教育・保育要領解説44 2024/02/15 エ 道徳性・規範意識の芽生え 友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。 道徳性・規範意識の芽生えは、領域「人間関係」などで示されているように、幼保連携型認定こども園の生活における他の園児との関わりにおいて、自分の感情や意思を表現しながら、ときには自己主張のぶつかり合いによる葛藤などを通して互いに理解し合う体験を重ねる中で育まれていく。なお、道徳性・規範意識の芽生えは、領域「人間関係」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は、他の園児と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことがあることを分かり、考えながら行動するようになっていく。5歳児の後半には、いざこざなどうまくいかないことを乗り越える体験を重ねることを通して人間関係が深まり、友達や周囲の人の気持ちに触れて、相手の気持ちに共感したり、相手の視点から自分の行動を振り返ったりして、考えながら行動する姿が見られるようになる。また、友達と様々な体験を重ねることを通して人間関係が深まる中で、きまりを守る必要性が分かり、友達と一緒に心地よく生活したり、より遊びを楽しくしたりするために、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようにもなる。 人が嫌な思いをしないことは社会に出ても同じです。世の中はルールがあり、モラルもあります。子ども同志の遊びの中で、自分たちでルールを作ったり、トラブルがあっても言葉で互いが納得するよう話をしたりするなどのことを多く経験すべきです。自分の意見に賛同するよう強い口調になったり、いやな態度をとると相手は嫌な思いをしてしまうことなども経験によって学んでいきます。ところがなぜだか学校に上がるといじめたり暴力を振るったりして解決や従わせようとしたりすることがいわれます。常に自分のことばかりの経験しかないとそのような行動に出てしまったり、周りがそういった解決方法しかできなかったりすると顕著になるのではないでしょうか。またそういった行為のみしか見たことの経験しかなければ、別の解決方法など知る由もありません。道徳心や規範意識については交通ルールを守るといったことだけでなく、人の気持ちに共感したり、寄り添う経験がなければ育たないのかもしれません。