って園児一人一人の発達の道筋を見通して現在の活動を位置付け、園児の経験の深まりを見通すことが大切である。そして、望ましい方向へ向かうために必要な経験ができるよう環境を構成していく必要がある。

見通しをもち、計画を立てることによって初めて、園児が今経験していることの意味を理解し、発達を促す関わりや環境の構成を考えることができる。しかし、園児の活動の展開は多様な方向に躍動的に変化するものであり、常に見通しと一致するわけではない。したがって、計画を立てて環境を構成すればそれでよいというわけではない。常に活動に沿って環境を構成し直し、その状況での園児の活動から次の見通しや計画をもち、再構成し続けていくことが必要となるのである。

 

好きなように自由に遊ぶことも大切です。一人で遊び、徹底して満足いくまで遊び込むことも必要でしょう。そのことに加えて友達と自分たちのルールを作って、さらには共同的な遊びをしていくことも大切です。そこで保育者が見通しをもって、発達を促す環境を整えて得られるものは偶発的ではなく意図した方向となりますが、こういった遊びの積み重ねによって経験の深まりにつながるように感じます。好きなように自由に、に加えて意図性を持った環境整備の大切さを意識して取り組みたいですね。

 

教育・保育要領解説22

2024/01/15

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

ウ 園児一人一人に応じるための保育教諭等の基本姿勢

④イに述べたように、園児一人一人に応じた指導をするには、保育教諭等が園児の行動に温かい関心を寄せる、心の動きに応答する、共に考えるなどの基本的な姿勢で教育及び保育に臨むことが重要である

また、保育教諭等がこのような基本的な姿勢を身に付けるためには、自分自身を見つめることが大切である。

園児一人一人に応じた適切な指導をするために、保育教諭等は園児一人一人の発達の姿や内面を理解する必要があるが、保育教諭等の目の前に現れる園児の姿は保育教諭等との関わりの下に現れている姿でもある。ところが、園児の中に入っているとき、保育教諭等は自分がどういう在り方をしているのか十分意識しているわけではない。例えば、泥遊びの場面を見ると、園児から身を引いているかもしれない。

このように、保育教諭等には、必ずしも自覚していない仕方で園児に関わっている部分がある。それが園児の姿に影響を及ぼしていることが十分考えられるのである。それゆえ、園児の姿を理解しようとするならば、保育教諭等は園児と関わっているときの自分自身の在り方や関わり方に、少しでも気付いていく必要がある。実際に行った園児との関わりを振り返り、自分自身を見つめることを通して、自分自身に気付いていくことができるのであり、繰り返し、そのように努めることで、園児一人一人に応じたより適切な関わりができるようになるのである。

また、保育教諭等は自分の心の状態を認識し、安定した落ち着いた状態でいられるように努めることも大切である。

 

保育教諭等の基本姿勢が明記されています。園児の行動に温かい関心を寄せる、心の動きに応答する、共に考えるなどの基本的な姿勢とされていることから、一昔前の一斉的で画一した教育・保育を保育者主導で行うことは時代錯誤です。させる、やらせるではなく、主体は子どもです。これは保護者においても同じことが言えるのではないでしょうか。子どもの意思を尊重しない、親の意思だけで子どもにさせる、やらせるではなく、子どもの気持ち、思いを尊重することが大切です。大人のさせたい思いの押し付けでなく、させたいと思えば、子どもとしっかり話をして、押し付けでないことが大切です。やらせたい経験があれば、興味を持つような誘導もありだと思いますが、決定権は子どもに委ねることが大切なように思います。子どもであろうが、一人の人としての人権意識が大切です。また、逆に子どもが出来ないことを子どもの責任にする。これもいかがなものでしょう。特に学校生活等において子どもの行動に対して、子どもがそうしたからとか、子どもに責任がある、として教育者が責任を逃れることは無責任であり、子どもの責任に押し付けてしまうことは残念な行為です。自己保身に走ることはいかがなものでしょう。恥ずかしい行為です。しっかり子どもと向き合っていくようにすることが大切です。

 

 

 

教育・保育要領解説21

2024/01/12

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

イ 園児一人一人に応じることの意味 2

例えば、園児数人と保育教諭等とで鬼遊びをしているとする。ほとんどの園児が逃げたり、追い掛けたり、捕まえたり、捕まえられたりすることを楽しんでいる中で、ある園児は保育教諭等の仲立ちなしには参加できないことがある。その園児はやっと泣かずに登園できるようになり、保育教諭等を保護者のように慕っている。保育教諭等と一緒に行動することで、その園児にとって保育教諭等を仲立ちに他の園児と遊ぶ楽しさを味わうという体験にしたいと保育教諭等は考える。そう考えた保育教諭等は、鬼遊びのルールを守って遊ぶということにならなくても、その園児の要求に応え、手をつないで一緒に行動しようとするだろう。

