こども大綱22 2024/04/10 第3 こども施策に関する重要事項 「こどもまんなか社会」を実現するためのこども施策に関する重要事項について、こども・若者の視点に立って分かりやすく示すため、ここでは、こども・若者のライフステージ別に提示することとする。まず、特定のライフステージのみでなくライフステージを通して縦断的に実施すべき重要事項を示し、その次に、ライフステージ別に見た重要事項を示す。続いて、子育て支援に関わる重要事項を示す。 施策を進めるに当たっては、それぞれのライフステージに特有の課題があり、それらが、こどもや若者、子育て当事者にとって、どのような意味を持ち、どのような点に留意すべきかを踏まえるとともに、特定のライフステージのみでなくライフステージ全体を通して対処すべき課題があるとの認識の下で取り組んでいくことが重要である。 また、おとなとして自分らしく社会生活を送ることができるようになるまでのこどもの成長の過程は、その置かれた環境にも大きく依存し、こどもによって様々であり、かつ、乳幼児期からの連続性を持つものであること、自分らしく社会生活を送ることができるようになる時期も個人差があることに留意する必要がある。 さらに、こども・若者や子育て当事者の課題や支援ニーズは、明確な定義を定めて線引きできるようなものは少なくグラデーションであることが多い。そうしたニーズや課題は、こども・若者の生きづらさや子育てのしにくさとして、どんなこども・若者や子育て当事者でも多かれ少なかれ感じているものであり、個別の課題や支援ニーズへの対応は、全てのこども・若者や子育て当事者の幸せに資するものであることに留意しつつ取り組むことが重要である。 これらを踏まえ、こども基本法が掲げる基本理念及び上記「第2 基本的な方針」の下で、次の重要事項に取り組む。なお、これらの重要事項に係る具体的な取組については、こども政策推進会議が「こどもまんなか実行計画」として取りまとめる。 「おとなとして自分らしく社会生活を送ることができるようになるまでのこどもの成長の過程は、その置かれた環境にも大きく依存し、こどもによって様々であり、かつ、乳幼児期からの連続性を持つものであること、自分らしく社会生活を送ることができるようになる時期も個人差がある。」としており、子ども若者視点での支援も必要です。またこれは、大人が、子どもや若者に対してこうあるべきとか、こうしなさいと決めつけるものでもない。押し付けるものでもなく、個々の子ども若者が自分らしく社会生活を送ることに必要な支援をあらゆる視点で行うことが大切です。社会の醸成も必要ですし、一人一人の子ども若者の考えなどを尊重する社会が必要です。
こども大綱21 2024/04/09 (6)施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方公共団体、民間団体等との連携を重視する こども家庭庁は、こども大綱等を基に、こども政策推進会議やこども家庭審議会の知見を活用し、制度や組織による縦割りの壁を克服し関係省庁間で横の連携を密に行いつつ、政府全体のこども施策を強力に推進し、必要に応じて関係省庁に対し勧告権を行使することも含め、リーダーシップを発揮する。 こども施策の具体的な実施を中心的に担っているのは地方公共団体であり、国は、地方公共団体と密接に連携しながら、地域の実情を踏まえつつ、国と地方公共団体の視点を共有しながら、こども施策を推進する。多くの地方公共団体において、地域の実情に応じた自治体こども計画が策定・推進されるよう、国において支援・促進する。 若者が主体となって活動する団体、地域でこども・若者や子育てへの支援に取り組む団体や企業、地域で活動する民生・児童委員、青少年相談員や青少年指導員、保護司など、こどもや若者に関わる様々な関係者の協力なくして、こども・若者を支えていくことはできないため、これらの共助を支える。 国際機関や国際社会における様々な取組と連携する。こどもの権利条約を誠実に遵守するとともに、同条約に基づいて設置された児童の権利委員会による見解やOECD、G7やG20 における国際的な議論などを踏まえて国内施策を進めるとともに、我が国の取組を国際社会に積極的に発信するなど国際的な取組に貢献する。 施策の総合性といった意味で、関係省庁に対し勧告権を行使することなどこども家庭庁が権限を有することとしていますが、長きにわたっての縦割り行政、中央省庁と地方行政に隔たりを含め構造改革も進められるべきではないでしょうか。子ども施策についても文科省と厚労省、内閣府に統合されても学校教育は切り離されています。さらには財務省との関係などどうなるのでしょうか。もちろん地方自治体においても財政の問題をあげ、子どもが少ないことで予算がつかない、理解できない自治体もあります。そういった中で少子化や人口減少において、かける予算は減少し、国策のみに期待をせざるを得ない自治体もあるのです。国が予算を確保してくれるなら取り組むといったことが多くの自治体の現状であることから、自治体の考え次第で環境が大きく違うのです。
