Ⅱ 令和の日本型学校教育 24 2023/08/07 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (2)教育課程の在り方 ②補充的・発展的な学習指導について ア補充的・発展的な学習指導 ○新学習指導要領においては,児童生徒が基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよう,児童生徒や学校の実態に応じ,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れることなどにより,個に応じた指導の充実を図ることが規定されている。補充的な学習を取り入れた指導を行う際には,様々な指導方法や指導体制の工夫改善を進め,学習内容の確実な定着を図ることが必要であり,発展的な学習を取り入れた指導を行う際には,児童生徒の負担が過重にならないよう配慮するとともに,学習内容の理解を一層深め,広げるという観点から適切に取り入れることが大切である。 ○また,従前から,いずれの学校においても学習指導要領において示している内容に関する事項は取り扱わなければならないとした上で,学校において特に必要がある場合は,異なる学年の内容を含めて学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができることとされている。児童生徒の学習状況に応じ,学年や学校段階を超えて先の学年・学校の内容を学習したり,学び直しにより基礎の定着を図ったりすることも考えられる。 ○補充的・発展的な学習を行う際には,例えば知識及び技能の習得に当たって,ICTを活用したドリル学習等を組み合わせていくことも考えられるが,併せて思考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等の育成も十分に行われるよう,計画的に指導を行うことが必要である。 ○また,発展的な学習としては,内容理解を深める学習を更に充実することが重要であるが,その際には個別学習のみで学習を終えることにならないように留意し,学校ならではの「協働的な学び」が取り入れられるよう教育活動を工夫する必要がある。各児童生徒が深めた学習の成果を持ち寄って共有し,児童生徒同士の学び合いを行い,またその結果を各自で深めるといった循環を作っていくことが大切である。 習熟度別指導や外国でいう飛び級、STAYも必要ではないでしょうか。様々なバックグランドや環境が異なる中、一律に教育を充実することは困難です。だからこそ、個の状況に寄り添い支援が必要なのですが、そのためには教育、学習をサポートする人材も必要ですね。机上と現実とを埋めていくには、ここにも人材が必要です。数と質の両面が必要と感じています。よくある「適切に対応」と言いますが、児童生徒にとって適切であることを忘れないようにしたいですね。大人の思い込み、刷り込みでの対応は適切ではないのです。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 23 2023/08/04 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (2)教育課程の在り方 ○また,キャリア教育の充実に当たっては,小学校から高等学校までを通じ,各教科等での指導を含む学校教育全体でその実践を行いつつ,総合的な学習の時間において教科等を横断して自ら学習テーマを設定し探究する活動や,特別活動において自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら,自身の変容や成長を自己評価する学習活動などを充実していくことが求められる。この中で,キャリア・パスポート等も活用し,児童生徒が自覚するまでに至っていない成長や変容に気付いて指摘したり,一人一人が自らの成長を肯定的に認識できるように働きかけたりするなど,教師が対話的な関わりを持ち相互作用の中でキャリアを創り上げていくことが不可欠である。 キャリア教育の充実については当然義務教育においても必要であり児童生徒自身の目標設定、将来の夢や希望につながることであり重要な要素ですが、どこまで見通しをつけることができるか、明確な目標を持つよう誘導いていく必要があるようです。自己の考えや目標設定に早くから取り組むことも必要であり、そのために必要な学習も自らしっかりと受け止めなければなりません。記載の通り、教師との対話的な関わりを十分に持つ必要があるのですね。義務教育の段階で生徒自身も自覚をしなければならないとてもセンシティブな問題ですね。自己責任とされることも不安要素です。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 22 2023/08/03 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (2)教育課程の在り方 ○学びに向かう力の育成は幼児期から成人までかけて徐々に進んでいくものであるが,初期の試行錯誤段階を経て,様々な学びの進め方や思考ツールなどを知り,経験していくことが重要である。とりわけ小学校中学年以降,学習の目標や教材について理解し,計画を立て,見通しをもって学習し,その過程や達成状況を評価して次につなげるなど,学習の進め方を自ら調整していくことができるよう,発達の段階に配慮しながら指導することが大切である。また,中学校以降において,多様な学習の進め方を実践できる環境を整えることも重要である。 授業改善に当たっても,学習の進め方(学習計画,学習方法,自己評価等)を自ら調整する力を身に付けさせることを一つの柱として行うことが考えられる。また,学校の授業以外の場における学習の習慣や進め方についても視野に入れ,指導を行うことが重要である。 これまでもそして我々世代も受けてきた教育から、指示がないと動けない、課題を提供されないと何をやっていいかわからないということからの脱却が進められてきました。自ら見通しを立てて、学習を進めていく経験など、なかなか取得できていない児童生徒が多いことも事実です。小学校中学年以上でこういったことが求められ、さらに結果に結び付ける学習方法をすべての児童に求められることは厳しいと思いますが、こういった方向が示されたことを受け進むのでしょう。その場合には教科担当制だけでは多様な子ども達のすべてに対応できないと感じます。誰一人取り残さないためにはフォローする補助者も必要ですよね。発達の段階に配慮しながらとするには習熟度別の学習も取り入れる必要があります。 Homework illustrations.
