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園からの発信

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン8

2024/07/29

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(全てのこどもへのひとしい保障)

○一方で、児童虐待による死亡事例を例に挙げても、約半数が0~2歳であるなど、基本的な生命に関するこどもの権利が、誰一人取り残さずひとしく保障されているとは言えない現状がある。

○また、0~2歳児の約6割は就園していない状態であり、少子化の進行等に伴いきょうだいの数も減ってきている中、こども同士で育ち合う機会や、保護者以外のおとなと関わる機会、様々な社会文化や自然等の環境に触れる機会が、家庭の環境によって左右されている現状がある。園や子育て支援、地域社会等とつながることによって、育ちの環境をより一層充実させる機会は、こどもがどこに暮らしていても、家庭の環境に十分配慮しつつ、ひとしく保障されることが必要である。

○さらに、多くのこどもが通園する満3歳以上にあっても、施設類型や家庭・地域で過ごす時間の違いによって、ひとしく育ちを保障する上での格差が生じないようにしなければならない。

○このように、全てのこどもの育ちをひとしく支える上では、今の親世代の幼児期までの育ちと比べ、家庭や地域の状況など社会情勢が変化していることや、今の社会の現実を踏まえ、従来の発想を超えて対応すべき課題がある。

 

就学前の施設においては格差がないよう研修会等含め質の向上に努めていかなければなりません。しかし残念ながら現在の教育保育についてアップデートができていなくて、経験だけで保育を実施していると思われることも散見される事例もあるようです。子ども主体や子どもの人権など常に時代に合わせた教育保育を追及していく必要があると考えます。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン7

2024/07/26

・はじめの100か月の育ちビジョンの目的

(「こどもの誕生前から幼児期まで」の重要性)

○乳幼児期は、脳発達の「感受性期」と言われ、脳発達において環境の影響を受けやすい限定された時期の一つであるなど、生涯にわたるウェルビーイング向上にとって、特に重要な時期である。また、生涯の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定されるという考え方もあるなど、「こどもの誕生前」も含め、育ちを支える基盤的時期として捉える必要がある。さらに、「育ち」の側面と両輪をなす「学び」の側面からも、米国における研究で、質の高い幼児教育は長期にわたって影響を与えるとされているなど、幼児期までの重要性は世界的にも確認されている。

○取組によって特に着目する月齢や年齢に違いはあるが、「誕生前から幼児期まで」のこどもを重視した支援は、諸外国や国際機関でも推進されているなど、世界の潮流でもある。

○こどもの生涯にわたるウェルビーイングの基礎を培い、人生の確かなスタートを切るために最も重要であるこの時期への社会的投資こそが、次代の社会の在り方を大きく左右する。そのため、こどもと直接接する機会がない人も含め、社会全体にとっても幼児期までが極めて重要であることが、全ての人の間で共有されなければならない。

 

まず、赤ちゃんの脳がつくられ始めるのは、在胎18日ごろからと言われています。在胎24週(6カ月)くらいまでに、脳はぐんぐんと大きくなりますが、表面にしわがなく、のっぺりしています。在胎28週(7カ月)に入ると大脳の表面にしわや溝がたくさんできて、在胎36~40週(9~10カ月)ごろには大人の脳とほぼ同じ外観をもつようになります。脳が着々と形成される中で、脳の中では神経細胞がその数を増やしています。そして生まれる頃にはほぼ一生分の神経細胞が出来あがっていると考えられています。脳が脳として働くためには、これらの神経細胞同士がネットワークをつくりあげて連携していかなければなりません。生まれたときは神経細胞同士のつながりは、わずかしか出来ていませんが、出生直後から急速に脳のネットワーク化が進んでいき、情報を伝達するスピードも上がっていきます。このことを踏まえ、胎児のころから発達を捉える必要があるのです。

 

 

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン6

2024/07/25

1.はじめの100か月の育ちビジョンを策定する目的と意義

・生涯にわたる身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの向上

(多様性を尊重し、包摂的に支援する)

○本ビジョンは、特別な支援や配慮を要するこどもであるか否かにかかわらず、どのような環境に生まれ育っても、また、心身・社会的にどのような状況にあっても、多様な全てのこども一人一人をひとしく対象としている。

