こども大綱20 2024/04/08 (5)若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路の打破に取り組む若い世代が「人生のラッシュアワー」と言われる様々なライフイベントが重なる時期において、社会の中で自らを活かす場を持つことができ、現在の所得や将来の見通しを持てるようにする。 若い世代の雇用と所得環境の安定を図り、経済的基盤を確保する。若い世代が将来を見通して安心して仕事におけるキャリアとライフイベントの双方にチャレンジでき、さらには趣味等を含むプライベートとの両立もできる環境を整備する。若い世代の将来にわたる生活の基盤を確保し、若い世代が将来に希望を持って生きられる社会をつくることは、少子化の克服や貧困の解消・貧困の連鎖の防止のための鍵である。 もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものである。また、家族の在り方や家族を取り巻く環境が多様化している。個人の決定に対し、特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることは決してあってはならない。多様な価値観・考え方を尊重することを大前提とし、どのような選択をしても不利を被らないようにすることが重要である。その上で、若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が、自らの主体的な選択により、結婚し、こどもを産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことが少子化対策の基本である。 こどもや若者が、発達の程度に応じて、性と生殖に関する健康と権利、性情報への対処や互いを尊重し合う人間関係などを知る機会や場を充実していく。妊娠後やこどもが生まれた後の支援に加えて、これから結婚や妊娠を希望する方への希望に応じた支援を進める。 共働き世帯が増加し、また、結婚・出産後も仕事を続けたい人が多くなっている中、その両立を支援していくことが重要であるため、共働き・共育てを推進し、家庭内において育児負担が女性に集中している実態を変え、男性の家事や子育てへの参画を促進する。固定的性別役割分担意識等を前提とした働き方や暮らし方を見直し、子育て当事者の女性と男性がともに、こどもと過ごす時間をつくることができ、仕事などで自己実現をはかりつつ相互に協力しながら子育てをすることができ、自らのキャリアを犠牲にすることなく、むしろ子育て経験を仕事等に活かすなど自己実現をはかりつつそれを職場が応援し、地域社会全体で支援するよう取り組む。また、子育て当事者が、共働き・共育てを実現するために必要な情報や支援が得られるようにする。 企業や地域社会、子育てを終えられた方々や子育てされていない方々も含めて、皆が参加して、こども・若者や子育てをめぐる問題は日本の未来に関わるという意識を持ち、こどもや家族が大事にされるよう、社会全体の構造や意識を変えていく。 若い世代の将来にわたる生活の基盤を確保し、希望を持って生きられる社会をつくることを実現するために社会全体の構造や意識を変えていくといったことを明文化しています。そのための方策がさらに若者に負担をかけることになることや、将来に向けて国の負債になるようなことであれば本末転倒です。難しいことですが今の若者を支援することで将来に負担が先送りされることの繰り返しは避けて頂きたい。これまで国の施策においての多くが先送りで財源を確保してきました。税収をあげることで現行の負担もあるのです。すべての国民が負担するといった考えが根底なのかどうか、若い世代の雇用と所得環境の安定を図り、経済的基盤を確保するために誰かが犠牲になることも避けなければなりません。とても難しい問題です。
こども大綱19 2024/04/05 こども・若者や家庭に支援を届けるに当たっては、支援が必要でも自覚できないなどSOSを発すること自体が困難、相談支援の情報を知らない、知っていたとしても申請が複雑で難しいといった課題があるほか、SOSを発しても周囲が受け取れていないことがある。こども・若者や家庭が、必要な情報を得られ、必要な支援を受けられるよう、地域における関係機関やNPO等の民間団体等が連携し、当事者に寄り添いつつ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届ける。 幼児教育や保育に携わる者、教職員、青少年教育施設の職員、児童相談所や児童福祉施設等の職員及び里親、障害児支援に携わる者、民生委員・児童委員、保護司、地域でこども・若者や子育てへの支援を担っているNPO等の民間団体の職員やボランティアなど、こども・若者の育ちや困難に対する支援、子育ての支援に携わる関係者が、こどもの権利を理解し、こどもの声を傾聴するゆとりを持てるよう、また自身が喜びや幸せ、充実を感じられるよう、職場環境や活動環境等の改善に取り組むとともに、多様な人材の確保・養成、専門性や質の向上、メンタルケアなどを充実させる。 誤解を受けるかもしれませんが、複雑な家庭状況や経済状況を他に相談すること自体を拒まれる家庭もある。もちろんそういった支援が必要だとレッテルを張られることも嫌なことです。ただし、子どもの成長については何とかしたいという願いは共通ではないでしょうか。そういった心情をも踏まえ、国や自治体により支援が必要です。子どもの健やかな成長は誰もが望んでいることです。
