教育・保育要領解説17 2024/01/05 ③遊びを通しての総合的な指導 イ 総合的な指導 2 遊びを通して総合的に発達を遂げていくのは、園児の様々な能力が一つの活動の中で関連して同時に発揮されており、また、様々な側面の発達が促されていくための諸体験が一つの活動の中で同時に得られているからである。例えば、園児が何人かで段ボールの家を作っているとする。そのとき園児は大まかではあるが、作ろうとする家のイメージを描く。そのことで園児は作業の段取りを立て、手順を考えるというように、思考力を働かせる。一緒に作業をするために、園児は自分のイメージを言葉や身体の仕草などを用いて伝え合うことをする。相互に伝え合う中で、相手に分かってもらえるように自分を表現し、相手を理解しようとする。このようなコミュニケーションを取りながら一緒に作業を進める中で、相手に即して自分の行動を規制し、役割を実行していく。また、用具を使うことで身体の運動機能を発揮し、用具の使い方を知り、素材の特質を知っていく。そして、段ボールの家が完成すれば、達成感とともに、友達への親密感を覚える。 このように、一つの遊びを展開する中で、園児はいろいろな経験をし、様々な能力や態度を身に付ける。したがって、具体的な指導の場面では、遊びの中で園児が発達していく姿を様々な側面から総合的に捉え、発達にとって必要な経験が得られるような状況をつくることを大切にしなければならない。そして、常に園児の遊びの展開に留意し、適切な指導をしなければならない。園児の生活そのものともいえる遊びを中心に、園児の主体性を大切にする指導を行おうとするならば、それはおのずから総合的なものとなるのである。 好きなように走ったり、砂場遊びをしたり、子ども達でルールを作ったりしながらの遊びはとても大切です。そこに保育者が三輪車やボールを用意するとさらにその遊びは広がります。また、遊びを通しての運動能力の発達も促すこともできます。発達を促すために保育者が子どもの発達段階における意図した環境を用意することでの遊びの拡がりもあります。そこは保育者がさせる、やらせるのではなく子ども達が主体となって遊びを発展していきます。教え込み方子ども主体にとはこういったことも一つの展開なのです。