教育・保育要領解説43 2024/02/14 ウ 協同性 2 協同性が育まれるためには、単に他の園児と一緒に活動できることを優先するのではない。他の園児と一緒に活動する中で、それぞれの持ち味が発揮され、互いのよさを認め合う関係ができてくることが大切である。保育教諭等は、園児の願いや考えを受け止め、共通の目的の実現のために必要なことや、困難が生じそうな状況などを想定しつつ、園児同士で試行錯誤しながらも一緒に実現に向かおうとする過程を丁寧に捉え、一人一人の自己発揮や友達との関わりの状況に応じて、適時に援助することが求められる。相手を意識しながら活動していても、実際にはうまくいかない場面において、園児は、援助する保育教諭等の姿勢や言葉掛けなどを通して、相手のよさに気付いたり、協同して活動することの大切さを学んだりしていく。 幼児期に育まれた協同性は、小学校における学級での集団生活の中で、目的に向かって自分の力を発揮しながら友達と協力し、様々な意見を交わす中で新しい考えを生み出しながら工夫して取り組んだりするなど、教師や友達と協力して生活したり学び合ったりする姿につながっていく。 人とうまく関わる「共同性」が育つためには協調性も必要であるということと同時に、相手を思いやる気持ちも育みます。集団生活の中で、言葉で折り合いがつけれるようになり、共同して何かを行うために心の成長がとても重要ですね。人と関わり、意見やアイディアを出し合い、一つの目標をみんなで達成することのできる活動はとても大切です。相手の批判ではなく、良いところを見つけて納得した活動ができる言葉かけも心掛けたいと思います。
教育・保育要領解説42 2024/02/13 ウ 協同性 友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。 協同性は、領域「人間関係」などで示されているように、保育教諭等との信頼関係を基盤に他の園児との関わりを深め、思いを伝え合ったり試行錯誤したりしながら一緒に活動を展開する楽しさや、共通の目的が実現する喜びを味わう中で育まれていく。なお、協同性は、領域「人間関係」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は、友達と関わる中で、様々な出来事を通して、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの多様な感情体験を味わい、友達との関わりを深めていく。その中で互いの思いや考えなどを共有し、次第に共通の目的をもつようになる。5歳児の後半には、その目的の実現に向けて、考えたことを相手に分かるように伝えながら、工夫したり、協力したりし、充実感をもって園児同士でやり遂げるようになる。 例えば、修了式が間近になり、園児から年下の園児やお世話になった人を招いて楽しい会をしたいという意見が出されると、学級の皆で活動するよい機会なので保育教諭等も積極的に参加して、どんな会にするか皆で相談したりする。園児は、それまでの誕生会などの体験を思い出しながら、いつどこで何をしようか、来てくれた人が喜んでくれるために飾り付けやお土産はどうするか、会のお知らせをどうするか、会の進行はどう分担するかなど、必要なことを保育教諭等や友達と話し合い、互いの得意なことを生かすなど工夫して楽しみながら進め、やり遂げた充実感を味わうことができるだろう。 以前別のシリーズでも書きましたが、ヒトは「共鳴」して、「共感」して集団をうまく形成してきた。このことも協調性です。自分の意見もあり、曲げずに主張もするが「折り合い」をつけることこそ、ヒトがこれまで生き延びてきた要因でもあると考えています。そこには感情のコントロールも必要でしょう。「様々な出来事を通して、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの多様な感情体験を味わい、友達との関わりを深めていく。」これこそヒトたるゆえんではないでしょうか。譲れないこともあるでしょう、納得できないこともあるかもしれませんが、相手に伝わるように話をしたり、相手も人の意見に耳を傾ける。わがまま、自分勝手、自己中心などと言われるかもしれませんが、そのことも経験していくことも大切なことだと思います。大人になったり、社会に出るともっと大きな理不尽な思いもするからです。そのことを経験しつつ「共同性」といった人との関係人間関係も学んでいくと思います。
教育・保育要領解説41 2024/02/09 イ 自立心 2 保育教諭等は、園児一人一人が、自分で活動を選びながら園生活を主体的に送ることができるように、その日に必要なことなどをどの園児も分かりやすいように視覚的に提示するなどの工夫が必要である。その際、園児が自分で考えて行動できるよう、ゆとりをもった園生活の流れに配慮するとともに、園児一人一人の発達の実情に応じて、その日の流れを意識できるように個別に援助していくことも必要である。また、5歳児 の後半には、友達から認められることで更に自信をもつようになることを踏まえ、園児一人一人のよさが友達に伝わるように認めたり、学級全体の中で認め合える機会をつくったりするなどの工夫が重要になる。 幼児期に育まれた自立心は、小学校生活において、自分でできることは自分でしようと積極的に取り組む姿や、生活や学習での課題を自分のこととして受け止めて意欲的に取り組む姿、自分なりに考えて意見を言ったり、分からないことや難しいことは、先生や友達に聞きながら粘り強く取り組んだりする姿など、日々の生活が楽しく充実することにつながっていく。 積み重ねた体験や経験、生活をしながら得た見通しや想像から自信が生まれ、そのことが自分でやろうといった自立心につながるように感じます。大きな行事をやり遂げた自信が生活にも表れるようにも思います。大丈夫だよ、いいよといった言葉が子どもの自信につながり、認められることが活き活きとした生活ができるのではないかと感じています。否定や批判は結果に対することであり、成長を促すうえでの言葉ではないと感じるところです。
