教育・保育要領解説45 2024/02/16 エ 道徳性・規範意識の芽生え 2 この頃の園児は、遊びの中で起きるいざこざなどの場面において、友達の気持ちに共感したり、より楽しく遊べるように提案したりなどして、自分たちで解決したり遊びを継続したりするようになる。 例えば、大勢でルールのある遊びを楽しんでいる中で、ルールを守っていても負け続けることに不満を感じた園児が、気持ちが高じて相手をたたいたことからけんかになり、ゲームが中断する。参加している園児が集まってきて、それぞれの言い分を聞いている。「負けてばっかりだといやだよね」「だけど、たたいたらだめだよ。今のは痛かったと思うよ」「そっちのチームに強い人が多いから、負けてばっかりだと思う」「じゃあ、3回やったらチームを変えるのはどう」などと、それぞれの園児が自分の体験を基に、友達の気持ちに共感したり、状況を解決するために提案したりすることにより続ける遊びは、今までよりも楽しくなっていく。その過程では、自分の行動が正しいと思っていても、話し合いの中で友達の納得できない思いを受け止めたり、友達に気持ちを受け止めてもらったことで、自分の行動を振り返って相手に謝ったり、気持ちを切り替えたりするなどの姿が見られる。このような出来事を交えながら更に遊び込む中で、より面白くなるようにルールをつくり替えたり、年下の園児が加われば、仲間として一緒に楽しめるように特例をつくったりするようになる。 子ども同志で納得いくよう工夫をしたり、ルールを変えるといったことはよく見かけます。同世代や異年齢様々な年齢層や習熟度によっても変えることのできる子ども達であってほしいと思います。そこには相手の気持ちを思うことが根幹となります。決して年下の子が不利になるようなことは子ども達はしませんし、大人も気づけば修正を促すことによって道徳性や規範意識は育まれると感じています。特に近年、兄弟児が少ないことや周りに子どもが少ないといった少子社会の中で、子ども同志の関わりは就学前の保育施設の他にはできない環境です。同世代だけでなく、異年齢での活動と指針では明記しており、人の育ちにおいては道徳性や規範意識の獲得には欠かせない施設であると思います。少子化であるからこそ同世代や異年齢で多くの他者と関わる経験にて育まれることが大切です。