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2024年 11月

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 39

2024/11/22

○ なお、特別な配慮を必要とする子供にとって、幼児教育と小学校教育との円滑な接続とともに、幼児教育施設での生活における支援も重要である。幼児教育施設においては、一人一人に応じた指導を重視する幼児教育のよさを生かしながら、当該子供の実態に応じた適切な支援を行うとともに、共生社会の形成に向けて、将来、特別な配慮を必要とする子供が地域社会の中で積極的に活動し、その一員として豊かに生きることができるよう、地域の同世代の子供や人々との交流等を通して、地域での生活基盤を形成することが大切である。さらに、特別な配慮を必要とする子供の思いや状況等を先生が他の子供に伝え、クラスでの生活が、互いにとって豊かな時間となるクラス経営を行い、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むことで、子供が共生社会の担い手として育っていけるようにすることが大切である。

○ 各幼児教育施設、小学校、特別支援学校のみでは対応が困難な課題については、支援ネットワークや協力リソースを活用しながら、教育・福祉等の関係機関と連携・協働していくことが重要である。地域において、子供にとってのセーフティネットとしての役割を含めた幼児教育施設、小学校、特別支援学校に期待されている役割を明確にし、支援ネットワークの中で共有を図っていく必要がある。

②好事例の収集

○ 子供一人一人の多様性に配慮し、学びや成長を促すような教育の充実を図るとともに、幼児教育の成果を小学校教育につなげるため、幼保小における好事例等を収集・蓄積して活用していく必要がある。また、家庭とも共有し、これらの取組の評価・検証による支援策の改善につなげていく必要がある。

 

保護者もそうですがどこにどう相談すべきなのかがわからないのが現社会ではないですか。ネットワークはあっても結局支援センター、保健センターだよりのように感じています。実質と言うか、すぐに様々な支援ができる社会の構築の上に就学前施設と学校との連携が必要です。好事例を見聞きしても、すぐに出来ないことの理由付け探しでは進歩しません。活用していくことや取り組むことが大切で、そこには公的な支援も必要だと思います。支援する民間団体等についても公的支援がなければ運営さえできません。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 38

2024/11/21

○ 外国籍等の子供が円滑に小学校や特別支援学校に進学し、進学後の学校生活に適応できるよう、地方自治体は、幼児教育施設と小学校・特別支援学校と連携を図りながら、子供やその保護者に対する日本語指導、就学ガイダンス、就学相談等の取組を充実する必要がある。

〇 幼児教育施設においては、外国籍等の子供が日本語に親しむことができるようにするとともに、家庭によっては、家庭において母語を使用していること等についても配慮することが必要である。また、外国籍等の子供との触れ合いを通して、子供に多様な文化的・言語的背景を尊重する姿勢を育み、国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすることが必要である。その際、「多言語の学校文書」や「日本語指導・教科指導のための教材」等が検索可能な情報検索サイト「かすたねっと」の有効活用を促すことが重要である。さらに、国や地方自治体においては、指導上の留意事項等の整理に関する検討を進めるとともに、研修プログラムを開発し、研修に活用できる資料や教材を作成することが必要である。

○ 外国籍等の子供については、特に支障なく幼児教育施設での生活を送っているように見えても、他の子供の様子を見て行動しているだけで先生の話していることを理解していない場合もある。幼児教育施設は、一人一人に応じた指導を重視する幼児教育のよさを生かしながら幼児の実態に応じて日本語に親しめるようにするとともに、日本語をどの程度理解できるか、外国籍等の子供が有する文化的な背景等を踏まえ、どのような支援を行ったか等について、家庭との連携を図りながら、小学校・特別支援学校に引き継ぐことにより、小学校・特別支援学校においても必要な支援が受けられるようにすることが大切である。

 

外国籍の子どもも全国どの地域においても対応が同じように図られることも大切です。この国で幼少期を過ごす子どもにとって不自由なく過ごせることも大切ですね。もちろん受け入れ側が外国の文化や習慣にも理解を示す必要があります。子どもを預かるといった視点だけでなく、すべての子どもの成長を支えるためには更なる専門性や知識の習得とそのことを共有することも大切だと感じます。ただ、これまで以上に役割が増えてくるわけで、専門的知識を持った職員の配置も必要なのかもしれません。

 

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 37

2024/11/20

○ 障害のある子供等の指導に当たっては、障害の状態等に応じた効果的な指導を行うための個別の指導計画や、家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携し一貫した支援を行うための個別の教育支援計画を作成し活用すること等により、子供一人一人の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うことが重要である。個別の指導計画は、子供一人一人の実態に応じて適切な指導を行うために幼児教育施設で作成されるものであるが、その際、子供が苦手とすることだけではなく、これまで子供に対して行われてきた教育実践や子供の学び・成長を伝える観点から作成することも必要である。