このように、ある意味で園児一人一人に応じることは、園児一人一人が過ごしてきた生活を受容し、それに応じるということなのである。それはまず、園児の思い、気持ちを受け止め、園児が周囲の環境をどう受け止めているのかを理解すること、すなわち、園児の内面を理解しようとすることから始まるのである。そして、その園児が真に求めていることに即して必要な経験を得られるように援助していくのである。このことは、園児一人一人をかけがえのない存在として見て、それぞれ独自の生き方(行動の仕方、表現の仕方など)をしていると考え、その独自性を大切にすることなのである。ただし、園児一人一人に応じるとはいっても、いつでも活動形態を個々ばらばらにするということではない。幼保連携型認定こども園は集団の教育力及び保育力を生かす場である。集団の生活の中で、園児が互いに影響し合うことを通して、園児一人一人の発達が促されていく。それゆえ、園児一人一人の発達の特性を生かした集団をつくり出すことを常に考えることが大切である。

 

園児一人一人に応じることは、園児一人一人が過ごしてきた生活を受容し、それに応じるということなのである。それはまず、園児の思い、気持ちを受け止め、園児が周囲の環境をどう受け止めているのかを理解すること、すなわち、園児の内面を理解しようとすることから始まる。としています。さらに、園児一人一人に応じるとはいっても、いつでも活動形態を個々ばらばらにするということではない。幼保連携型認定こども園は集団の教育力及び保育力を生かす場である。としているのです。あえて申し上げますが、まずもって一人一人の内面の理解が大切であることは言うまでもありません。その上で、活動形態を個々ばらばらにすることでもないと言及しています。集団生活の中で園児が互いに影響しあうことを通して、一人一人の発達を促していくことが肝要であることを踏まえると、個性を認め、気持ちを受け止めつつ、集団の良さを活用して個々の発達を支援、促していくことが大切です。

このことって今学校等で課題となっているいじめや暴力といったことにもつながるようにも思えます。個の尊重が不足し、指導者、教育者、保育者の個人の理念の枠に入らないと排他しようとする。内面の理解、そこに理解、寄り添いがないことが要因のようにも思えます。学校側にとっては、枠に入ってもらうことが楽だからです。一人一人に寄り添うだけの配置や専門の支援もない中では、改善されず、繰り返されるようにしか思えません。

 

 

 

教育・保育要領解説20

2024/01/11

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

イ 園児一人一人に応じることの意味

④アに述べたように、園児は一人一人が異なった発達の姿を示す。それゆえ、保育教諭等は園児の発達に即して、園児一人一人に応じた指導をしなければならない。園児は、自分の要求を満たしてくれる保育教諭等に親しみや自分に対する愛情を感じて信頼を寄せるものである。しかし、園児一人一人に応じるというとき、ただ単にそれぞれの要求に応えればよいというわけではない。このような要求や主張を表面的に受け止めて応えようとすれば、全てに応じきれなくなり、逆に園児に不信感や不安を抱かせてしまう。また、応じ方の度が過ぎれば園児の依頼心やわがままを助長するなど、自立を妨げることにもなる。保育教諭等の応答は、幼保連携型認定こども園の教育及び保育において育みたい資質・能力を育むために、園児一人一人の何に応じればよいのか考えたものでなければならない。

保育教諭等は、あるときは園児の要求に即座に応えるのではなく、自分で考える機会を与え、園児同士で教え学び合うように促していく必要がある。また、同じような要求であっても、園児に応じて応え方を変える必要がある。そのような応答のためには、保育教諭等が、園児の具体的な要求や行動の背後に、意欲や意志の強さの程度、明るい気分、不満に満ちた状態、気落ちした気分などの心情の状態など園児の内面の動きを察知することが大切である。そして、その園児がそれらの要求や行動を通して本当に求めていることは何かを推し量り、その園児の発達にとってどのような経験が必要かをそれぞれの場面で可能な範囲で把握していることが大切である。

 

保育教諭等は園児の発達に即して、園児一人一人に応じた指導をしなければならない。とするには、一人で多くの子どもの理解が必要です。国はようやく75年ぶりに保育士の配置基準の見直しに着手しました。このことは子ども一人一人に対応できるようにすることでもありますが、多様化する社会環境や家庭環境を加味しても配置をさらに検証していく必要があります。一人一人に寄り添うには、クラス業務のすべてを一人で行うことは困難であり、様々な専門性を持った職員のサポートを受けつつ、配置基準だけでなく、施設全体での様々な職種のサポートに加え、地域のそれぞれの分野の専門家のサポートも必要なのです。子育ては社会で、ということはそういったことだと考えます。

 

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