教育・保育要領解説18 2024/01/09 ④ 園児一人一人の発達の特性に応じた指導 ア園児一人一人の発達の特性 園児の発達の姿は、発達の道筋としては共通した過程をたどると考えられる。園児を指導する際に、保育教諭等はその年齢の多くの園児が示す発達の姿について心得ておくことは、指導の仕方を大きく誤らないためには必要である。しかし、それぞれ独自の存在としての園児一人一人に目を向けると、その発達の姿は必ずしも一様ではないことが分かる。 園児は、一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なってくる。例えば、同じ年齢の園児であっても、大胆で無秩序な世界を好む園児もいれば、逆に、自制的で整然とした世界を好む園児もいる。園生活を送る過程で、前者の園児が秩序を受け入れるようになっていったり、後者の園児が大胆さを受け入れるようになっていったりする。 このように、園児一人一人の環境の受け止め方や見方、環境への関わり方が異なっているのである。すなわち、園児はその園児らしい仕方で環境に興味や関心をもち、環境に関わり、何らかの思いを実現し、発達するために必要ないろいろな体験をしているのである。園児のしようとしている行動が、多くの園児が示す発達の姿から見ると好ましくないと思えることもある。しかし、その行動をし、その行動を通して実現しようとしていることがその園児の発達にとって大事である場合がしばしばある。それゆえ、保育教諭等は、園児が自ら主体的に環境と関わり、自分の世界を広げていく過程そのものを発達と捉え、園児一人一人の発達の特性(その園児らしい見方、考え方、感じ方、関わり方など)を理解し、その特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導をすることが大切である。 一人一人の家庭環境や生活経験も異なっている。それゆえ、園児一人一人の人や事物への関わり方、環境からの刺激の受け止め方が異なっていることを踏まえ、互いが刺激しあって、他者の存在に気づき、折り合いをつけながら遊びをしていく姿もあります。ここに寄り添いつつも、子ども同志の関わりや集団を意識したことも必要な指導であります。もちろんそこには従わせるとか強制的にやらせるさせるではありません。子どもの気持ちを理解し促していくことも大切です。園児一人一人の発達の特性やその園児が抱えている発達の課題に応じた指導には一人一人の子ども理解が必要です。そこにも保育者の枠に限定されるものでもなく、広く子どもを複数の目で捉えたうえでの指導が大切であると考えています。複数の職員で子どもの成長を見ていくことが大切であるのです。