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園からの発信

人類の誕生の瞬間 3

2023/01/17

ホモ・サピエンスの誕生についても、学説は大きく変わりました。もともとは、多地域進化説といわれる説が支配的でした。180万年前以降に、アフリカからユーラシア大陸へ広がった原人が、世界各地で北京原人や、ジャワ原人などに分化し、それらがその土地の現代人の祖先となったという考え方です。ところが、いまではアフリカ起源説と呼ばれる説が、圧倒的に支持されています。すべての現代人であるホモ・サピエンスの起源は、20万~5万年ほど前のアフリカにあるとするものです。厳密に広いアフリカのなかのどこで誕生したかは、まだ定かではないらしいです。しかし、いずれにせよ、私たちの共通祖先が約20万年前にアフリカの旧人から進化し、その後、しばらくしてから世界中に広がったと考えられているのです。

人類の誕生の瞬間 2

2023/01/16

私たちの祖先が、チンパンジーやボノボの祖先たちと袂を分かったのは700万年前頃という途方もない昔の話です。一般的には人類の誕生の瞬間は、その700万年前だといわれています。しかし、それは私たち自身、つまりホモ・サピエンスの登場ではありません。人類の誕生後、猿人、原人、旧人と経て、ようやく新人と呼ばれるホモ・サピンスに至るのです。そのあいだ、進化は一本道ではなかったのです。数多くの人類の種が存在していましたが、結果的に私たちホモ・サピエンスだけが生き残り、ほかの人類の系統は、子孫を残さずにほとんど死に絶えてしまったのです。人種は違えども、現在地球上にいる人類のなかに、ホモ・サピエンス以外の種はいません。かつては、ネアンデルタール人などの旧人を、現代人と共にホ・サピエンスとする考え方もあったそうですが、いまでは、現代人、および現代人とほぼ同様の骨格の形をした人類を、ホモ・サビエンス種としています。

人類の誕生の瞬間

2023/01/13

取材班は、ヘンシルウッド博士の話を聞いているうちに、洞窟に住んでいた人々の姿が、そして彼らの心の形がおぼろげながら輪郭を持ちはじめたと言います。洞窟で暮らしていた祖先は、「おしゃれをする」人々——「自らを飾ることを大事にする心」の持ち主だったのです。では、なぜ原始の人々はおしゃれをしたのでしょうか。

「心を持った」。心を動機として行動をする生き物、人間としての誕生という受け止めができますね。

本能と心 3

2023/01/12

人類の歴史は、チンパンジーの共通祖先と分かれから700万年ほど、ホモ・サピエンスになってからもおよそ20万年という歳月が経っています。そんな長い歳月のあいだ、私たちの祖先は身体ばかりでなく、脳も進化させてきました。脳がつくりあげる心も当然、進化したと考えることができます。

ということで、「ヒューマン」は、人類の壮大な歴史のなかに、私たちの心の進化を追いかけるものだと高間氏は言うのです。なぜ、心なのか。心の進化とはどういうことか、そうした具体的な説明を本の中でしていきますが、その前に、次の一文を頭に入れていただきたいと高間氏は言います。

「人間とは、心を動機として行動する生き物である」。

本能と心 2

2023/01/11

つまり、心とは、本能や欲求を超えて、意志や感情、習慣、教育の成果も織り混ざった、私たちの意志決定の主体なのだと高間氏は言うのです。そして、その心の出来不出来を当然、評価の対象とします。意志が入っているだけに、私たちは心をかなり意識していて、コントロールしているという幻想をもっています。でも、実際には、心をつくりあげている要素には、本能や習慣も混じっているから、私たちは心の働きをすべて意識しているわけではないのです。自在にコントロールできるわけでもないのです。

子どもの世話をするという行為がまさにそうですが、ある人が特別にそうした行為に励む心を突然、生み出したわけではありません。次世代をきちんと育てられなければ、その生物は絶減してしまいます。だから、生き延びるためには、次世代を育てようとする心がはるか昔に生まれ、受け継がれてきたはずだと言うのです。それが、「心は歴史的な産物だ」という意味であると高間氏は考えているのです。

 

私たちは心をかなり意識していて、コントロールしているという幻想をもっています。でも、実際には、心をつくりあげている要素には、本能や習慣も混じっているから、私たちは心の働きをすべて意識しているわけではないのです。自在にコントロールできるわけでもない。

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