○ 小学校や特別支援学校への入学に当たっては、幼児教育施設は、幼児教育施設での子供の様子や過ごし方、具体的な支援方法や内容等について、家庭との連携を図りながら、小学校・特別支援学校に引き継ぐことにより、障害のある子供等が一貫した支援を受けられるようにすることが必要である。このような引継ぎに当たっては、小学校・特別支援学校の先生が事前に子供の幼児教育施設での過ごし方を見て具体的な支援のヒントを学ぶとともに、幼児教育施設と小学校・特別支援学校が障害のある子供等の得意なことや困難なこと、保護者の要望等について共有し、相談し合える関係をつくることが大切である。

 

障害のある子供等の指導とされると何かさせなければならないとか教え込まなければならないと受け止める指導者もいるかもしれません。まずもってここに誤解があるのではないでしょうか。また、ここに書かれているものは地域によって全くなされていない部分も多く、このことについては全国共通で、就学前の施設と学校との共有が密に図られるよう希望するものです。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 36

2024/11/19

(2)目指す方向性

①特別な配慮を必要とする子供と家庭のための幼保小の接続

○ 全ての子供に等しく学びや生活の基盤を保障していくことが必要であり、そのためには、子供の多様性を尊重し、幼児教育施設や小学校・特別支援学校と母子保健、医療、児童発達支援センターも含む福祉等の関係機関との連携が不可欠である。特に地方自治体においては、子育て世代包括支援センターや乳幼児健診の機会の活用等の取組を推進するとともに、医療情報連携ネットワークとの連携を進めるなど、幼児教育施設・小学校と、母子保健、医療、福祉等の関係機関との連携強化を図り、切れ目ない支援を行うことが必要である。

○ 国や地方自治体においては、幼保小における障害のある子供等に対する教育の充実、それを支える関係機関・部局と連携した切れ目ない支援を行うため、障害のある子供等の受入れに当たっての体制整備の在り方や指導上の留意事項等に関する検討を進めるとともに、研修プログラムを開発し、研修に活用できる資料や教材を作成することが必要である。その際、特別支援学校に進学する子供もいることを踏まえることが求められる。また、幼児教育施設は、乳幼児健診や就学時健診をはじめ、母子保健、医療、福祉等の関係機関と連携を図りながら、日々の行動観察において発達障害等を早期発見し、一人一人に応じた指導を重視する幼児教育のよさを生かしながら障害の状態等に応じた支援を行うよう努めることが必要である。

 

「全ての子供に等しく学びや生活の基盤を保障していくことが必要であり」これこそ当たり前の社会でなければなりません。家庭環境による影響や、特別な配慮でなくとも支援が必要であったり、子どもは多様なのです。排他するのではなく等しくその成長を支えることのできる社会が望まれます。逆に支援が必要な場面があれば、だれもが支援を受けることのできる社会の醸成も必要です。尚、気になるこどもの姿があれば、相談をしていくことのできる機関の充実も望まれるところです。その上での関係機関や幼保小との連携の充実が望まれます。

 

幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 35

2024/11/18

○ 加えて、幼稚園及び幼保連携型認定こども園における外国籍等の子供は全国で約9千人おり、先生が最も気になる入園当初の外国籍等の子供の姿は、「教職員からの指示が分からない」(59.6%)という調査結果もある。「外国籍等の子どもが在籍していると思われる」と回答した保育所等6,511件について、外国籍等の子供の数は平均4.07人との調査結果もある。さらに、小学校に在籍する外国籍等の子供は増加しており、そのうち日本語指導が必要な子供は、令和3年度で約3万1千人となっている 。

○ 幼児教育施設での子供の様子や過ごし方、具体的な支援方法や内容等は、小学校や特別支援学校にとっても有益な情報であり、幼児教育施設から小学校・特別支援学校に対しては指導要録等により引き継がれることとなっているが、実態としては十分な情報が共有されていない場合もあり、小学校における当該子供の状況を踏まえた適切な支援に支障を来たしているなどの課題が指摘されている。

○ 幼児教育や小学校教育等に携わる者が、特別な配慮を必要とする子供や家庭への支援のための具体的なデータや事例を基に共通理解を図るとともに、母子保健、医療、福祉等の関係機関と連携した取組につなげることが求められている。

 

多様な子どもが目の前にいるならその支援ができる体制、その場だけではなく継続的に多角的な支援体制が必要なのです。さらに引き継ぐにあたっても学校と保育施設の連携はなく、どれだけ手厚く支援してきても学校ではこれまでのような生活支援はできないのが現状なのです。もちろん保育施設においても医師の診断書や意見書が提出されなければ支援さえできない状況をご理解いただきたい。子どもの困り感があればその支援をしていくにも限界もあるのです。

 

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