Ⅱ 令和の日本型学校教育 21 2023/08/02 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (2)教育課程の在り方 ○新学習指導要領において育成を目指す資質・能力のうち,「学びに向かう力,人間性等」については,主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や,自己の感情や行動を統制する力,よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等を育成することとされている。また,児童生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ることとされている。 指導する立場とされてきた教員の立場が大きく変化してきていることもあります。指導は頭ごなしに教え込むことからファシリテーターとしての役割のほうが重要である。が、どうしても指導する立場といまだに上から目線で物事を指示してしまうことにつながないようにして欲しいですね。教科担当制もより専門的に学ぶことは大切ですが、一方的な講義とならぬことが大切ではないかと感じます。普段の児童生徒との関わりがあって義務教育は成り立つ。家庭やその子の置かれている事情が多様化している中で教科だけを教え込んで教員の満足にならないことを望みたいですね。学ぶ側も自分の将来をも見通しながらとの記述や社会的職業的自立に基盤となる資質能力とされていることもしっかり受け止めていく必要もありますね。
Ⅱ 令和の日本型学校教育 20 2023/08/01 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (2)教育課程の在り方 ○小学校中・高学年以上の指導においては,各教科等の内容を,徐々にその中核的な概念を使って指導することにより,見方・考え方が鍛えられていくことを踏まえることが重要である。また,体験活動と教科の内容との関連付けを自覚的に行えるように指導することが重要である。 ○平成28年答申においても,小学校高学年においては「子供たちの抽象的な思考力が高まる時期であり,教科等の学習内容の理解をより深め,育成を目指す資質・能力の育成に確実につなげるためには,指導の専門性の強化が課題となっている」とした上で,「専科指導の充実は,子供たちの個性に応じた得意分野を伸ばしていくためにも重要である」とされている。 ○このため,小学校高学年への教科担任制の導入や,小学校と中学校や中学校と高等学校など学校段階間の連携の強化,外部人材の配置や研修の導入などが必要である。 ○また,発達の段階にかかわらず,児童生徒の実態を適切に捉え,その可能性を伸ばすことができるよう環境を整えていくことも重要である。例えば,児童生徒の学習意欲を向上する観点からは,教科等を学ぶ本質的な意義や学習状況を児童生徒に伝えること等が重要となる。また,学習内容の理解を定着する観点からは,単に問題演習を行うだけではなく,内容を他者に説明するなどの児童生徒同士の学び合いにより,児童生徒が自らの理解を確認し定着を図ることが,説明する児童生徒及びそれを聞く児童生徒の双方にとって有効であり,授業展開として重要であると考えられる。 まず認識しておかなければならない事項は、9年間の義務教育であって、その後多くの生徒は高等学校へ進学をしています。そしてさらには上級学校、大学や専門学校へ進学をしているのが現状です。ただし、高等学校については普通科だけではなく実業学校への進学もあるわけで、義務教育につながる基礎を培う就学前の施設との連携、義務教育終了後の高等学校との連携が重要な点であることと同時に、児童生徒の意思をもっとしっかりと受け止め支援する連携体制も必要ではないだろうかと感じているところです。そのうえで小学校高学年に教科担任制を設けるなど、学びを深めることについては専科の先生の授業がとても有効だとも思いますが、義務教育の段階では、どうしても個々の家庭環境を知りえるといった視点、福祉的要素も忘れてはならない事項であり、その点を上級学校や高等学校へどうつなぐかが欠けてしまうと進学しても生徒自身が不安や家庭も不安となることもあるのではと感じます。やはり義務教育の段階で、学級担任の役割もとても大切であり、薄くなってほしくはないと感じています。学年すべての担当の先生に対してみんなで担任とされるケースが増えてきた、ともされています。合う先生話しやすい先生に、といっても十分に生徒の実情を理解してもらえるかどうか不安ですよね。義務教育終了して社会に出る生徒もいるわけで、しっかりと向き合うことも必要ではないかと思います。