教育・保育要領解説40 2024/02/08 イ 自立心 身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。 自立心は、領域「人間関係」などで示されているように、幼保連携型認定こども園の生活において、保育教諭等との信頼関係を基盤に自己を発揮し、身近な環境に主体的に関わり自分の力で様々な活動に取り組む中で育まれる。なお、自立心は、領域「人間関係」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は、身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、信頼する保育教諭等に支えられながら、物事を最後まで行う体験を重ね、自分の力でやろうとする気持ちをもったり、やり遂げた満足感を味わったりするようになる。5歳児の後半には、遊びや生活の中で様々なことに挑戦し、失敗も繰り返す中で、自分でしなければならないことを自覚するようになる。保育教諭等や友達の力を借りたり励まされたりしながら、難しいことでも自分の力でやってみようとして、考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げる体験を通して達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。 例えば、生き物の世話などの当番の日は、片付けを早めに済ませて当番活動をするなど、自分がしなければならないことを自覚して行動するようになる。また、「自分もこまをうまく回したい」と思うと、始めはうまくいかなくても諦めずに繰り返し挑戦するようになる。その過程では、友達がこまにひもを巻く様子を見たりうまく回すやり方を聞いたりして、考え工夫して何度も取り組んだり、保育教諭等や友達からの応援や頑張りを認められることを支えにしたりして、できるまで続けることにより達成感を味わう。園児はそこで得た自信を基に、大きな板で坂道をつくって回しながら滑らせたりするなど、更に自分で課題を設定しもっと難しいことに挑戦していく。こうしたことを保育教諭等や友達から認められることで意欲をもち、自信を確かなものにしていく。なお、こうした姿は5歳児の後半に急に現れるものではなく、いろいろな遊びから自分がやりたいことを自分で選んで行動し、少し難しいと思うこともやってできた満足感を味わうなどの体験の積み重ねの中で育まれることに留意する必要がある。 様々な体験こそ自立心を生むことに繋がります。自信を持って取り組めるようになることも自立心の成長です。そこで前項にも記載しましたが、大人が途中で先を想像し修正してしまう、言葉を換えれば矯正してしまうと自信はなくなります。大人の先回りが子どもの成長を阻害してしまうことに繋がり、このことは成長をしていく中で、そして社会の中でも大人を必要としてしまうのではないかと思われます。自信のない子や自立心が育たず常に依存してしまうことはいかがなものでしょうか。そういった意味において、大人の我慢も必要であり、批判する必要もなく体験を積み重ねることができる環境が大切ではないでしょうか。子ども自から気づくことが大切です。
教育・保育要領解説39 2024/02/07 ア 健康な心と体 ② 保育教諭等は、園生活の流れ、園内の様々な場所や遊具、保育教諭等や友達など、それぞれが園児にどのように受け止められ、いかなる意味をもつのかについて捉え、園児の主体的な活動を促す環境をつくり出すことが必要である。その上で、園児が自ら体を動かし多様な動きを楽しむことや、よりよい生活のために必要な行動を園児の必要感に基づいて身に付けていくことなど、発達に即して園児の必要な体験が得られるよう工夫していくことが求められる。その際、健康で安全な生活のために必要なことを、学級等で話題にして一緒に考えてやってみたり、自分たちでできたことを十分に認めたりするなど、自分たちで生活をつくり出している実感をもてるようにすることが大切である。また、交通安全を含む安全に関する指導については、日常的な指導を積み重ねることによって、自ら行動できるようにしていくことが重要である。 こうした幼児期の経験は、小学校生活において、時間割を含めた生活の流れが分かるようになると、次の活動を考えて準備をしたりするなどの見通しをもって行動したり、安全に気を付けて登下校しようとしたりする姿につながる。また、自ら体を動かして遊ぶ楽しさは、小学校の学習における運動遊びや、休み時間などに他の児童と一緒に楽しく過ごすことにつながり、様々な活動を十分に楽しんだ経験は、小学校生活の様々な場面において伸び伸びと行動する力を育んでいく。 子どもの成長を支える上で、子どものおかれた状況を把握したうえで、成長過程を客観的にとらえ、次のステップを用意できればと思います。また、大きな時間のくくりで生活し、朝の集まりにてその日の流れを想像し理解したり、外での体操で体を動かし、主活動に取り組み、手洗いうがいなど済ませ、食事の準備に取り掛かる。食事のマナーも大切ですね。午前中だけでもたくさんの生活があり、細かな経験もあるのです。さらにはお茶を飲んだりと、日々の体験や経験にて子ども自身は言われなくとも行動できるようになります。何でもないこと、日頃の生活の積み重ねが大切なこととなるのです。