こども大綱18 2024/04/04 こども・若者が全国どこにいても必要な支援が受けられる環境を整備するとともに、全てのこども・若者や家庭を対象とした乳幼児期からの切れ目ない予防的な関わりを強化する。困難な状況にあるこども・若者や家庭を誰一人取り残さず、その特性や支援ニーズに応じてきめ細かい支援や合理的配慮を行う。ひとり親家庭など貧困の状況にある家庭が抱える様々な課題や個別のニーズに対応した支援を進めることにより、貧困の解消・貧困の連鎖の防止に取り組む。インクルージョンの観点から、一般施策において、困難な状況にあるこども・若者を受け止められる施策を講じる。こども・若者や家庭が抱える困難や課題は、様々な要因が複合的に重なり合って、いじめ、不登校、ひきこもり、孤独・孤立、非行といった様々な形態で表出するものであり、表出している課題に係るこども・若者への支援に加え、保護者への支援を始めとする成育環境や社会的養護への対応も含め、重層的にアプローチする。 保護者がいない又は保護者による虐待などの理由により、こどもを家庭において養育することが困難又は適当ではない場合においては、永続的解決(パーマネンシー保障)を目指して、養育環境の改善や家庭復帰を最大限に支援し、親族等による養育への移行支援、特別養子縁組の判断・支援に取り組みながら、「家庭における養育環境と同様の養育環境」である里親等、「できる限り良好な家庭的環境」の児童養護施設等において安定的、継続的な養育を提供する。 地方に行けば行くほど保育施設では少子化で運営ができなくなって休園措置とならざるを得ない地域も多く存在しています。子どもがその地域にいる限り、どんなに少ない人数になろうとも良質な保育環境が保証されるべきです。しかし残念ながら、国や自治体からの支援は乏しく、子どもが少なくなれば成り立たず、淘汰することしか方策がないのが現状です。地域から隣町や隣の自治体まで行かなくては保育や教育は受けられなくなってきています。財政的にはそのようがよいのかもしれませんが、生まれた地域で充実した質の高い保育や教育が受けられることが大切であり、どのような地域であろうとも質の高い教育保育が受けられる政策を望みます。
こども大綱17 2024/04/03 (4)良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする 貧困と格差はこどもやその家族の幸せな状態を損ね、人生における選択可能性を制約し、ひいては社会の安定と持続性の低下にもつながる。このため、貧困と格差の解消を図ることは、良好な成育環境を確保し、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにするための前提であり、全てのこども施策の基盤となる。 乳幼児期からの安定した愛着(アタッチメント)の形成を保障するとともに、愛着を土台として、こども・若者の良好な成育環境を保障し、貧困と格差の解消を図り、全てのこども・若者が、相互に人格と個性を尊重されながら、安全で安心して過ごすことができる多くの居場所を持ち、様々な学びや多様な体験活動・外遊びの機会を得ることを通じて、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長し、尊厳が重んぜられ、自分らしく社会生活を営むことができるように取り組む。 まずもって貧困の要因となっていることへの支援、次に経済支援ではないでしょうか。経済支援が先んじられますが、要因となっていることの解決が先です。同時に経済的支援。さらに良質な成育環境の確保。このことの充実のために一つとして就学前の施設の充実があげられます。国はようやく75年ぶりに職員の配置基準の改善に着手します。そこには保育施設側の質の改善の必要です。受け手側の職員の質の改善も言われています。しっかりと受け止め、保育施設にかかわる良質な保育環境に取り組むための施策も大切にして欲しいですね。公教育の充実と質の向上は言うまでもありませんが、子どもの成長を支える根幹となる就学前の支援や保育の充実もとても大事なのです。