Ⅱ 令和の日本型学校教育 16 2023/07/26 2.9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について (1)基本的な考え方 ○また,児童生徒が多様化し学校が様々な課題を抱える中にあっても,義務教育において決して誰一人取り残さない,ということを徹底する必要がある。このため,一人一人の能力,適性等に応じ,その意欲を高めやりたいことを深められる教育を実現するとともに,学校を安全・安心な居場所として保障し,様々な事情を抱える多様な児童生徒が,実態として学校教育の外に置かれてしまわないように取り組むことが必要である。また,多様性を尊重する態度や互いのよさを生かして協働する力,持続可能な社会づくりに向けた態度,リーダーシップやチームワーク,感性,優しさや思いやりなどの人間性等を育むことも重要である。こうした観点からも,特別支援学校に在籍する児童生徒が居住する地域の学校に副次的な籍を置く取組を進めるなど,義務教育段階における特別支援教育のより一層の充実を図ることが重要である。 この「誰一人取り残さない」ということが大前提ですよね。子どもの置かれている環境、家庭環境によって子どもの学びに大きく影響します。義務教育を修了していない国民は90万人存在するとされ、若年者にも多いと報道がありました。いじめ等による不登校とも指摘されています。今や高校まで卒業するといった社会の中で、義務教育を終了できない子どもを生み出してはなりません。様々な工夫で学びを保障し、言葉通り「誰一人取り残さない」学校であるべきです。もちろん高等学校においても同じことです。高等学校、大学と学費の無償化に向けて進んでいるわけで、学びの保障は学校としても国としても社会としても当たり前です。 また、子ども一人一人の能力、適性には幅が広く、一斉画一した一方的な教え込みでは学べないことは明らかです。時代は個の多様性を尊重し、寄り添う姿勢が大切なのです。一定の学力等々においてもそれは平均的なことであって、当然ボトムアップも必要です。逆に平均以上の子へはどうするのかということを考えるならば、習熟度別、進捗状況、理解状況において対応していく必要があります。そもそも4月から3月までの年齢で区切り、一斉画一的に教え込むことは就学前や小学校低学年までは非常に難しいことではないかと感じます。さらには支援の必要な子ども達への対応についてもより一層の支援と共に、インクルージョンといった方法でどの子にも支援の行き届くような取り組みも必要です。だからこそ、そこに一人一人の置かれている環境を踏まえた丁寧な支援が必要だと思います。実現するには様々な職種のスタッフ、複数の教員、教員の協力体制、一人の教員で対応することではありません。