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園からの発信

教育・保育要領解説21

2024/01/12

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

イ 園児一人一人に応じることの意味 2

例えば、園児数人と保育教諭等とで鬼遊びをしているとする。ほとんどの園児が逃げたり、追い掛けたり、捕まえたり、捕まえられたりすることを楽しんでいる中で、ある園児は保育教諭等の仲立ちなしには参加できないことがある。その園児はやっと泣かずに登園できるようになり、保育教諭等を保護者のように慕っている。保育教諭等と一緒に行動することで、その園児にとって保育教諭等を仲立ちに他の園児と遊ぶ楽しさを味わうという体験にしたいと保育教諭等は考える。そう考えた保育教諭等は、鬼遊びのルールを守って遊ぶということにならなくても、その園児の要求に応え、手をつないで一緒に行動しようとするだろう。

このように、ある意味で園児一人一人に応じることは、園児一人一人が過ごしてきた生活を受容し、それに応じるということなのである。それはまず、園児の思い、気持ちを受け止め、園児が周囲の環境をどう受け止めているのかを理解すること、すなわち、園児の内面を理解しようとすることから始まるのである。そして、その園児が真に求めていることに即して必要な経験を得られるように援助していくのである。このことは、園児一人一人をかけがえのない存在として見て、それぞれ独自の生き方(行動の仕方、表現の仕方など)をしていると考え、その独自性を大切にすることなのである。ただし、園児一人一人に応じるとはいっても、いつでも活動形態を個々ばらばらにするということではない。幼保連携型認定こども園は集団の教育力及び保育力を生かす場である。集団の生活の中で、園児が互いに影響し合うことを通して、園児一人一人の発達が促されていく。それゆえ、園児一人一人の発達の特性を生かした集団をつくり出すことを常に考えることが大切である。

 

園児一人一人に応じることは、園児一人一人が過ごしてきた生活を受容し、それに応じるということなのである。それはまず、園児の思い、気持ちを受け止め、園児が周囲の環境をどう受け止めているのかを理解すること、すなわち、園児の内面を理解しようとすることから始まる。としています。さらに、園児一人一人に応じるとはいっても、いつでも活動形態を個々ばらばらにするということではない。幼保連携型認定こども園は集団の教育力及び保育力を生かす場である。としているのです。あえて申し上げますが、まずもって一人一人の内面の理解が大切であることは言うまでもありません。その上で、活動形態を個々ばらばらにすることでもないと言及しています。集団生活の中で園児が互いに影響しあうことを通して、一人一人の発達を促していくことが肝要であることを踏まえると、個性を認め、気持ちを受け止めつつ、集団の良さを活用して個々の発達を支援、促していくことが大切です。

このことって今学校等で課題となっているいじめや暴力といったことにもつながるようにも思えます。個の尊重が不足し、指導者、教育者、保育者の個人の理念の枠に入らないと排他しようとする。内面の理解、そこに理解、寄り添いがないことが要因のようにも思えます。学校側にとっては、枠に入ってもらうことが楽だからです。一人一人に寄り添うだけの配置や専門の支援もない中では、改善されず、繰り返されるようにしか思えません。

 

 

 

教育・保育要領解説20

2024/01/11

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

イ 園児一人一人に応じることの意味

④アに述べたように、園児は一人一人が異なった発達の姿を示す。それゆえ、保育教諭等は園児の発達に即して、園児一人一人に応じた指導をしなければならない。園児は、自分の要求を満たしてくれる保育教諭等に親しみや自分に対する愛情を感じて信頼を寄せるものである。しかし、園児一人一人に応じるというとき、ただ単にそれぞれの要求に応えればよいというわけではない。このような要求や主張を表面的に受け止めて応えようとすれば、全てに応じきれなくなり、逆に園児に不信感や不安を抱かせてしまう。また、応じ方の度が過ぎれば園児の依頼心やわがままを助長するなど、自立を妨げることにもなる。保育教諭等の応答は、幼保連携型認定こども園の教育及び保育において育みたい資質・能力を育むために、園児一人一人の何に応じればよいのか考えたものでなければならない。