こども大綱20 2024/04/08 (5)若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路の打破に取り組む若い世代が「人生のラッシュアワー」と言われる様々なライフイベントが重なる時期において、社会の中で自らを活かす場を持つことができ、現在の所得や将来の見通しを持てるようにする。 若い世代の雇用と所得環境の安定を図り、経済的基盤を確保する。若い世代が将来を見通して安心して仕事におけるキャリアとライフイベントの双方にチャレンジでき、さらには趣味等を含むプライベートとの両立もできる環境を整備する。若い世代の将来にわたる生活の基盤を確保し、若い世代が将来に希望を持って生きられる社会をつくることは、少子化の克服や貧困の解消・貧困の連鎖の防止のための鍵である。 もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものである。また、家族の在り方や家族を取り巻く環境が多様化している。個人の決定に対し、特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることは決してあってはならない。多様な価値観・考え方を尊重することを大前提とし、どのような選択をしても不利を被らないようにすることが重要である。その上で、若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が、自らの主体的な選択により、結婚し、こどもを産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことが少子化対策の基本である。 こどもや若者が、発達の程度に応じて、性と生殖に関する健康と権利、性情報への対処や互いを尊重し合う人間関係などを知る機会や場を充実していく。妊娠後やこどもが生まれた後の支援に加えて、これから結婚や妊娠を希望する方への希望に応じた支援を進める。 共働き世帯が増加し、また、結婚・出産後も仕事を続けたい人が多くなっている中、その両立を支援していくことが重要であるため、共働き・共育てを推進し、家庭内において育児負担が女性に集中している実態を変え、男性の家事や子育てへの参画を促進する。固定的性別役割分担意識等を前提とした働き方や暮らし方を見直し、子育て当事者の女性と男性がともに、こどもと過ごす時間をつくることができ、仕事などで自己実現をはかりつつ相互に協力しながら子育てをすることができ、自らのキャリアを犠牲にすることなく、むしろ子育て経験を仕事等に活かすなど自己実現をはかりつつそれを職場が応援し、地域社会全体で支援するよう取り組む。また、子育て当事者が、共働き・共育てを実現するために必要な情報や支援が得られるようにする。 企業や地域社会、子育てを終えられた方々や子育てされていない方々も含めて、皆が参加して、こども・若者や子育てをめぐる問題は日本の未来に関わるという意識を持ち、こどもや家族が大事にされるよう、社会全体の構造や意識を変えていく。 若い世代の将来にわたる生活の基盤を確保し、希望を持って生きられる社会をつくることを実現するために社会全体の構造や意識を変えていくといったことを明文化しています。そのための方策がさらに若者に負担をかけることになることや、将来に向けて国の負債になるようなことであれば本末転倒です。難しいことですが今の若者を支援することで将来に負担が先送りされることの繰り返しは避けて頂きたい。これまで国の施策においての多くが先送りで財源を確保してきました。税収をあげることで現行の負担もあるのです。すべての国民が負担するといった考えが根底なのかどうか、若い世代の雇用と所得環境の安定を図り、経済的基盤を確保するために誰かが犠牲になることも避けなければなりません。とても難しい問題です。
こども大綱19 2024/04/05 こども・若者や家庭に支援を届けるに当たっては、支援が必要でも自覚できないなどSOSを発すること自体が困難、相談支援の情報を知らない、知っていたとしても申請が複雑で難しいといった課題があるほか、SOSを発しても周囲が受け取れていないことがある。こども・若者や家庭が、必要な情報を得られ、必要な支援を受けられるよう、地域における関係機関やNPO等の民間団体等が連携し、当事者に寄り添いつつ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届ける。 幼児教育や保育に携わる者、教職員、青少年教育施設の職員、児童相談所や児童福祉施設等の職員及び里親、障害児支援に携わる者、民生委員・児童委員、保護司、地域でこども・若者や子育てへの支援を担っているNPO等の民間団体の職員やボランティアなど、こども・若者の育ちや困難に対する支援、子育ての支援に携わる関係者が、こどもの権利を理解し、こどもの声を傾聴するゆとりを持てるよう、また自身が喜びや幸せ、充実を感じられるよう、職場環境や活動環境等の改善に取り組むとともに、多様な人材の確保・養成、専門性や質の向上、メンタルケアなどを充実させる。 誤解を受けるかもしれませんが、複雑な家庭状況や経済状況を他に相談すること自体を拒まれる家庭もある。もちろんそういった支援が必要だとレッテルを張られることも嫌なことです。ただし、子どもの成長については何とかしたいという願いは共通ではないでしょうか。そういった心情をも踏まえ、国や自治体により支援が必要です。子どもの健やかな成長は誰もが望んでいることです。