幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 54 2024/12/13 ②架け橋期の教育の質保障のために必要な人材育成等 (ウ)効果的な 研修 の実施方法 ○ 幼児教育の現場では、外部研修で受けた理論に関する内容を現場で実践し、それをまた次の研修に持ち寄って研修を行うという、理論に関する外部研修と園内の教育実践の往還を繰り返す研修が進められている。その際、子供が主体的に遊ぶ姿や学びの過程について、写真や事例のドキュメンテーション等の活用により具体的に可視化を行いながら研修を行うことで、先生同士の子供理解が深まったり、保育への手応えややりがいが高まったりするなど、一層効果的に実施することが可能になるとの報告がある。地方自治体においては、このような効果的な研修の実施方法等について情報収集を行い、研修の充実に取り組むことが必要である。 極端な話、すべての保育者が研修に参加しアップデートできる環境が必要です。代表が研修に出るだけでは保育の質の向上にはつながりませんし、研修の趣旨の理解をする知識も必要です。より効果的な研修受講、保育の実践とは言われますが、研修に参加さえできない就業環境であることも課題です。逆に既に知っているとか修得しているといったことでアップデートできていない職員や考えの職員ではこの架け橋は上手くいきません。就学前の施設職員も学校の先生方に説明し、望むことを簡潔に説明できなければならないのです。そのため私たち就学前の職員の質の向上に努めなければならないと感じています。
幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 53 2024/12/12 ②架け橋期の教育の質保障のために必要な人材育成等 (イ)幼児教育施設の園長や小学校の校長等を対象とした研修の充実 ○ 架け橋期の教育を充実するためには、その意義や具体的な方法について、幼児教育施設の園長等や先生、小学校の校長等や先生を対象にした研修を実施することが重要である。地方自治体がリーダーシップを発揮し、例えば、組織的・計画的な園内・校内研修、施設類型や学校種を越えた研修や合同研修の実施(園内・校内研修への他園・他校の先生の参加・協議を含む)、幼児教育施設・小学校の教育活動に携わる参加研修、相互の職場体験、人事交流などに取り組むことが必要である。なお、合同研修の実施等に当たっては、施設類型や学校種における特有の表現やそれぞれに持つイメージが異なる表現(教育課程、指導、教材等)について、地方自治体関係者や講師が補足説明を行い、参加者の理解に違いが生じないよう配慮すること等が必要である。また、独立行政法人教職員支援機構においても、幼保小の先生の相互理解を促す研修を検討する必要がある。 ○ とりわけ、幼保小が組織的・一体的に取組を進めるためには、幼児教育施設の園長等や小学校の校長等の管理職の理解や役割が重要であることから、管理職の研修を充実することが必要である。そして、幼保小の管理職においては、相互に連携・協力関係を構築し、学校運営計画等に架け橋期の教育に関する取組を位置付けること等により、計画的に取り組むことが重要である。 ○ 特に、公立の小学校の校長等は数年で異動するため、幼保小の取組に影響が出ているとの指摘がある。人事異動により継続的に取り組むべき幼保小の取組に影響が生じないよう、教育委員会による小学校校長の研修等において、3要領・指針の趣旨や具体的内容、幼保小の架け橋プログラムの好事例等について取り上げるとともに、国においては、その際に活用できる短時間で視聴可能な保育の研修動画の提供等の支援を行うことが期待される。 小学校の校長先生たちの役割や知識の習得も大きく変化しているのです。架け橋としてつなぐためには就学前施設のことや今の子どもや家庭の現状を把握して頂くことが必要であり、これまではどうしても教頭先生の役割であったものの、動くのは教頭や教務主任であろうが幅広い観点を求められています。逆に就学前の施設においてもさらに学校のことを把握することも必要でしょう。しかし接点がないのが現状です。市町村の役割に期待したいです。解決には、学校にも保育施設にもその役割を支える多くのスタッフが必要なのです。教員、保育者の互いの業務が過大となっては元もこうもありません。より良い就学環境や架け橋には市町村の考え一つで大きき変わることを私たちは見ていくべきです。
幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 52 2024/12/11 ②架け橋期の教育の質保障のために必要な人材育成等 (ア)架け橋期のコーディネーター等の育成 ○ 架け橋期の教育の充実に当たり、幼保小に対して専門的な指導・助言等を行う架け橋期のコーディネーターや幼児教育アドバイザーの育成が急務である。特に幼児教育と小学校教育の双方に精通する人材が求められており、地方自治体においては、幼保小における人事交流や私立を含む幼児教育施設に小学校の先生を1年程度派遣する研修、幼児教育施設と小学校の先生のペアをつくり相互の職場で保育・授業体験等を行いながら共に架け橋期のカリキュラムを作成する研修等が行われている。 ○ 架け橋期の教育の充実を図るためには、このような地方自治体の取組を推進するとともに、教育委員会において、幼保小接続や生活科を担当する指導主事の配置・指導力の向上をはじめ、十分な指導・助言ができるような体制を整備し、幼保小接続や生活科を中心とするスタートカリキュラムの質の向上等に関する研修の充実を図ることが重要である。 熊本市においても公立の小学校の先生が公立の幼稚園にて勤務をすることがあるようです。両方の資格取得者でなければできないことであります。しかしながら最近は教員資格を持った保育者も増えてきている実態もあります。公立私立の壁が立ちはだかっていますが、子どもの立場からすればこのことは解決されなければならない課題です。コーディネーターや幼児教育アドバイザーの育成においても定年した教員や保育士者がそれにあたるでいいのでしょうか。保育は日々進化しています。家庭や子どもの置かれている環境も日々変化しています。さらにこの報告書にあるよう多様化している中で経験だけではなく、実態に沿った、目の前のことに対応できる現職の教育保育者で幅広い知識が必要であると感じています。机上の理論も必要ですが子どもを目の前にした対応が出来る方の養成をいち早く望むところです。
幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 51 2024/12/10 (2)目指す方向性 ①地方自治体における推進体制の構築 ○ 地方自治体において、幼児教育の質の向上や幼保小の接続等の取組を一体的に推進するため、幼保小の担当部局の連携・協働や幼保の担当部局の一元化、幼児教育センターの設置・活用等を推進することが必要である。 ○ 今後、教育委員会、教育センター、幼児教育センター等においては、後述の幼保小の架け橋プログラムの推進を担うことが重要であり、幼児期及び架け橋期における①教育の質を向上するための体制の構築(関係部局が連携・協働した体制を含む)、②教育に関する専門性の向上(指導主事・幼児教育アドバイザー等の配置、指導資料の充実・実践事例の蓄積、研修の充実など)、③域内全体への取組の普及といった機能が求められる。 この項目に対して国は次年度に予算計上し、自治体について推進するように通知を出しました。ここには現場の意見がとても重要でありますが、保育現場には現在聞かれることはありません。おそらく公設の保育施設と熊本市教育委員会での話で進むことが想定されます。全国の公設保育施設数は自治体によっても異なりますが、年々少なくなっています。熊本市の公設保育施設においても1割以下の状況下で、多くは社会福祉法人や学校法人の運営する施設が大半なのです。ぜひ公設以外の施設の現状や意見を踏まえた施策反映を望むところです。
幼保小の協働による架け橋期の教育の充実 50 2024/12/09 ○ また、幼児教育施設の先生は、一人一人の子供理解に努めて教育を実践することが求められており、そのためには、勤務時間中に子供と接しないノンコンタクトタイムを確保し、先生同士で子供一人一人の興味深いその子らしいエピソードや気になった子供の姿等について集まって話し合うことや、子供の記録を取るなど、一人一人の子供を丁寧に見取ることができる精神的・時間的な余裕のある勤務環境を確保する必要がある。しかし、実態としては、勤務時間中には、先生が集まって話し合う時間や日々の子供の記録を取る時間すら無いほど多忙であると指摘されている。 ○ さらに、特に女性が多い職場である幼児教育施設においては、仕事と子育てを両立できる勤務環境であることが重要であるが、育児休業から復職した先生が、多忙な業務であるため、子育てと両立できずに離職してしまうケースがみられるとの指摘もある。 ○ そして、これらの多忙な勤務環境が、幼児教育施設での勤務を志望する者の減少や離職者の増大に大きく影響を与えているとの指摘があり、外部専門職等の積極的活用やICT環境の整備をはじめ、勤務環境の改善を図ることが急務となっている。 ○ また、幼児教育施設は、子供が安心して自己発揮できる安全な環境とすることが必要であるが、幼児教育施設における子供の安全・安心な生活が脅かされる事故等が発生しており、国、地方自治体、幼児教育施設においては、幼児教育施設における事故等の発生・再発防止に取り組むことが求められている。 保育士不足、教員不測の要因は、教育保育以外に対応しなければならないことが増えてきたからです。これも保育士がしなきゃならないのか、先生たちがやらなければならないのかといった具合に業務が倍増してしまっている現状と、子ども達や家庭の多様化によって対応すべきことが幅広くなっています。限られた時間ですべてに対応することができないのも現状です。だからこそ職員においてもまずは人数を増やすこと、さらに幅広い人材を登用して業務の分担をはかる必要があり、子ども一人一人と接触する頻度も増やしていくためには職員配置基準を改善していく必要もあります。少しずつではありますが、学校の現場においては学年担任制や教科別の担当課を諮ったりされています。尚、保育所の配置基準は70年ほど改訂されていません。ようやく4,5歳児の配置は30人に一人から25人に一人となったところです。しかも配置ができたところにしか運営費は来ません。これでは子どもの成長を個別に対応したり、各家庭の支援にはまったくもってつながりません。