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園からの発信

教育・保育要領解説19

2024/01/10

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

ア 園児一人一人の発達の特性 2

ここでいう「発達の課題」とは、その時期の多くの園児が示す発達の姿に合わせて設定されている課題のことではない。発達の課題は園児一人一人の発達の姿を見つめることにより見いだされるそれぞれの課題である。その園児が今、興味や関心をもち、行おうとしている活動の中で実現しようとしていることが、その園児の発達にとっては意味がある。したがって、発達の課題は園児の生活の中で形を変え、いろいろな活動の中に表現されることもある。例えば、鉄棒で遊びたい気持ちをもちながらもなかなか行動に移せない園児が、鉄棒で遊んでいた友達がいなくなってから一人で鉄棒にぶら下がってみたり、あるいは皆が縄跳びに興じているのをすぐそばで楽しそうに掛け声を発しながら見たりしている場合、その園児はそれまで苦手にしていたことに挑戦しようとしていると理解することができるだろう。そして、挑戦した結果、成功すれば、その園児は自信をもつと考えられる。そうであれば、今この園児の発達の課題は自信をもつことであるといえる。

このように、保育教諭等は園児一人一人の発達の特性と発達の課題を把握し、その園児らしさを損なわないように指導することが大切である。

 

その時期の多くの園児が示す発達の姿に合わせて設定されている課題のことではない。発達の課題は園児一人一人の発達の姿を見つめることにより見いだされるそれぞれの課題である。としています。3歳だから、4歳だからと年齢ではないということでもあります。同じ年齢のラスでも月齢や発達の進捗は違います。おおむね示されている年齢による指標もあるようですが、個々によっても環境によっても違います。4月から3月生まれの年齢や学年だけを指標にしても個々の子どもの成長には大きな開きもあります。だから就学前の保育施設において、欧米では発達別の活動や習熟度別の活動を取り入れているのです。クラス編成はするも学年別の活動や習熟度別活動などを取り入れ、子ども一人一人の満足度や達成感を味わってこそ次のステップへ進めるように思います。

 

教育・保育要領解説18

2024/01/09

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

ア園児一人一人の発達の特性

園児の発達の姿は、発達の道筋としては共通した過程をたどると考えられる。園児を指導する際に、保育教諭等はその年齢の多くの園児が示す発達の姿について心得ておくことは、指導の仕方を大きく誤らないためには必要である。しかし、それぞれ独自の存在としての園児一人一人に目を向けると、その発達の姿は必ずしも一様ではないことが分かる。

園児は、一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なってくる。例えば、同じ年齢の園児であっても、大胆で無秩序な世界を好む園児もいれば、逆に、自制的で整然とした世界を好む園児もいる。園生活を送る過程で、前者の園児が秩序を受け入れるようになっていったり、後者の園児が大胆さを受け入れるようになっていったりする。

このように、園児一人一人の環境の受け止め方や見方、環境への関わり方が異なっているのである。すなわち、園児はその園児らしい仕方で環境に興味や関心をもち、環境に関わり、何らかの思いを実現し、発達するために必要ないろいろな体験をしているのである。園児のしようとしている行動が、多くの園児が示す発達の姿から見ると好ましくないと思えることもある。しかし、その行動をし、その行動を通して実現しようとしていることがその園児の発達にとって大事である場合がしばしばある。それゆえ、保育教諭等は、園児が自ら主体的に環境と関わり、自分の世界を広げていく過程そのものを発達と捉え、園児一人一人の発達の特性(その園児らしい見方、考え方、感じ方、関わり方など)を理解し、その特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導をすることが大切である。

 

一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なっていることを踏まえ、互いが刺激しあって、他者の存在に気づき、折り合いをつけながら遊びをしていく姿もあります。ここに寄り添いつつも、子ども同志の関わりや集団を意識したことも必要な指導であります。もちろんそこには従わせるとか強制的にやらせるさせるではありません。子どもの気持ちを理解し促していくことも大切です。園児一人一人の発達の特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導には一人一人の子ども理解が必要です。そこにも保育者の枠に限定されるものでもなく、広く子どもを複数の目で捉えたうえでの指導が大切であると考えています。複数の職員で子どもの成長を見ていくことが大切であるのです。

教育・保育要領解説17

2024/01/05

③遊びを通しての総合的な指導

イ 総合的な指導 2

遊びを通して総合的に発達を遂げていくのは、園児の様々な能力が一つの活動の中で関連して同時に発揮されており、また、様々な側面の発達が促されていくための諸体験が一つの活動の中で同時に得られているからである。例えば、園児が何人かで段ボールの家を作っているとする。そのとき園児は大まかではあるが、作ろうとする家のイメージを描く。そのことで園児は作業の段取りを立て、手順を考えるというように、思考力を働かせる。一緒に作業をするために、園児は自分のイメージを言葉や身体の仕草などを用いて伝え合うことをする。相互に伝え合う中で、相手に分かってもらえるように自分を表現し、相手を理解しようとする。このようなコミュニケーションを取りながら一緒に作業を進める中で、相手に即して自分の行動を規制し、役割を実行していく。また、用具を使うことで身体の運動機能を発揮し、用具の使い方を知り、素材の特質を知っていく。そして、段ボールの家が完成すれば、達成感とともに、友達への親密感を覚える。

