新たなシリーズ 2023/12/07 ロングバージョンとなりますが、具体的に幼保連携型認定こども園における教育保育要領解説書の解説文を記載し、今の保育について連載していきます。基本的に解説文を記載するために大きなフレームが薄くなることもあろうかと思いますがお付き合いください。これまでのシリーズで改訂にあたっての留意点を記載してきましたので重なる部分もあるかと思います。専門的な表現や細かな表現もありますが、保育についての保育者に対しての解説書でありますが、保護者との共有も図る必要があろうかと思いますのでここに掲載をします。
シリーズ幼保連携型認定こども園 36 2023/12/06 3 幼保連携型認定こども園の役割 3 幼保連携型認定こども園における教育及び保育は、その後の学校教育全体の生活や学習の基盤を培う役割も担っている。この基盤を培うとは、小学校以降の子どもの発達を見通した上で、幼保連携型認定こども園の教育及び保育において育みたい資質・能力である「知識及び技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」そして「学びに向かう力・人間性等」を乳幼児期にふさわしい生活を通してしっかり育むことである。そのことが小学校以降の生活や学習においても重要な自ら学ぶ意欲や自ら学ぶ力を養い、子ども一人一人の資質・能力を育成することにつながっていくのである。 また、地域の人々が園児の成長に関心を抱くことは、家庭と幼保連携型認定こども園以外の場が園児の成長に関与することとなり、園児の発達を促す機会を増やすことになる。さらに、幼保連携型認定こども園が家庭と協力して教育及び保育を進めることにより、保護者が家庭とは異なる視点から園児への関わりを幼保連携型認定こども園において見ることができ、視野を広げるようになるなど保護者の変容も期待できる。 このようなことから、幼保連携型認定こども園は、乳幼児期の教育及び保育の中心的な役割を家庭や地域との関係において果たすことも期待される。 学校教育全体の生活や学習の基盤を培う役割という記述から、答えを出すことではなく、「なんでだろう」「不思議だね」といったことであり、そのことを表現できる言葉を発するとか想像するといったことが大切なように思えます。そのことが学びに向かう力のように思います。
シリーズ幼保連携型認定こども園 35 2023/12/05 3 幼保連携型認定こども園の役割 2 幼児期の教育及び保育は、大きくは家庭とそれ以外の施設等で行われ、両者は連携し、連動して子ども一人一人の育ちを促すことが大切である。元来、家庭とそれ以外の施設等においては、環境や人間関係の有り様に応じてそれぞれの果たすべき役割は異なる。家庭は、愛情としつけを通して乳幼児の成長の最も基礎となる心の基盤を形成する場である。家庭以外の施設等は、家庭において保育を受けることが困難な場合に、保護者以外の大人に支えられながら、家庭に代わって保育する場であったり、家庭では体験できない社会・文化・自然などに触れ、乳幼児期なりの世界の豊かさに出会う場であったりする。さらに、地域は様々な人々との交流の機会を通して豊かな体験が得られる場である。 幼保連携型認定こども園には、このように家庭や地域とは異なる独自の働きがあり、ここに教育及び保育の内容を豊かにするに当たっての視点がある。すなわち、幼保連携型認定こども園では、園児の自発的な活動としての遊びを十分に確保することが何よりも必要である。それは、遊びにおいて園児の主体的な力が発揮され、生きる力の基礎ともいうべき生きる喜びを味わうことが大切だからである。園児は遊びの中で能動的に対象に関わり、自己を表出する。そこから、外の世界に対する好奇心が育まれ、探索し、物事について思考し、知識を蓄えるための基礎が形成される。また、人やものとの関わりにおける自己表出を通して自我を形成するとともに、自分を取り巻く社会への感覚を養う。このようなことが幼保連携型認定こども園における教育及び保育の広い意味での役割ということができる。 就学前の施設として利用者である保護者と子どもと家庭での役割保育施設での役割をしっかりと認識して分担でもなく、共有しながら、互いに理解して活動に取り組みたく思います。さらに、子どもの自発的な活動を促す仕掛けも大切であり、あくまでもそのことは知識を蓄える基礎であり答えを指すことや結果を求めることでもないと考えられます。体操や跳び箱を何段飛んだとか計算ができるといったことを求めるものではないと受け止めています。あくまでもその礎となるような活動が求められています。
