こども大綱16 2024/04/02 (3)こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する(続) また、保護者・養育者の「子育て」とは、乳幼児期だけのものではなく、こどもの誕生前から男女ともに始まっており、乳幼児期の後も、学童期、思春期、青年期を経て、おとなになるまで続くものとの認識の下、ライフステージを通じて、社会全体で子育て当事者を支えていく。子育て当事者が、こどもを産み、育てることを経済的理由で諦めることなく、身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てることができ、どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持つことができ、こどもを育てながら人生の幅を狭めずに夢を追いかけられるよう、多子やひとり親世帯に配慮しつつ、取組を進めていく。子育て当事者が、経済的な不安や孤立感を抱いたり、仕事との両立に悩んだりすることなく、また、過度な使命感や負担を抱くことなく、健康で、自己肯定感とゆとりを持って、こどもに向き合えるように取り組む。子育て当事者を社会全体で切れ目なく支えていくことは、こどもと子育て当事者の幸せにとって欠かせない。同時に若い世代にとって、子育てへの安心感や見通しを持つことにつながる。こども・若者や子育て当事者をめぐる課題が深刻化・複合化しており、単一分野の専門性のみでは解決できないとの認識の下、家庭、学校・園、児童福祉施設、企業、地域などの社会のあらゆる分野の全ての人々が学校・園等の場をプラットフォームとして相互に協力しつつ、関係機関や団体が密接にネットワークを形成し協働しながら、一体となって、こども・若者や子育て当事者を支える。 ネットワークの形成は大切なことですが、どこがどのように動くのか、机上議論だけでなく、ケースごとの実働体制とその後ろ盾が大切です。さらに繋がり、支援する体制も必要です。ところが、機関のそれぞれの所管が違うことに現場の混乱や複雑化が起きているのです。こども支援については学校がその中心となることが多いのですが、公立学校においても県立、市立、私学と異なり、自治体管轄も違い、対応が違ってくる。公教育の場だけを念頭にするのではなく、高校、大学、専門学校と様々な教育の場があり、絵に描いた餅では対応が出来ない、漏れることが多かった時代からの改善も必要ですね。子どもを取り巻く問題には、学校だけでなく様々な問題が関与しているのですから。連携のとり方の臨機さ、責任についても国がしっかり支援して欲しいですね。
こども大綱15 2024/04/01 新たな年度となりました。引き続き、園からの発信として「こども大綱」について連載していきます。今年度もよろしくお願いします。 (3)こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する こどもは、乳幼児期から学童期、思春期、青年期における様々な学びや体験を通じて成長し、若者として社会生活を送るようになる。おとなとして自分らしく社会生活を送ることができるようになるまでのこどもの成長の過程は、その置かれた環境にも大きく依存し、こどもによって様々であり、かつ、乳幼児期からの連続性を持つものである。円滑な社会生活を送ることができるようになる時期も個人差がある。 それぞれのこども・若者の状況に応じて必要な支援が、義務教育の開始・終了年齢や、成年年齢である18 歳、20 歳といった特定の年齢で途切れることなく行われ、乳幼児期から学童期・思春期・青年期を経て成人期への移行期にある若者が自分らしく社会生活を送ることができるようになるまでを、社会全体で切れ目なく支える。こどもが若者となり自分らしく社会生活送ることができるようになるまでの一連の過程において、様々な分野の関係機関・団体が有機的に連携し、教育・保育、保健、医療、療育、福祉を切れ目なく提供する。 記載のことが事項されることに期待をしましょう。しかしながら、「教育」を掲げても、文科省だの、こども家庭庁の管轄だの、公教育と私学だとか、いまだに管轄の違いがあるわけです。都道府県の管轄、市町村の管轄、さらには教育委員会の管轄、私学振興課の管轄、同じ「教育」において、一体となって取り組むことさえできていないことをどう改善するのか、大人の都合やエゴ、前例踏襲、メンツはもういらないのではないでしょうか。子ども達の教育といった視点で一体となった支援が必要に思います。このことによって不安になるのは子どもや保護者なのですから。連携だけでは解決しません。乳幼児期から成人期まで社会で支えるということですから、当然社会が資金の出どころ、いわゆる税金なのでしょう。管轄する施策、事案に対応する機関が一体でないことが問題ではないのでしょうか。教育と福祉に管轄の違いがあって、保育所と幼稚園での管轄の違いさえ解決できず、昭和、平成、令和と時代は進むものの、未だ解決できず早80年近く所管のメンツが優先されているように思います。連携を超え、一体となって支援する社会に期待しましょう。
こども大綱14 2024/03/29 (2)こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに進めていく こども・若者が、自らのことについて意見を形成し、その意見を表明することや、社会に参画することが、社会への影響力を発揮することにつながり、おとなは、こども・若者の最善の利益を実現する観点からこども・若者の意見を年齢や発達の程度に応じて尊重する。 こども・若者が意見表明をし、社会に参画する上でも意見形成は欠かせないものであることから、意見形成への支援を進め、意見を表明しやすい環境づくりを行う。 貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、不登校、障害・医療的ケア、非行などを始めとする困難な状況に置かれたこども・若者や、ヤングケアラー、社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者(いわゆるケアリーバー)、宗教二世、外国人のこどもなど、様々な状況にあって声を聴かれにくいこどもや若者、乳幼児を含む低年齢のこども、意見を表明することへの意欲や関心が必ずしも高くないこども・若者も自らの意見を持ち、それを表明することができるという認識の下、言語化された意見だけでなく様々な形で発する思いや願いについて汲み取るための十分な配慮を行う。 