MENU CLOSE
TEL

園からの発信

シリーズ幼保連携型認定こども園 17

2023/11/08

1 乳幼児期の特性

(1) 乳幼児期の生活

③ 興味や関心

生活の場の広がりや対人関係の広がりに伴って、園児の興味や関心は生活の中で様々な対象に向けられて広がっていく。

生活の場が家庭から地域、幼保連携型認定こども園へと広がるにつれて、園児は、興味や関心を抱き、好奇心や探究心を呼び起こされるような様々な事物や現象に出会うことになる。そのようなものに対する興味や関心は、他の園児や保育教諭等と感動を共有したり、共にその対象に関わって活動を展開したりすることによって広げられ、高められていく。

また、一人では興味や関心をもたなかった対象に対しても他の園児に接することによって、あるいは、保育教諭等の援助などによって、自分もそれに興味や関心をもつようになる。このような興味や関心は、その対象と十分に関わり合い、好奇心や探究心を満足させながら、自分でよく見たり、取り扱ったりすることにより、更に高まり、思考力の基礎を培っていくことから、園児が様々な対象と十分に関わり合えるようにすることが大切である。

また、他の園児や保育教諭等と言葉により対話することがその過程を更に深めていくことにもなる。

園児は、同年代の園児の行動に影響されて行動を起こしたり、保護者や保育教諭等の親しみをもっている大人の行動を模倣し、同じようなことをやってみようとすることが多い。したがって、自然や出来事などの様々な対象へ園児の興味や関心を広げるためには、他の園児の存在や保育教諭等の言動が重要な意味をもつことになる。

 

同世代の赤ちゃんが寝返りをする姿を見て寝返りをする。ハイハイをしたらハイハイを真似る。互いに影響しあって、さらには大人の真似をする姿こそ成長のあかしです。つかまり立ちも同じですよね。なので、その時期からずーっと一緒に過ごすことで相手のことを少しずつ理解していくのでしょう。さらに同じ遊びをして共鳴し、共有することで仲間意識や友達意識が深まるように思います。そこにその子たちのゆったりとしたリズムやせわしく動いたりする動きなどの共鳴もあり、どうやらその空間で友達意識や相手を思いやる気持ちなども出てくるように感じています。それこそ集団生活でしか学べないもののように感じます。個別の対応と数名の集団を少しずつ感じる乳児期の始まりです。

シリーズ幼保連携型認定こども園 16

2023/11/07

1 乳幼児期の特性

(1) 乳幼児期の生活

② 他者との関係

乳幼児期は、家庭における保護者などとの関係だけでなく、他の園児や家族以外の人々の存在に気付き始め、次第に関わりを求めるようになってくる。初めは、保護者や保育教諭等の大人との関わりが強いものの、同年代の園児がいると、別々の活動をしながらも同じ場所で過ごすことで満足する様子が見られるが、やがて一緒に遊ぶようになることで、次第に、言葉を交わしたり、物のやり取りをしたりするなどの関わりをもつようになっていく。そして、ときには自己主張のぶつかり合いや友達と折り合いを付ける体験を重ねながら友達関係が生まれ、深まっていく。やがて、園などでの集団生活の場で共通の興味や関心をもって生活を展開する楽しさを味わうことができるようになると、更に友達関係は広がりを見せるようになっていく。このような対人関係の広がりの中で園児は互いに見たり、聞いたりしたことなどを言葉や他の様々な方法で伝え合うことによって、今までの自分のイメージにない世界に出会うことになる。

園児はこのようにして、一人で活動するよりも、何人かの友達と一緒に活動することで、生活がより豊かに楽しく展開できることを体験し、友達がいることの楽しさと大切さに気付いていくことになる。それと同時に、園児は、友達との関わりを通して様々な感情を体験していくことになる。友達と一緒に活動する楽しさや喜び、また、自己主張のぶつかり合いなどによる怒り、悲しさ、寂しさなどを味わう体験を積み重ねることによって、次第に、相手も自分も互いに違う主張や感情をもった存在であることにも気付き、その相手も一緒に楽しく遊んだり、生活したりできるよう、自分の気持ちを調整していく。