保育教諭等は、あるときは園児の要求に即座に応えるのではなく、自分で考える機会を与え、園児同士で教え学び合うように促していく必要がある。また、同じような要求であっても、園児に応じて応え方を変える必要がある。そのような応答のためには、保育教諭等が、園児の具体的な要求や行動の背後に、意欲や意志の強さの程度、明るい気分、不満に満ちた状態、気落ちした気分などの心情の状態など園児の内面の動きを察知することが大切である。そして、その園児がそれらの要求や行動を通して本当に求めていることは何かを推し量り、その園児の発達にとってどのような経験が必要かをそれぞれの場面で可能な範囲で把握していることが大切である。

 

保育教諭等は園児の発達に即して、園児一人一人に応じた指導をしなければならない。とするには、一人で多くの子どもの理解が必要です。国はようやく75年ぶりに保育士の配置基準の見直しに着手しました。このことは子ども一人一人に対応できるようにすることでもありますが、多様化する社会環境や家庭環境を加味しても配置をさらに検証していく必要があります。一人一人に寄り添うには、クラス業務のすべてを一人で行うことは困難であり、様々な専門性を持った職員のサポートを受けつつ、配置基準だけでなく、施設全体での様々な職種のサポートに加え、地域のそれぞれの分野の専門家のサポートも必要なのです。子育ては社会で、ということはそういったことだと考えます。

 

教育・保育要領解説19

2024/01/10

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

ア 園児一人一人の発達の特性 2

ここでいう「発達の課題」とは、その時期の多くの園児が示す発達の姿に合わせて設定されている課題のことではない。発達の課題は園児一人一人の発達の姿を見つめることにより見いだされるそれぞれの課題である。その園児が今、興味や関心をもち、行おうとしている活動の中で実現しようとしていることが、その園児の発達にとっては意味がある。したがって、発達の課題は園児の生活の中で形を変え、いろいろな活動の中に表現されることもある。例えば、鉄棒で遊びたい気持ちをもちながらもなかなか行動に移せない園児が、鉄棒で遊んでいた友達がいなくなってから一人で鉄棒にぶら下がってみたり、あるいは皆が縄跳びに興じているのをすぐそばで楽しそうに掛け声を発しながら見たりしている場合、その園児はそれまで苦手にしていたことに挑戦しようとしていると理解することができるだろう。そして、挑戦した結果、成功すれば、その園児は自信をもつと考えられる。そうであれば、今この園児の発達の課題は自信をもつことであるといえる。

このように、保育教諭等は園児一人一人の発達の特性と発達の課題を把握し、その園児らしさを損なわないように指導することが大切である。

 

その時期の多くの園児が示す発達の姿に合わせて設定されている課題のことではない。発達の課題は園児一人一人の発達の姿を見つめることにより見いだされるそれぞれの課題である。としています。3歳だから、4歳だからと年齢ではないということでもあります。同じ年齢のラスでも月齢や発達の進捗は違います。おおむね示されている年齢による指標もあるようですが、個々によっても環境によっても違います。4月から3月生まれの年齢や学年だけを指標にしても個々の子どもの成長には大きな開きもあります。だから就学前の保育施設において、欧米では発達別の活動や習熟度別の活動を取り入れているのです。クラス編成はするも学年別の活動や習熟度別活動などを取り入れ、子ども一人一人の満足度や達成感を味わってこそ次のステップへ進めるように思います。

 

教育・保育要領解説18

2024/01/09

④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導

ア園児一人一人の発達の特性

園児の発達の姿は、発達の道筋としては共通した過程をたどると考えられる。園児を指導する際に、保育教諭等はその年齢の多くの園児が示す発達の姿について心得ておくことは、指導の仕方を大きく誤らないためには必要である。しかし、それぞれ独自の存在としての園児一人一人に目を向けると、その発達の姿は必ずしも一様ではないことが分かる。

