Ⅱ 令和の日本型学校教育 38 2023/08/28 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (6)いじめの重大事態,虐待事案等に適切に対応するための方策 ○令和元(2019)年度の小中学校におけるいじめの認知件数は591,069件,重大事態の発生件数は593件とそれぞれ過去最多で,近年は増加傾向にある。暴力行為の発生件数については,令和元(2019)年度は72,132件であり,過去5年間の傾向として,小学校における暴力行為が大幅に増加している。 ○また,令和元(2019)年における日本の自殺者の総数は20,169人と,近年は減少傾向にある中,小中学生の自殺者数は120人となっており,児童生徒の自殺が後を絶たないことは,極めて憂慮すべき状況である。児童相談所における児童虐待相談対応件数も増加しており,令和元(2019)年度は193,780件と過去最多となっている。このうち,学校等が相談経路となっているのは14,828件と,約8%を占めている。 ○こうした課題に対処するためには,児童生徒の問題行動の発生を未然に防止するために,成長を促す指導等の積極的な生徒指導の充実,生徒指導上の課題の発生や深刻化につながることも指摘される背景や要因といった困難の緩和,教育相談体制の整備,教育委員会・学校における組織的な対応の推進を図るとともに,児童虐待防止に向けては,教育委員会・学校と市町村,児童相談所,警察等の関係機関との連携強化を図っていくことが必要である。 昨年発表された義務教育機関の不登校、長期欠席者の状況は、22019年25万人から、2020年には28万人、2021年度には42万人に増えています。コロナ禍での学校生活が大きく変化したことが要因とされています。コロナ禍で他者との接触がなくなり、リモートでのやり取りなど人と人をつなぐ方式が増え、戸惑う児童生徒が増えたことも要因です。そこに足りないのは人の直接的な関わり、温かみでもあるように感じています。 コロナによって人間関係が希薄化し、関わりに難しささえあることは事実で、何かにぶつけたといった心理もあろうかと思います。しかし、いじめや暴力は犯罪です。学校側がいじめや暴力を常に意識し、事実を認識することです。 暴行や教員による行き過ぎた指導も今や虐待につながります。問題行動とし、背景をしっかり調査するなどの原因究明、再発防止にどれだけ本気で向かい合えるかは学校の姿勢です。どれだけ早急に、的確に問題視して取り組むかによってその後が変わってきます。毅然とした態度で許さない姿勢。もちろん謝ったら終わりではありません。原因究明と再発防止。学校管理者の資質が問われる問題なのです。 学校や教員が見て見ぬふり、認めたくなくとも認めなければ子どもの命にかかわることにつながるのです。報告義務にて都合のいい報告をあげるのではなく、事実をすぐに伝える必要があります。学校でにいじめなど多くが児童生徒の命がなくなってからの報道ばかりであり、調査を始めることが遅いのです。命がなくなってからでは遅いのです。命は尊ぶ。すべての子どもを守るために学校側の認識を変えていく必要があります。