このような他者との関係の広がりはその深まりにもつながっていく。またそれらは自我の形成の過程でもある。乳幼児期には、自我が芽生え、自己を表出することが中心の生活から、他者と関わり合う生活を通して、他者の存在を意識し、自己を抑制しようとする気持ちも生まれるようになり、自我の発達の基礎が築かれていく。

 

他者との関係を生活の場で体験できるのは集団生活でしかできません。体験により気づかれるものでもあります。これは赤ちゃんの時からすでにその様子が伺えます。友達がハイハイしたら真似てみる。友達が遊んでいる遊具が気になる、欲しくなる。いやだと泣かれてしまって相手が嫌がることの礎も感じ取っていきます。そこで「駄目よ!」と叱っても子どもにとっては大声にしか聞こえません。恐怖心は芽生えるでしょう。大人に対して。遊具も同じものを与えても納得いてはくれません。あの子の持っているものが欲しくなる欲求を表現しているものと思います。それを辞めさせるには単に別々にした方がいいのか、そうすると一向に人間関係は築けなくなりますよね。個別の対応も大切にして、数名の同じ程度の発達時期の子ども達との関わりを進めるときです。

シリーズ幼保連携型認定こども園 15

2023/11/06

1 乳幼児期の特性

(1) 乳幼児期の生活

① 生活の場

乳幼児期は、運動機能が急速に発達し、体を通して様々な環境に関わる中でいろいろなことをやってみようとする活動意欲も高まる時期である。保護者や周囲の大人との愛情ある関わりの中で見守られているという安心感に支えられて乳幼児の行動範囲は広がりを見せ始める。そして、いろいろな場所に出掛けて行き、そこにある様々なものに心を動かされたり、それを用いて遊んだりすることにより、興味や関心が広がり、それにつれて乳幼児の生活の場も次第に広がっていく。特に、乳幼児の生活の場が最も大きく広がり、様々な環境との関わりが質的にも、量的にも深まりを見せるのは園生活などにおける集団生活が始まってからである

多くの園児にとって園生活は、家庭から離れて主に同年代の園児と日々一緒に過ごす集団生活である。幼保連携型認定こども園においては、保育教諭等や他の園児と生活を共にしながら園児一人一人の世界から徐々に他者と感動などを共有し、イメージを伝え合うなど互いに影響を及ぼし合い、興味や関心の幅を広げ、言葉を獲得し、表現する喜びを味わう。また、大勢の友達と活動を展開する充実感や満足感をもつことによって、更に自分の生活を広げていこうとする意欲が育てられていくことになる。しかし、このような集団での生活の中では、親しい人間関係の下で営まれる家庭生活とは異なり、自分一人でやり遂げなければならないことや解決しなければならないことに出会ったり、その場におけるきまりを守ったり、他の人の思いを大切にしなければならなかったりするなど、自分の意志を通すことができるとは限らない状況になることもある。このような状況で保育教諭等の大人の手を借りながら、他の園児と話し合うなどして、その園児なりに解決し、危機を乗り越える経験を重ねることにより、園児一人一人の自立的な生活態度が次第に培われていく

また、園児が園生活の流れを把握できていないと、今目の前で起きていることにとらわれ、やりたいことができないと泣く、怒るなどの情緒的な反応を示すことがある。園生活の中で、活動の区切りに保育教諭等や友達と共に振り返りの経験を積むことや保育教諭等が適切な言葉掛けをすることなどにより、園児は徐々に過去と今、今と未来の関係に気付くようになり、活動の見通しや、期待がもてるようになっていく。

園児は、それぞれの家庭や地域等で得た生活経験を基にして園生活で様々な活動を展開し、また、園生活で得た経験を家庭や地域での生活に生かしている。生活の場の広がりの中で、様々な出来事や暮らしの中の文化的な事物や事象、多様な人々との出会いや関わり合いを通して、園児が必要な体験を積み重ねていく。

