教育振興基本計画53 2025/04/11 Ⅲ.今後の教育政策の遂行に当たっての評価・投資等の在り方 (2)教育投資の在り方 (「未来への投資」としての教育投資の意義) ○教育は、個人の社会的自立の基礎を築き、ウェルビーイングを実現するものであると同時に、教育の成果は、単に個人に帰属するのみならず広く社会全体に還元され、社会の維持・発展の原動力となるものである。 ○教育・人材育成を通じた「人への投資」は成長への源泉であり、国や企業による教育機関や個人への投資は、それを受ける立場に立てば分配の意味を持つ。デジタル化の一層の進展など社会が大きく変革する中、人口減少に伴う労働力不足にも直面する我が国において、創造性を発揮して付加価値を生み出していく原動力は「人」にほかならない。人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を生み出すためにも、教育への効果的な投資を図る必要がある。 ○すなわち、教育投資は個人及び社会の発展の礎となる「未来への投資」であり、必要な教育投資については、学習者本人のみならず社会全体で確保することが必要である。 ○その際、教育投資がもたらす効果には、経済的な効果のみならず、新たな価値の創造や未来への志向性、共生社会の実現、地域コミュニティの形成といった社会の持続・発展に不可欠でありつつも必ずしも数値化できない重要な効果もあることに留意が必要である。また、教育投資には、国や地方公共団体による公財政支出、家計による負担に加え、様々な形での寄附や、広い意味では、社会関係資本を基盤としたボランティアなどの人的貢献、企業の教育面におけるCSR活動など民間団体等の自発的取組などが含まれることにも留意が必要である。 ○特に、我が国は、諸外国と比較した場合、寄附が少ない現状にあり、教育機関においても寄附を行おうとする個人・企業・団体等の意欲を喚起するよう努めることなどにより、寄附文化を醸成する必要がある。また、今日においては、かつて地域コミュニティなど学校以外が担っていた教育的な機能が弱くなっており、その分、学校に求められる役割が大きくなりがちとの指摘もある。このような点も踏まえつつ、社会全体で教育を支える環境を醸成することにより、教育への投資の充実を図る必要がある。