人間の本性 7 2023/02/01 『そもそも「人間の本性は暴力的だった」という仮説は、第2次世界大戦後に出てきました。人間は昔から狩猟によって、進化の道筋を作りました。ハンティングに使う道具を、その後、人間へ向けて武器として使い、戦争を始めた。そういう仮説が現れたんです。これを「狩猟仮説」と言います。人間は狩猟によって進化した。そして戦いを始めた。 その説を取り入れた映画が、1968年に公開された「2001年宇宙の旅」という映画です。冒頭で、人間の祖先、これまで猿人と呼ばれていた200万年以上前の時代、動物の骨を使って狩猟を始めたというシーンがある。その後、その狩猟に使った動物の骨を人間に向け始め、他の集団を撃退するために武器として使い始めた。これはまさに狩猟仮説をもとにした映画です。ところが、この仮説は間違っていた。 人類の祖先が、槍(やり)などの狩猟具を使い始めたのは約50万年前です。700万年のうちの50万年です。そしてその武器を人間に対して向け始めたのは、わずか1万年前です。だから人類の進化の歴史の中で99%以上は、集団間の争いはなかったのです。とても戦争は人間の本性とは言えません。「2001年宇宙の旅」は間違っていたのです。 でも、なぜ人間は暴力性をこれほど強く持つようになったのか。それは人間が独自に発達させた、もともと暴力とは関係がなかった社会性の中に、秘密が隠されているのです。』 これらの歴史的な検証からも人間は集団間の争いはなかっただろうし、人間に対して武器を向けたのは長い人間の歴史でも、ごくごく最近になるということですね。そうしなければ生き延びれなかった。