教育・保育要領解説58 2024/03/07 コ 豊かな感性と表現 心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。 幼児期の豊かな感性と表現は、領域「表現」などで示されているように、幼保連携型認定こども園における生活の様々な場面で美しいものや心を動かす出来事に触れてイメージを豊かにし、表現に関わる経験を積み重ねたり、楽しさを味わったりしながら、育まれていく。なお、豊かな感性と表現は、領域「表現」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は、生活の中で心を動かす出来事に触れ、みずみずしい感性を基に、思いを巡らせ、様々な表現を楽しむようになる。園児の素朴な表現は、自分の気持ちがそのまま声や表情、身体の動きになって表れることがある。また、保育教諭等や他の園児に受け止められることを通して、動きや音などで表現したり、演じて遊んだりしながら、自分なりに表現することの喜びを味わう。5歳児の後半になると、このような体験を基に、身近にある様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを必要なものを選んで自分で表現したり、友達と工夫して創造的な活動を繰り返したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりして、意欲をもつようになる。 この頃の園児は、共通の目的に向けて、友達と一緒にそれまでの経験を生かしながら考えを出し合い、工夫して表現することを一層楽しむようになる。 例えば、グループで劇をつくる場面では、役に応じて話し方や動き方を工夫する、必要な衣装や道具を身近な素材や用具などを使ってつくり上げる、効果音を考えるなど、表現すること自体を楽しむとともに、友達と一緒に工夫することで、新たな考えを生み出すなど、より多様に表現できるようになっていく過程を楽しむようになる。 生活の中で心を動かす出来事に触れることがあればとても素敵です。思いを巡らせたり、他に受け止められることを通して、動きや音などで表現したり、演じて遊んだりしながら、自分なりに表現することの喜びを味わう。こういった経験が豊かな感性と表現に繋がっていきます。美しいものを感じたり、感動といったことで他者と一緒に共感したりすることは集団生活においてとても重要なことです。また、子どものつぶやきについてもとても大切にしたいことです。素朴な表現は、自分の気持ちがそのまま声や表情、身体の動きになって表れることがある。だからこそクオリティの高い言葉や物的環境の整備も必要です。
教育・保育要領解説57 2024/03/06 ケ 言葉による伝え合い 2 言葉による伝え合いを園児が楽しむようになるためには、保育教諭等や友達と気軽に言葉を交わすことができる雰囲気や関係の中で、伝えたくなるような体験をすることや、遊びを一緒に進めるために相手の気持ちや行動を理解したいなどの必要性を感じることが大切である。 保育教諭等は、園児の状況に応じて、言葉を付け加えるなどして、園児同士の話が伝わり合うように援助をする必要がある。また、絵本や物語の世界に浸り込むことで、豊かな言葉や表現に触れられるようにしたり、保育教諭等自身が豊かな表現を伝えるモデルとしての役割を果たすことで、様々な言葉に出会う機会をつくったりするなどの配慮をすることが必要である。 こうした幼児期の言葉による伝え合いは、小学校の生活や学習において、友達と互いの思いや考えを伝え、受け止めたり、認め合ったりしながら一緒に活動する姿や、自分の伝えたい目的や相手の状況などに応じて言葉を選んで伝えようとする姿などにつながっていく。特に、戸惑いが多い入学時に自分の思いや考えを言葉に表せることは、初めて出会う教師や友達と新たな人間関係を築く上でも大きな助けとなる。 子ども同志に言葉が伝わり合わないからっと言って片方の言葉だけを代弁したり、大人の意見を込めての発言をしたりせず、子どもの気持ちに寄り添った言葉の援助が必要なのです。とても難しいことではあるのですが、子ども同志では意外と理解しあえることも多いのです。それは、いつも仲良しで共感することが多い子ども同志で起こる場合にはすぐにお互いが理解しあってまた遊びに夢中になることも多いのです。決して対抗心や闘争心が前面に出ることではなく、子どもながらに互いを理解しようとする相手に対する思いがあるからではないでしょうか。様々な場面において、園児の状況に応じて、保育者が言葉を付け加えるなどして、園児同士の話が伝わり合うように援助をする必要がある。大切にしたいことです。
教育・保育要領解説56 2024/03/05 ケ 言葉による伝え合い 保育教諭等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。 言葉による伝え合いは、領域「言葉」などで示されているように、身近な親しい人との関わりや、絵本や物語に親しむ中で、様々な言葉や表現を身に付け、自分が経験したことや考えたことなどを言葉で表現し、相手の話に興味をもって聞くことなどを通して、育まれていく。なお、言葉による伝え合いは、領域「言葉」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は保育教諭等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付けていく。また、自分の気持ちや思いを伝え、保育教諭等や友達が話を聞いてくれる中で、言葉のやり取りの楽しさを感じ、そのやり取りを通して相手の話を聞いて理解したり、共感したりするようになっていく。このような体験を繰り返す中で、自分の話や思いが相手に伝わり、相手の話や思いが分かる楽しさや喜びを感じ、次第に伝え合うことができるようになっていく。5歳児の後半になると、伝える相手や状況に応じて、言葉の使い方や表現の仕方を変えるなど、経験したことや考えたことなどを相手に分かるように工夫しながら言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いて理解したりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。 