○特に、障害児については、他のこどもと異なる特別なこどもと考えるべきではなく、一人一人多様な育ちがある中で個々のニーズに応じた丁寧な支援が必要なこどもと捉えることが大切であり、障害の有無で線引きせず、全てのこどもの多様な育ちに応じた支援ニーズの中で捉えるべきである。また、心身の状況にかかわらずひとしく育ちを保障するために、周囲の環境(社会)を整える視点も重要である。

○また、本ビジョンは、共生社会の実現に向けて、幼児期までの時期から切れ目なく、インクルージョンの考え方を前提としている。その上で、体制整備も含め、一人一人のこどもの育ちの質を持続的に担保する必要がある。これは、学童期以降のインクルーシブ教育システムの実現とも切れ目なくつながる、共生社会の実現に向けた重要な視点である。

○さらに、身体的・精神的・社会的なあらゆる要因によって困難を抱えるこどもや家庭を包括的に支援する必要がある。

 

特別な支援や配慮を要するこどもであるか否かにかかわらず、どのような環境に生まれ育っても、また、心身・社会的にどのような状況にあっても、多様な全てのこども一人一人をひとしく、多様性を尊重し、包摂的に支援する。児童福祉法の精神はこのことが根底のように思います。

 

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン5

2024/07/24

1.はじめの100か月の育ちビジョンを策定する目的と意義

・生涯にわたる身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの向上

(身体的・精神的・社会的な全ての面を一体的に捉える)

〇本ビジョンにおいて、ウェルビーイングは、身体的・精神的・社会的な全ての面を一体的に捉えた観点(バイオサイコソーシャルの観点)での幸福を指す概念であり、換言すれば、こどもの持つ身体と心、周囲を取り巻く身近な環境や社会的状況、より広い環境としての社会(以下「環境(社会)」という。)を一体的に捉えたものである。また、ウェルビーイングの向上を、生涯にわたり実現することが、こどもの最善の利益を考慮していく上で重要である。なお、身体と心の側面のみならず、環境(社会)についても、こども一人一人多様であるといった視点に留意する必要がある。

 

「幸福を指す概念」としてのウェルビーイング。ウェルビーイングの向上を、生涯にわたり実現することが、こどもの最善の利益を考慮していく上で重要である。身体と心の側面のみならず、環境(社会)についても、こども一人一人多様であるといった視点に留意する必要がある。このことこそ子ども一人一人を大切にするということです。子どもを取り巻く環境がどのような環境にあろうとも大切にし、しかも生涯にわたって実現されることとしており、大人や社会から大切にされないということがあってはならぬということだと解釈しています。保育・教育を含めた適切な育ちの保障が大切です。

<朝日新聞>

シリーズ6 はじめの100か月の育ちビジョン4

2024/07/23

1.はじめの100か月の育ちビジョンを策定する目的と意義

・生涯にわたる身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの向上

(「ウェルビーイング」の基本的な考え方)

○本ビジョンにおいては、全ての人で支えるべき「こどもの育ちの質」について、こども基本法の目指す、こどもの生涯にわたる幸福、すなわちウェルビーイングの考え方を踏まえて整理した。この「ウェルビーイング」は、身体的・精神的・社会的(バイオサイコソーシャル)に幸せな状態にあることを指す。また、ウェルビーイングは、包括的な幸福として、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など生涯にわたる持続的な幸福を含む。このようなウェルビーイングの向上を、権利行使の主体としてのこども自身が、主体的に実現していく視点が重要である。

○なお、ウェルビーイングは、生涯にわたる全ての時期を通じて高めることが重要であり、こどもとともに育つおとなにとっても重要なものである。こどももおとなも含め、一人一人多様な個人のウェルビーイングの集合として、社会全体のウェルビーイング向上の実現を同時に目指すことが必要である。

 

「ウェルビーイング」は、身体的・精神的・社会的に幸せな状態にあることを指す。また、包括的な幸福として、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など生涯にわたる持続的な幸福としており、ウェルビーイングの向上を、権利行使の主体としてのこども自身が、主体的に実現していく視点が重要である。と示しました。「ウェルビーイング」という言葉はこれまで福祉の現場では叫ばれてきましたが、ようやく社会に向けて提示されだしました。遅ればせながら日本においても実現する社会を構築していく必要がありますね。

 

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