教育・保育要領解説42 2024/02/13 ウ 協同性 友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。 協同性は、領域「人間関係」などで示されているように、保育教諭等との信頼関係を基盤に他の園児との関わりを深め、思いを伝え合ったり試行錯誤したりしながら一緒に活動を展開する楽しさや、共通の目的が実現する喜びを味わう中で育まれていく。なお、協同性は、領域「人間関係」のみで育まれるのではなく、第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して育まれることに留意する必要がある。 園児は、友達と関わる中で、様々な出来事を通して、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの多様な感情体験を味わい、友達との関わりを深めていく。その中で互いの思いや考えなどを共有し、次第に共通の目的をもつようになる。5歳児の後半には、その目的の実現に向けて、考えたことを相手に分かるように伝えながら、工夫したり、協力したりし、充実感をもって園児同士でやり遂げるようになる。 例えば、修了式が間近になり、園児から年下の園児やお世話になった人を招いて楽しい会をしたいという意見が出されると、学級の皆で活動するよい機会なので保育教諭等も積極的に参加して、どんな会にするか皆で相談したりする。園児は、それまでの誕生会などの体験を思い出しながら、いつどこで何をしようか、来てくれた人が喜んでくれるために飾り付けやお土産はどうするか、会のお知らせをどうするか、会の進行はどう分担するかなど、必要なことを保育教諭等や友達と話し合い、互いの得意なことを生かすなど工夫して楽しみながら進め、やり遂げた充実感を味わうことができるだろう。 以前別のシリーズでも書きましたが、ヒトは「共鳴」して、「共感」して集団をうまく形成してきた。このことも協調性です。自分の意見もあり、曲げずに主張もするが「折り合い」をつけることこそ、ヒトがこれまで生き延びてきた要因でもあると考えています。そこには感情のコントロールも必要でしょう。「様々な出来事を通して、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいなどの多様な感情体験を味わい、友達との関わりを深めていく。」これこそヒトたるゆえんではないでしょうか。譲れないこともあるでしょう、納得できないこともあるかもしれませんが、相手に伝わるように話をしたり、相手も人の意見に耳を傾ける。わがまま、自分勝手、自己中心などと言われるかもしれませんが、そのことも経験していくことも大切なことだと思います。大人になったり、社会に出るともっと大きな理不尽な思いもするからです。そのことを経験しつつ「共同性」といった人との関係人間関係も学んでいくと思います。