例えば、保育教諭等が読み聞かせをした絵本の中に「こもれび」という言葉がある。遠足に行ったとき、皆で木立の間を散策していると、数名の園児が木の下から空を見上げ、「わあ、きれい」「キラキラしてる」「まぶしいね」「目がチカチカする」などと話している。すると、一人の園児が思い出したように「これ、こもれびだ」と言う。「ああ、こもれびね」「こもれびって、キラキラしてるね」と見上げながら会話が続く。近くに来た友達にも、「見て、こもれびだよ」と伝えて一緒に見る。地面に映ったこもれびを見付けると、「下もきれいだよ」「ほんとうだ」「あっちにもあるよ」などと気付いたことを伝え合いながら、散策が続いていく。 以前に取り組んだ事例ではありますが、毎年畑で「そら豆」を植えています。種まきから成長の観察、収穫をするなかで、「そら豆くんのベット」という絵本があります。2歳児クラスでよく使う絵本でもあります。そこで、2歳児クラスのおゆうぎ会の演目として「そら豆くんのベット」を選択しました。まだまだ言葉の発達もままならない中においての演目であり、さらには内容理解、登場人物の感情などの理解も十分でなかったため、次年度3歳児で再度同じ演目をした経緯があります。1年前との比較で登場人物の理解や気持ちの受け止め方にも大きな成長があり、熱の入った演目となりました。こういったことこそ、言葉の理解や表現に繋がり、言葉の掛け合いのセリフの理解、豊かな表現につながったものと思いますし、表記の「保育教諭等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。」ということを時間した覚えがあります。気持ちを言葉で表現することって難しいことではありますが、こどもの成長につながる言葉かけとしたい思います。
教育・保育要領解説55 2024/03/04 ク 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 2 保育教諭等は、園児が関心をもったことに存分に取り組めるような生活を展開する中で、園児一人一人の数量や図形、標識や文字などとの出会いや関心のもちようを把握し、それぞれの場面での園児の姿を捉え、その活動の広がりや深まりに応じて数量や文字などに親しめるよう、工夫しながら環境を整えることが大切である。その際、園児一人一人の発達の実情などに即して、関心がもてるように丁寧に援助するとともに、幼児期には、数量や文字などについて、単に正確な知識を獲得することを目的にするのではないことに十分留意する必要がある。 こうした幼児期の数量や図形、標識や文字などへの関心や感覚は、小学校の学習に関心をもって取り組み、実感を伴った理解につながるとともに、学んだことを日常生活の中で活用する態度にもなるものである。 幾何学模様、曼荼羅、ぬり絵、線のワーク、大きさ、重さなどなど、実感を持った取組、学んだことの日常生活での活用につながる経験って大事ですね。また、子ども達の言葉の発達においては、実際のものを見ることが先決で、その実体験から認識が始まり、イメージを持つことに繋がり、結果言葉の発達につながるとも言われています。実物を見ること、経験体験することが始まりのようです。
教育・保育要領解説54 2024/03/01 ク 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。 園児の数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚は、領域「環境」などで示されているように、日常生活の中で、数量や文字などに接しながらその役割に気付き、親しむ体験を通じて育まれていく。なお、数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚は、領域「環境」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は遊びや生活の中で、身近にある数字や文字に興味や関心をもったり、物を数えることを楽しんだりする場面が見られるなど、保育教諭等や友達と一緒に数量や図形、標識や文字などに触れ、親しむ体験を重ねていく。5歳児の後半になると、それまでの体験を基に、自分たちの遊びや生活の中で必要感をもって、多い少ないを比べるために物を数えたり、長さや広さなどの量を比べたり、様々な形を組み合わせて遊んだりすることなどを通して、数量や図形への興味や関心を深め、感覚が磨かれていく。また、遊びや生活の中で関係の深い標識や文字などに関心をもちながらその役割に気付いたり使ってみたりすることで、興味や関心を深め、感覚が磨かれていく。 例えば、二手に分かれて行う鬼遊びを繰り返し楽しむ中で、チームの人数や陣地の広さを同じにする必要性に気付き、自分たちで人数を数えて調整したり、陣地を歩測して確かめたりする。また、遊びに必要なものをつくる際に、空き箱や紙などの形や大きさ、長さなどを大まかに捉え、自分のイメージに合わせて選び、図形の特徴を生かして様々に組み合わせながら考えたとおりにつくり上げていく。 また、園内の各部屋などの入り口にあるマークと文字を合わせて見ながら標識がもつ機能を理解して、自分たちの学級等の標識や物を片付ける場所などの標識を工夫して作ったり、その過程で同じ形の文字を発見することを楽しんだりする。さらに、文字には人に思いなどを伝える役割があることに気付き、友達に「あしたもあそぼうね」と手紙を書きながら友達とのつながりを感じたりもする。 園生活の中で身近にある文字や数字に興味関心がわくような取り組みをしています。就学前に小学校の前倒しで算数を教えるのではなく、普段の生活や活動の中で数字や文字にかかわりを持つようにしています。また、泥団子遊びもそうですが、ブロック遊びなど立体的な感覚を十分に積むなど遊びの中で体感することにも取り組んでいます。大きさのイメージ作りや組み合わせなど遊びを通して学ぶことも大切にしたいと思います。