子どもの成長43 2026/05/13 「痩せていても食事を制限してしまう」 研究の背景:多施設共同研究で十分なサンプルを確保して網羅的に解析 神経性やせ症は代表的な摂食障害であり、太ることへの恐怖やゆがんだボディイメージなどから、極端な食事制限を続けて深刻な体重減少に至る精神疾患。米国の調査では生涯有病率は女性0.9%、男性0.3%であり、女性の有病率は、代表的な精神疾患である統合失調症を上回るほど一般的。また、標準化死亡率は5.86と、精神疾患の中で最も高い重篤な疾患と言える。 神経性やせ症では、食事制限による栄養不足が脳の機能変化を引き起こし、それがさらに太ることへの恐怖や身体への不満を増大させ、さらなる食事制限を招くという「悪循環」が生じていると考えられている。この悪循環の中核をなしていると考えられているのが、脳の「島皮質」と呼ばれる部位の機能異常だ。島皮質は、身体感覚や内臓感覚、嫌悪感や恐怖といった感情、そして味覚や食べ物に対する判断に深く関与している。 同研究チームはこれまでにも、脳の活動状態を調べることができるfMRIを用いて、島皮質の安静時の機能的結合性を調査する研究を数多く行い、神経性やせ症では島皮質の異常活動がみられることを繰り返し報告してきた。 ※機能的結合性:脳の領域間の機能的な結びつきの強さ。fMRIで捉えられる脳の各領域における血中の酸素濃度変動がどの程度同調しているかを基に算出される。 しかし、先行研究はサンプルサイズが小さく、さらに解析の際に島皮質を一つのまとまった領域として扱っていたため、詳細な機能変化の解明には限界があった。近年の研究では島皮質は細かく機能分化しており、身体感覚処理、情動処理、味覚処理など領域ごとに異なる役割をもつことが明らかになっている。 本研究では、多施設共同研究により十分なサンプルサイズを確保したうえで、島皮質を機能別に六つの領域に分け、それぞれの領域と全脳の安静時機能的結合性を解析することで、神経性やせ症において生じている島皮質の機能異常を網羅的に解明することを目指した。