園児は、一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なってくる。例えば、同じ年齢の園児であっても、大胆で無秩序な世界を好む園児もいれば、逆に、自制的で整然とした世界を好む園児もいる。園生活を送る過程で、前者の園児が秩序を受け入れるようになっていったり、後者の園児が大胆さを受け入れるようになっていったりする。

このように、園児一人一人の環境の受け止め方や見方、環境への関わり方が異なっているのである。すなわち、園児はその園児らしい仕方で環境に興味や関心をもち、環境に関わり、何らかの思いを実現し、発達するために必要ないろいろな体験をしているのである。園児のしようとしている行動が、多くの園児が示す発達の姿から見ると好ましくないと思えることもある。しかし、その行動をし、その行動を通して実現しようとしていることがその園児の発達にとって大事である場合がしばしばある。それゆえ、保育教諭等は、園児が自ら主体的に環境と関わり、自分の世界を広げていく過程そのものを発達と捉え、園児一人一人の発達の特性(その園児らしい見方、考え方、感じ方、関わり方など)を理解し、その特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導をすることが大切である。

 

一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なっていることを踏まえ、互いが刺激しあって、他者の存在に気づき、折り合いをつけながら遊びをしていく姿もあります。ここに寄り添いつつも、子ども同志の関わりや集団を意識したことも必要な指導であります。もちろんそこには従わせるとか強制的にやらせるさせるではありません。子どもの気持ちを理解し促していくことも大切です。園児一人一人の発達の特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導には一人一人の子ども理解が必要です。そこにも保育者の枠に限定されるものでもなく、広く子どもを複数の目で捉えたうえでの指導が大切であると考えています。複数の職員で子どもの成長を見ていくことが大切であるのです。

教育・保育要領解説17

2024/01/05

③遊びを通しての総合的な指導

イ 総合的な指導 2

遊びを通して総合的に発達を遂げていくのは、園児の様々な能力が一つの活動の中で関連して同時に発揮されており、また、様々な側面の発達が促されていくための諸体験が一つの活動の中で同時に得られているからである。例えば、園児が何人かで段ボールの家を作っているとする。そのとき園児は大まかではあるが、作ろうとする家のイメージを描く。そのことで園児は作業の段取りを立て、手順を考えるというように、思考力を働かせる。一緒に作業をするために、園児は自分のイメージを言葉や身体の仕草などを用いて伝え合うことをする。相互に伝え合う中で、相手に分かってもらえるように自分を表現し、相手を理解しようとする。このようなコミュニケーションを取りながら一緒に作業を進める中で、相手に即して自分の行動を規制し、役割を実行していく。また、用具を使うことで身体の運動機能を発揮し、用具の使い方を知り、素材の特質を知っていく。そして、段ボールの家が完成すれば、達成感とともに、友達への親密感を覚える。

このように、一つの遊びを展開する中で、園児はいろいろな経験をし、様々な能力や態度を身に付ける。したがって、具体的な指導の場面では、遊びの中で園児が発達していく姿を様々な側面から総合的に捉え、発達にとって必要な経験が得られるような状況をつくることを大切にしなければならない。そして、常に園児の遊びの展開に留意し、適切な指導をしなければならない。園児の生活そのものともいえる遊びを中心に、園児の主体性を大切にする指導を行おうとするならば、それはおのずから総合的なものとなるのである。

 

好きなように走ったり、砂場遊びをしたり、子ども達でルールを作ったりしながらの遊びはとても大切です。そこに保育者が三輪車やボールを用意するとさらにその遊びは広がります。また、遊びを通しての運動能力の発達も促すこともできます。発達を促すために保育者が子どもの発達段階における意図した環境を用意することでの遊びの拡がりもあります。そこは保育者がさせる、やらせるのではなく子ども達が主体となって遊びを発展していきます。教え込み方子ども主体にとはこういったことも一つの展開なのです。

 

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