こどもや若者、子育て当事者が、安全に安心して意見を述べることができる場や機会をつくり、その意見をこども施策に反映させ、どのように反映されたのか、反映されない場合には理由などをフィードバックし、社会全体に広く発信する。これにより、こども施策の質を向上させるとともに、更なる意見の表明・参画につながる好循環をつくる。こども・若者と対等な目線で、対話しながら、こども・若者とともに社会課題を解決していくことは、こども・若者の自己実現を後押しするとともに、主体的に社会の形成に参画する態度を育み、ひいては民主主義の担い手の育成に資する。 報道でも子どもの意見を尊重することに対して、違和感を持った大人が多かったことかと驚きを感じました。これまで子どもは大人に従うもの、何もできないので大人が教えてあげなければといった考えでした。子どもを一人の人間として尊重してこなかった、さらには若者に対してもそのような見方が多かったことが人権意識に欠けていた先進国では珍しい国でもありました。さらには昨今の報道等であります部活動等においての暴言暴行もいまだにあります。理解できない指導者によって従うことを強要されていた時代の名残もあるのではなかろうかとも感じるところです。特に子どもを言葉や暴力で支配しようとしたり、決めつけ、最近の言葉で表現するなら常に「マウント」を取った言葉しか使わない大人にこのような傾向があるように感じます。あたらしいものを取り入れない、受け入れない、人権等に理解がない。そう感じています。 子どもの権利条約においても早くに批准しているものの、これまで法整備や施行がされてきませんでした。今やっと子どもの人権や権利といったことが叫ばれる時代になってきたのです。経済は先進国でしたが、人権や権利については相当な遅れをしていたと感じてしまいます。だから福祉においても高齢者等の福祉は先行するものの児童福祉については明らかな遅れであったと言わざるを得ません。巻き返しを期待しましょう。時代は令和ですよ。昭和の間には平成という時代もあったのですよ。 出典;日本ユニセフ
こども大綱13 2024/03/28 こども・若者が、多様な価値観に出会い、相互に人格と個性を尊重し合いながら、その多様性が尊重され、尊厳が重んぜられ、固定的な性別役割分担意識や特定の価値観、プレッシャーを押し付けられることなく、主体的に、自分らしく、幸福に暮らすことができるよう支えていく。性別にかかわらずそれぞれのこども・若者の可能性を広げていくことが重要であり、乳幼児期から心身の発達の過程においてジェンダーの視点を取り入れる。 思想・信条、人種、民族、国籍、障害の有無、性的指向及びジェンダーアイデンティティ、生い立ち、成育環境、家庭環境等によって差別的取扱いを受けることがないようにする。貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、暴力、経済的搾取、性犯罪や性暴力などの権利の侵害からこどもを守り、救済する。 こども基本法やこどもの権利条約の趣旨や内容を、こどもや若者や、子育て当事者、教育・保育に携わる者を始めとするおとなに対して広く周知し、社会全体で共有を図る。こどもや若者に関わる全ての施策において、こども・若者の視点や権利を主流化し、権利を基盤とした施策を推進する。 あえてこども基本法やこどもの権利条約の趣旨や内容を、こどもや若者や、子育て当事者、教育・保育に携わる者を始めとするおとなに対して広く周知し、社会全体で共有を図る。という文言は明らかにその考えが薄かったということでしょう。子どもの人権や社会における子どもの立場についていかに薄かったのか、軽視されてきたのかといったこともあります。だからこそこの明記によって社会の考えや受け止めが変わって欲しいし成長して欲しいですね。貧困によって排他されたり、チャンスさえもらえなかったり、虐待やいじめによる希望を失わせるような社会ではいけません。体罰・不適切な指導はあってはならないし、正当化されるものではありません。決めつける大人には理解してもらえないかも知れませんね。さらに犯罪に巻き込まれることもあってはならないことです。
こども大綱12 2024/03/27 (1)こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る こども・若者は、未来を担う存在であるとともに、今を生きている存在であり、保護者や社会の支えを受けながら、自立した個人として自己を確立していく、意見表明・参画と自己選択・自己決定・自己実現の主体である。つまり、こども・若者は、心身の発達の過程にあっても、乳幼児期から生まれながらに権利の主体である。 こども・若者を、多様な人格を持った個として尊重し、その権利を保障し、こども・若者の今とこれからにとっての最善の利益を図る。 こども・若者が、自らの権利、心や身体、社会に関する必要な情報や正しい知識を学ぶことができ、それらに基づいて将来を自らが選択でき、生活の場や政策決定の過程において安心して意見を言え、述べた意見が反映され、それにより周囲や社会が変わっていく体験を積み上げながら、希望と意欲に応じて将来を切り開いていけるよう、取り組んでいく。声を上げにくい状況にあるこども・若者に特に留意しつつ、「こどもとともに」という姿勢で、こどもや若者の自己選択・自己決定・自己実現を社会全体で後押しする。 こども・若者が希望や理想を掲げてもこれまでは学力や学んできたキャリア等において打ち消されてきた経緯もあります。また大人によって否定されたりすることで挫折を味わうこともあったはずです。出来る、できないで判断されてきた経緯も含めて、真に希望や目標が打ち消されない社会にも期待したいですね。そういったことについてもこれまで自己責任として打ちのめされてきたこともしっかり把握して欲しいですね。声をあげにくい環境がそうしてきた声をあげても虐げられてきたこともあるのです。こども若者の意見の尊重と実現できる社会の成長を期待します。