このような生活の広がりに対して、園児は期待と同時に不安感や緊張感を抱いていることが多い。家庭や地域での生活において乳幼児が安心して依存できる保護者や身近な大人の存在が必要であるのと同様に、園生活が園児にとって安心して過ごすことができる生活の場となるためには、園児の行動を温かく見守り、適切な援助を行う保育教諭等の存在が不可欠である。

 

子ども理解につながる記述です。子どもの成長にとっての生活の場であり物的環境、人的環境を整えていきたいですね。日々子どもの様子を見て、保育を省みて、子どもの次の成長の環境を整えていかなくてはなりません。子どもの成長に気づくよう敏感でありたいと思います。

 

シリーズ幼保連携型認定こども園 14

2023/11/02

第2節 乳幼児期の特性と幼保連携型認定こども園における教育及び保育の役割

1 乳幼児期の特性

(1) 乳幼児期の生活

乳幼児期の子どもは、保護者や保育教諭等の特定の大人との親しい人間関係を軸にして営まれる生活からより広い世界に目を向け始める。そして、生活の場、他者との関係、興味や関心などが急激に広がり、依存から自立に向かう。幼保連携型認定こども園では、以下のような特性を踏まえ、乳幼児にとってふさわしい生活を保障していく必要がある。

 

この部分でどうしても気になるのですが、よくいろいろな園の「子どもの担当制」ということを耳にします。記載には、保護者や保育教諭等の特定の大人との親しい人間関係を軸にしてとの記載なのですが、完全なる担当制は果たしてできるのかとも疑問があります。必ずしも保育者と子どもを決まった完全な担当とすることは子どもにとって本当にいいことなのでしょうか。むしろ緩やかな担当制をとった方が、子どもと保育者の関係性はその後の拡がりに影響するのではないだろうかと感じています。完全担当制ですと、子どもが園にいる時間の方が職員の勤務時間より長く、職員が休みの時にはどのような対応をしたらいいのだろうか。子どもも大人も不安になってきます。「広い世界に目を向け始める」時期だからこそ、固定した大人との関係性だけでは先の生活の見通しがつきにくくなるのではと思います。固定した依存では自立を妨げるのではないでしょうか。逆に大人も苦しくなると考えられます。子育ての孤立で母親の負担感が増すことと同じのようにも思います。

 

シリーズ幼保連携型認定こども園 13

2023/11/01

3 改訂の要点

(4) 子育ての支援

子育ての支援に関して、特に以下の事項の内容の改善・充実を図った。

○子育ての支援全般に関わる事項について

・保護者の自己決定の尊重や幼保連携型認定こども園の特性を生かすこと

・園全体の体制構築に努めることや地域の関係機関との連携構築、子どものプライバシーの保護・秘密保持

○幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する事項について

・多様な生活形態の保護者に対する教育及び保育の活動等への参加の工夫

・保護者同士の相互理解や気付き合い等への工夫や配慮

・保護者の多様化した教育及び保育の需要への対応等

○地域における子育て家庭の保護者等に対する事項について

・地域の子どもに対する一時預かり事業などと教育及び保育との関連への考慮

・幼保連携型認定こども園の地域における役割等

 

これまでも子育て支援の大切さは言われてきました。これまではどちらかというと利用する保護者が施設や内容を求めて訪問されることが多く見受けられましたが、今回の改訂では、園から子育て家庭へのアプローチを主眼にしています。地域における役割という文言がそのことを表しています。このことで孤立した子育てや不安を少しでも支援しようといった視点であります。もちろん、これまで園でもそうですが、保護者の方からの相談を受けることも多く、入園などの園見学の際にもいろいろな不安や仕事のことなど多くの相談を受けています。私たちは可能な限りお話を聞く体制を続けたいと思います。子育て支援センターなど拠点事業やイベントをするだけが相談や支援業務だとは思っていません。しっかり寄り添いながらの支援をしたいと考えています。

 

top