このように、一つの遊びを展開する中で、園児はいろいろな経験をし、様々な能力や態度を身に付ける。したがって、具体的な指導の場面では、遊びの中で園児が発達していく姿を様々な側面から総合的に捉え、発達にとって必要な経験が得られるような状況をつくることを大切にしなければならない。そして、常に園児の遊びの展開に留意し、適切な指導をしなければならない。園児の生活そのものともいえる遊びを中心に、園児の主体性を大切にする指導を行おうとするならば、それはおのずから総合的なものとなるのである。

 

好きなように走ったり、砂場遊びをしたり、子ども達でルールを作ったりしながらの遊びはとても大切です。そこに保育者が三輪車やボールを用意するとさらにその遊びは広がります。また、遊びを通しての運動能力の発達も促すこともできます。発達を促すために保育者が子どもの発達段階における意図した環境を用意することでの遊びの拡がりもあります。そこは保育者がさせる、やらせるのではなく子ども達が主体となって遊びを発展していきます。教え込み方子ども主体にとはこういったことも一つの展開なのです。

 

教育・保育要領解説16

2024/01/04

③遊びを通しての総合的な指導

イ 総合的な指導

遊びを展開する過程においては、園児は心身全体を働かせて活動するため、心身の様々な側面の発達にとって必要な経験が相互に関連し合い積み重ねられていく。つまり、乳幼児期には諸能力が個別に発達していくのではなく、相互に関連し合い、総合的に発達していくのである。

例えば、園児は自分の見たことや考えたことなどを自分なりに捉えたまま言葉にするため、その場にいなかった他の園児にはなかなか伝わらないことが多い。しかし、友達と一緒に遊ぶ中で、コミュニケーションを取ろうとする意識が高まり、次第に状況に依存しない言語で表現する力が獲得されていく。

言語能力が伸びるにつれて、言語により自分の行動を計画し、制御するようになるとともに、自己中心的な思考から相手の立場に立った思考もできるようになる。こうして社会性、道徳性が培われる。そのことは、ますます友達と積極的に関わろうとする意欲を生み、さらに、友達と遊ぶことを通して運動能力が高まる。そして、より高度で複雑な遊びを展開することで、思考力が伸び、言語能力が高まる。象徴機能である言語能力の発達は、見立てやごっこ遊びという活動の中で想像力を豊かにし、それを表現することを通して促される。このように、遊びを通して園児の総合的な発達が実現していく。

 

乳幼児期には諸能力が個別に発達していくのではなく、相互に関連し合い、総合的に発達していくと記載されています。保育者と関わり、友達と関わり、刺激しあって子どもの成長は促されるものです。関わりこそ社会性の始まりとも思います。互いに気持ちがぶつかることもあるでしょう、しかしそれ以上に共鳴や共感、共同性、協調性も促されるものと思います。個別の対応と共にこども集団によって学んでいくことの大切さも認識して活動を行っていきたいと思います。

 

教育・保育要領解説15

2023/12/28

③遊びを通しての総合的な指導

ア 乳幼児期における遊び

乳幼児期の生活のほとんどは、遊びによって占められている。遊びの本質は、人が周囲の事物や他の人たちと思うがままに多様な仕方で応答し合うことに夢中になり、時の経つのも忘れ、その関わり合いそのものを楽しむことにある。すなわち遊びは遊ぶこと自体が目的であり、人の役に立つ何らかの成果を生み出すことが目的ではない。しかし、乳幼児期の遊びには園児の成長や発達にとって重要な体験が多く含まれている。

遊びにおいて、園児が周囲の環境に思うがままに多様な仕方で関わるということは、園児が周囲の環境に様々な意味を発見し、様々な関わり方を発見するということである。例えば、木の葉を木の葉として見るだけではなく、器として、お金として、切符として見ることがある。また、砂が水を含むと固形状になり、さらには、液状になることを発見し、その状態の変化とともに、異なった関わり方を発見する。これらの意味や関わり方の発見を、園児は、思考を巡らし、想像力を発揮して行うだけでなく、自分の体を使って、また、友達と共有したり、協力したりすることによって行っていく。さらに、遊びを通じて友達との関わりが深まってくるにつれて、ときには自分の思いや考えを意識して表現し、相手に伝えたり、互いの考えを出し合ったりするようになっていく。

そして、このような発見の過程で、園児は、達成感、充実感、満足感、挫折感、葛藤などを味わい、精神的にも成長する。

このように、自発的な活動としての遊びにおいて、園児は心身全体を働かせ、様々な体験を通して心身の調和のとれた全体的な発達の基礎を築いていくのである。その意味で、自発的な活動としての遊びは、乳幼児期特有の学習なのである。したがって、幼保連携型認定こども園における教育及び保育は、遊びを通しての指導を中心に行うことが重要である。

 

「遊びが大事」とよく言われますが、そのことはここに明記されていることであり、遊びを通しての学習の意味をしっかりと踏まえ、さらにその遊びを通しての指導についても理解し、専門性を持って対応することが保育教諭としての役割です。学ばずして、遊びが大事と言うのは簡単なのですが、このことを意識し常に専門性を高める学びをして保育を実践していくことが大切です。

 

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