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園からの発信

こども大綱86

2024/07/12

(参考)こども・若者や子育て当事者を取り巻く現状

これまで、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法及び子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく各大綱により、政府を挙げて、各般の施策の充実に取り組まれてきた。例えば、消費税の引上げにより確保した財源などをこどもや若者への支援の充実に投入し、待機児童対策、幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化などの取組が進められ、待機児童は一部の地域を除きほぼ解消に向かうなど、一定の成果を挙げた。これらにより、家族関係社会支出の対GDP比は、平成25 年度の1.13%から令和3年度には2.46%まで上昇した。

また、こどもの権利擁護のための児童虐待防止対策の強化、市町村及び児童相談所の体制強化、社会的養護における里親等委託の推進、家庭や養育環境の支援の強化を行う児童福祉法等の改正、いじめ防止対策推進法に基づく未然防止・早期発見・早期対応の取組やSNS等を活用した相談体制の整備など、困難な状況にあるこどもや若者、子育て当事者への支援についても、充実が図られてきた。

一方で、相対的に貧困の状態にあるこどもの割合は11.5%となっており、特にひとり親家庭は44.5%と高くなっている。令和4年度には、小・中学校における不登校、いわゆる「ネットいじめ」の件数、児童虐待の相談対応件数が、それぞれ過去最多となっている。いじめの重大事態は923 件発生している。令和4年には大変痛ましいことに約800 人もの10 歳から19 歳のこども・若者が自殺しており、10 代の死因の最多は自殺となっている。SNSに起因する事犯の被害にあったこどもの数も高い水準で推移している。

さらにここ数年は、コロナ禍が追い打ちをかけるように、友達とのつながりの希薄化、集団活動や自然体験活動の減少などをもたらした。こどもや若者、家庭をめぐる様々な課題がコロナ禍により更に深刻化しており、その影響が長く続くことが懸念される。我が国のこども・若者の自己肯定感や幸福感は低く、内閣府の調査によれば、「自分自身に満足している」こども・若者の割合は半数を下回り、諸外国と比べて低い状況にある。我が国のこどもが、38 か国中、身体的健康は1位だが、精神的幸福度は37 位であることを示す国連児童基金の調査もある。多様な指標を参照しつつ、日本社会に根差したこども・若者のウェルビーイングの向上を図っていくことが求められている。

SDGs(持続可能な開発目標)は、令和12 年(2030 年)までに、持続可能でより良い世界を目指す国際目標であり、我が国もコミットしている。17 の目標はいずれも、こども・若者に深く関係し、こども・若者自身も、SDGs推進の担い手として育ち、積極的に関与することが期待されている。

 

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