シリーズ幼保連携型認定こども園 34 2023/12/04 3 幼保連携型認定こども園の役割 乳幼児期の教育及び保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っているものであることを踏まえ、子ども・子育て支援に係る制度において、発達に応じた保護者の適切な関わりや、質の高い教育及び保育並びに子育ての支援の安定的な提供を通じ、その間の子どもの健やかな発達を保障することを目指して行われるものである。 また、乳児期における愛着形成を基礎とした情緒の安定や他者への信頼感の醸成、幼児期における他者との関わりや基本的な生きる力の獲得及び学童期における心身の健全な発達を通じて、園児一人一人がかけがえのない個性ある存在として認められるとともに、自己肯定感をもって育まれることが可能となる環境を整備することが、社会全体の責任である。さらに、子どもの最善の利益を第一に考える社会を目指すことを基本に、子どもが虐待、酷使、放任その他不当な取扱いから守られ、健やかな成長が図られる安全で安心な環境を整備することが必要である。幼保連携型認定こども園は、認定こども園法第2条第7項により、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満3歳以上の子どもに対する教育並びに保育を必要とする子どもに対する保育を一体的に行い、これらの子どもの健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて、その心身の発達を助長するとともに、保護者に対する子育ての支援を行うことを目的として設置される施設である。すなわち、幼保連携型認定こども園においては、保護者の就労状況等により入園時期や在園時間の異なる子どもを受け入れる施設として、この時期の子どもに健やかな成長が図られるような適当な環境を整えることを意識しながら教育及び保育に当たらなければならない。加えて、幼保連携型認定こども園に在籍する園児の家庭のみならず、在宅の子育て家庭を含む全ての家庭及び子どもを対象にして、地域のニーズに応じた多様かつ総合的な子育ての支援を質・量両面にわたり充実させることが必要である。 まずもって乳幼児期の愛着関係が子どもの成長において大切であるということは言うまでもありません。そして大切に育てられている時間こそ自己肯定感にもつながると考えます。養育者の都合ばかりで子どもにとって本当に安心安全なのかも大切な要素です。「大切に育てられる」、社会全体としてしっかりと認識したいものです。
シリーズ幼保連携型認定こども園 33 2023/12/01 2 幼保連携型認定こども園の生活 (4) 適切な環境があること 家庭や地域とは異なり、幼保連携型認定こども園においては、教育的、保育的な配慮の下に園児が友達と関わって活動を展開するのに必要な遊具や用具、素材、十分に活動するための時間や空間はもとより、園児が生活の中で触れ合うことができる自然や動植物などの様々な環境が用意されなければならない。このような環境の下で、直接的・具体的な体験を通して園児一人一人の発達を促していくことが重要である。 さらに、園児の発達を促すための環境は、必ずしも園内だけにあるのではない。例えば、近くにある自然の多い場所や高齢者のための施設への訪問、地域の行事への参加や地域の人々の幼保連携型認定こども園への訪問などの機会も、園児が豊かな人間性の基礎を培う上で貴重な体験を得るための重要な環境である。 しかし、これらの環境が単に存在しているだけでは、必ずしも園児の発達を促すものになるとは限らない。まず保育教諭等は、園児が環境と出会うことでそれにどのような意味があるのかを見いだし、どのような興味や関心を抱き、どのように関わろうとしているのかを理解する必要がある。それらを踏まえた上で環境を構成することにより、環境が園児にとって意味あるものとなるのである。すなわち、発達に必要な体験が得られる適切な環境となるのである。 この部分の記載はとても園生活を営む上で大切です。園だけでなく地域とのつながりも含めて行事も大切なことだと思います。園児の発達を促すこととして取り組む必要があります。もちろん形式的な行事や活動は必要ないと思います。時代背景をしっかりと受け止めつつ、本質を探りながら展開していくことが必要です。