子どもの成長87 2026/07/14 完璧主義の追究は睡眠の質と関連がないが、完璧主義に伴う懸念は睡眠の質の低下と関連 研究の解析対象は、中国国内のさまざまな競技のアスリート、計208人。年齢は19.9±2.52歳で、女性が62.0%を占め、22.6%が団体競技、31.3%が個人競技、46.1%は団体競技と個人競技の双方を行っていた。競技レベルは、中国における2級(中国国家体育総局によるカテゴリー分類。バスケットボールを例にとると、全国ユース大会で4位以上に入ったことのあるチームでプレー)が24.5%、1級(全国大会で4位以上に入ったことのあるチーム)が55.8%、国際大会参加レベルが19.7%。 研究参加者の完璧主義傾向については、四つのカテゴリーに分かれた計25項目の質問から判断した。質問項目は、例えば、「できる限り完璧であろうと努力する」、「すべてが完璧にいかないと非常にストレスを感じる」、「スポーツに関して非常に高い目標を持っている」、「競技中にミスをした場合、人々は私を軽蔑するだろう」など。また「完璧さの追究」と「不完全であることの否定的反応」についても評価した。 精神的な強靭さの評価には、先行研究で妥当性が検証済みの質問票(Mental Toughness Inventory;MTI)を用いた。睡眠の質の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を用いた。 完璧主義に伴う懸念が睡眠の質の低さと関連し、精神的強靭さは睡眠の質の高さと関連 得られた変数の相関関係を分析した結果、完璧主義の追究は、直接的には睡眠の質との有意な関連が認められなかったが(r=0.092)、完璧主義に伴う懸念(r=0.549、p<0.01)や精神的強靭さ(r=0.161、p<0.05)と有意な正の相関が認められた。また、完璧主義に伴う懸念は、精神的強靭さ(r=-0.276、p<0.01)と有意な負の相関が認められ、かつ、睡眠の質(r=-0.292、p<0.01)と有意な負の相関が認められた。一方、精神的強靭さは、睡眠の質と正の有意な相関が認められた(r=0.333、p<0.01)。 精神的強靭さは、完璧主義に伴う懸念と睡眠の質の低下との関連を抑制する 次に、構造方程式モデリングに基づくパス解析によって、完璧主義に伴う懸念と睡眠の質との関連に及ぼす精神的強靭さの媒介効果を検討した。 その結果、完璧主義に伴う懸念は、睡眠の質の低下と直接関連し(係数-0.22、p<0.05)、また精神的強靭さの低さと関連していた(係数-0.34、p<0.01)。一方、精神的に強靭であることは睡眠の質の高さと関連していた(係数0.29、p<0.01)。ただし、精神的強靭さの媒介は、完璧主義に伴う懸念と睡眠の低さとの関連を完全には補正できず、有意性が残されていた(係数-0.10、p<0.001)。 睡眠の質を第一に考えるなら、完璧主義ではないほうがよい可能性 以上より著者らは、当初の仮説の(1)は部分的に支持され、(2)は完全に支持され、(3)は完全には支持されなかったとし、結論を「アスリートの完璧主義は睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があり、精神的強靭さはその関係を部分的に媒介すると考えられる。ただし、スリートの完璧主義の追究と睡眠の質との間には有意な関連はなかった。この結果は、アスリートが睡眠の質を高めようとする場合、精神的強靭性を高め、完璧主義的な傾向を避けることが役立つ可能性を示唆している」と総括している。